鉄道趣味の宗匠内田百閒先生は、朝起きて、顔を洗って、着替えて、出かける「気分」が完成するまでに4〜5時間が必要だった様です。そこまで高雅ではありませんが、出かけるというのは原則的に億劫なコトです。
鉄道旅で旅館に滞在していても百閒先生は「私は今、何もしないという用事で忙しい」と観光や訪問客を断っておられました。
小人には真似できません。
武道家にして思想家の内田樹さんも言っておられる様に「危険な世間に身を曝さずに自分の居場所にひっそり留まっていることが最も賢い生き方である」という考え方もあります。
出かけるのは懶くとも、鉄道趣味の旅行計画を企てるのはとても楽しいものです。
そしてせっかく起てた計画は、無理矢理でも実施したくなります。(笑)
どんなに面倒くさくても早暁にいそいそと駅に向かってしまうのです。
やれやれ。
ゴールデン・ウィークは何処にも行かないと決めているので一週間以上鉄道に乗っていません。空模様があまり優れないので大掃除の予定が、予定のままで既にGWは大半が終わってしまいました。
まぁ、三食作って食べているダケで忙しいということもあります。何処かの家電メーカーが使っていたコピーの様に「普段プレミアム」が大事。お茶は丁寧に煎れないと美味しくないのです。御飯も毎日土鍋で炊きます。日本酒を垂らすと美味しいの知ってました?
美味しい御飯と納豆と味噌汁。これに鰺の干物があれば他に何も望みません って。
I wisy YOU were HIRE.
ってPINK FLOYDも聴いてないなぁ。日本が大嫌いなRoger Watersのソロアルバムみたいな”The Final Cut”(1983)が私は一番好きだったりします。Rolling Stone誌も”最高傑作”と絶賛してますよ。
“atom heart mother”(1970)からノンビリ聴き直したりできるのもゴールデン・ウィークの時間の流れ方です。”The Dark Side of the Moon”(1973)なんてマジで聞き過ぎてアナログ盤を2回買ってます。同じアルバムを2回買ったのは、Led Zeppelin Ⅱとコレだけ。(笑)
ダイヤモンド針で塩ビ盤の溝をトレースして音を出しているのですから、いくら針圧を軽くしてもアナログレコード盤は削られてゆくのです。
亡くなった父親はTXの「演歌の花道」をとても楽しみにしていました。
結局、音楽の消費スタイルなんて個々人の嗜好なんですよ。優劣をつけたがる人も居ますが”舟歌”と”Whole Lotta Love”のどっちが優れているか? なんて全く愚問だもん。未だにクラッシックが一番偉いと思ってる藝大の浪人生みたいな保守反動もいますが。(笑)
たぶん村上春樹さんが作品の中で取り上げている様な音楽消費のスタイルで良いんですよ。
聴きたい音楽を聴けば良いだけ。個々人の人生は他人の支配を可能な限り回避することに価値があるんです。聴きたくない音楽を聴かされることが拷問として秀逸であることは、スタンリー・キューブリックが”A Clockwork Orange”(1971)で美しく描いています。アタシは第九が嫌いですけど。
閑話休題。つか、今日はここまで。
(写真・記事/住田至朗)