いよいよ開催まで200日を切った東京2020オリンピック・パラリンピック。いま鉄道や航空、高速道路といった日本の交通インフラは、世界が注目するこの巨大イベント開催を前に、サイバーセキュリティの猛威から守る対策に迫られている。
新幹線のトンネル内などにも拡充が続く携帯電話利用エリアも、ネットワークセキュリティの管理が求められている空間のひとつ。こうした公共交通空間のネットワークセキュリティはどう守られ、安全を担保していくか―――。
ネットワーク、セキュリティ、クラウドといったIT業務分野の実践力・応用力を評価する「CompTIA認定資格」をグローバル展開する CompTIA は、都内でメディアカンファレンスを開催。
CompTIA トッド・ティビドー(Todd Thibodeaux)CEO、同 ジェームス・スタンガー(James Stanger)博士、同日本支局 板見谷剛史シニアコンサルタントが登壇し、2020年のIT業界トレンドや、これから求められるIT人材・スキルなどについて語った。
いま求められるT型ITプロフェッショナル人材
交通インフラなどのネットワークセキュリティをはじめとする、インフラストラクチャでの重要領域についてジェームス博士は、クラウドコンピューティング、ネットワーク、ストレージ、サーバー、IoTシステム、モバイルデバイスなどをあげる。
こうしたデジタル領域のなかで活躍するITプロフェッショナルに求められる能力は「テクニカルにとどまらい情報クリエーターであること」とジェームス博士。
「たとえば部門ごとのディスカッションに参加したり、新興テクノロジーのディスカッションを主導したり、その現場に必要なシステムを構築したりと、多くの役割を持つ。ITプロ同士の対話のほか、他部門のリーダーや企業のトップとのコミュニケーションも要る。いわゆるT型のITプロフェッショナル人材が必要」
このT型ITプロフェッショナル人材とは、幅広いスキルを持ったジェネラリストと、深い専門知識をもつスペシャリストの両方を兼ね備えた人材のこと。
そうしたグローバルに渡り合えるITプロフェッショナル人材の育成をサポートするのが、CompTIA の実践的なスキルを学べるツール「CompTIA Lab」だ。
ブラウザ上で実践的トレーニング「CompTIA Lab」がトレンド
CompTIA はこれまで、ITプロフェッショナル人材育成のためのトレーニング教材を、eBookと書籍の2種類で展開してきた。
同社は今後、こうしたeBook・書籍シリーズに加え、ブラウザベースのバーチャル環境で実践的なスキルを学べる「CompTIA Lab」を拡充。現状は英語版のみだが、今後は日本語で提供し、国内ユーザが利用しやすい環境を整えるという。
この CompTIA Lab は、実際のソフトウェアアプリケーションとオペレーティングシステムで構成された仮想マシンを使用。タスクに対して柔軟に対応できるだけではなく、受講者の業務での実体験を再現することもできる。
また、それぞれ独立した各ラボ内のタスクにより、任意の順番でトレーニングをすすめられる点もメリット。バーチャルな仮想空間で「トラブルをどう解決させるか」「ログをどう調査・解析して問題を解決するか」といった実践的トレーニングを重ねることができる。
「働き方改革という流れのなか、ITプロフェッショナル人材育成の時間をリモートワークのなかに取り入れようという企業も増えてきた」と話すのは、CompTIA 日本支局 板見谷剛史シニアコンサルタント。東京2020オリンピックを前に、この CompTIA Lab が注目を集めている理由についてこう伝えていた。
「CompTIA Lab のアクセスキーを学習者に渡すだけで、リモートワーク時間のなかで自宅パソコンや持ち出し用のノートパソコンで実践的トレーニングができる」
「これが、東京2020オリンピック前に、どこか会議室などの場所を確保して、ITプロフェッショナルをめざす人たちを集めて座学を開くというのにも、どれだけ集まるかわからないといった不安がある」
「教育事業者も、東京2020オリンピック前の2020年4~8月は、オープンコースを設定していない。だからこそ、バーチャルな環境で、自宅などでセキュリティの原理原則を実践的に学べる CompTIA Lab が注目を集めている」
<CompTIA JAPAN>
https://www.comptia.jp/
写真 文:鉄道チャンネル