グローバル都市不動産研究所は、東京2020オリンピック後に東京都の不動産価格はどうなるかを予測。各国のオリンピック開催後の景気動向、ロンドンオリンピック前後の不動産価格の動向をもとに調査し、結果を発表した。

近年、東京の不動産価格は堅調に推移

東京都区部の公示地価の対前年平均変動率は全国に先駆けてプラスに転じている。推移をみると、区部都心部で力強い上昇が始まり、その後区部南西部、区部北東部に波及している。

東京2020オリンピック開催が決定した2013年9月から、東京の公示地価の上昇が始まっている。アベノミクスによる金融緩和政策が反映されているといえる。また、金融機関が不動産向け融資を大幅に増やしたことも影響している。
また近年の区部北東部や臨海部の地価の上昇は、東京スカイツリータウン開業、大学移転などにともなう北千住エリアの都市開発、オリンピック関連施設の建設などで、改めて注目された結果といえる。

各国のオリンピック開催後の景気動向と、ロンドン五輪前後の不動産価格動向

過去30年の夏季オリンピック開催国で開催後にGDP成長率が低下したのはスペイン、オーストラリア、中国、ギリシャ。いずれもITバブル崩壊やリーマンショックなど他の影響が大きいとされている。

いっぽう、アメリカとイギリスは、GDP成長率の上昇がみられている。東京もロンドン五輪をモデルにコンパクトなオリンピックづくりをめざしているため、東京オリンピック終了を主要因に景気が急速に減退する可能性は低いだろう、と予測する。

ロンドン五輪開催後の各区の不動産価格をみると、区によってもばらつきがあるなか、ロンドンの都心6区は上昇している。

東京2020オリンピック後に不動産価格はどうなるのか

プラス要因として、今後も東京都心区では2040~45年ごろまで人口増加が続くと予想され、住宅需要は今後とも旺盛といえる。

海外からの訪日外客数はオリンピック以降も堅調に増加すると政府は予測している。

さらにリニア中央新幹線の開通が2027年に予定されていて、東京と名古屋の経済圏が近接し、東京の経済力がさらに高まるという期待もある。

いっぽうマイナス要因としては、米中摩擦やヨーロッパ諸国の成長鈍化によって今後の世界経済が減速にむかい、東京への投資の鈍化の可能性がある。

ロンドンの不動産価格の動向でもみたように、東京でもすべての地域が一様に好条件というわけではない。

景気が減退する局面になるとエリアの差が顕著に表れるため、十分に注視する必要がある。

―――グローバル都市不動産研究所(https://www.global-link-m.com/company/institute/)は、投資用不動産を扱うグローバル・リンク・マネジメントが、「東京という都市を分析しその魅力を世界にむけて発信」「不動産を核とした新しいサービスの開発」などを目的に、明治大学 市川宏雄 名誉教授を所長にむかえて、2019年1月1日に設立した。

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