厚生労働省の人口動態調査で、都道府県別人口10万人に対し、脳卒中などの脳血管疾患で死亡する率のランキングをみると、上位に青森や秋田、岩手といった東北エリアがランクインし、ついで北信越や山陰エリアの県が並ぶ。
そんな脳血管疾患死亡率順位のなかで、10位以内に入ってくる関東エリアの県がある。栃木と茨城だ。
「わたしが茨城に来たのは35年前、脳外科医としてやってきました。そのころ茨城県は脳卒中が全国で最も高いといわれるほど多発し、秋田県を上回っているという報告もありました」
そう語るのは、水戸ブレインハートセンター脳神経外科 河野拓司医師。
河野医師は、茨城県の脳卒中患者数を減らすべく、予防医学に立った脳ドックを展開。茨城県で初めて MRI を使った脳ドックを導入した。
それから20年以上を経たいま、茨城にまた新たな脳神経外科が5月7日にオープンする。
ひたちなか海浜鉄道が走る、茨城県ひたちなか市。その名も「ブレインピアひたちなか」だ。
「専門性高く、敷居は低く」43歳の脳外科医が院長が勤める専門クリニック
5月7日にオープンする脳神経外科ブレインピアひたちなかの院長を務めるのは、水戸ブレインハートセンター脳神経外科 河野医師のもとで診療・手術を重ねてきた田中雅樹医師。
田中院長は、大学病院や一般病院などで急性期医療の現場に立ち、水戸ブレインハートセンターに勤務。
4月20日のオープン前プレ内覧会では、この水戸時代を振り返り、「適切な予防、早期発見の重要性をより考えるようになった」と話す。
「これまで以上に、地域医療とはなにかと考えはじめ、このひたちなかで地域医療の現場に立つことにした。『専門性高く、敷居は低く』をモットーに、予防医学で地域に貢献していきたい」
この日は、ひたちなか市 大谷明市長やひたちなか市議会 清水立雄議長らも出席。「健康状態を相談できる地域の医師がいることが必要」「地域の健康寿命が延びれば」と期待を込める。
事前内覧会で田中院長は、地域の人たちにこう説明し、「気軽に立ち寄って」と伝えた。
「まず健康診断はしっかり受ける。高齢者などは定期的に検診を受けない人も多い。また東京などと比べて、この地域ではまだまだ健康に対する意識が低いところもある。そんな地域で、頭痛やめまい、もの忘れなど、脳や神経に関連した症状や病気で悩む人は、気軽に相談して」