慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患―――慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)。
いまも喫煙習慣を背景に、中高年に発症する生活習慣病のひとつであるこの慢性閉塞性肺疾患(COPD)について、「自分のためにも、そしてまわりの人のためにも禁煙を」と訴えたのが、世界禁煙デー記念イベント。
食事・運動・検診・禁煙、厚生労働省が主導
厚生労働省は、食事・運動・検診・禁煙、この4つの柱で「健やかな国ニッポン」をめざす健康づくりサポート「スマート・ライフ・プロジェクト」(https://www.smartlife.mhlw.go.jp/)を推進。
その一環として、WHO(世界保健機関)が定める「世界禁煙デー」(5月31日~6月6日)の1週間を「禁煙 週間」と定め、たばこ対策について発信。
5月31日には、世界禁煙デー記念イベントが都内を開き、スマート・ライフ・プロジェクト オフィシャルアンバサダーの栗山英樹(WBC 2023 日本代表監督)をはじめ、武見敬三 厚生労働大臣(VTR出演)、厚生労働省 大坪寛子 健康・生活衛生局長、山本英紀 生活衛生局健康課長、星乃夢奈、蛙亭(イワクラ/中野周平)、国立がん研究センターがん対策情報センター本部 若尾文彦 副本部長、慶應義塾大学 中鉢正太郎 呼吸器内科専任講師、日本医師会 黒瀨巌 常任理事らが登壇し、禁煙に向けた取り組み・意識変革について話し合った。
約530万人、死亡原因9位
「禁煙週間」に関連して昨年、国民の健康増進を目的に厚生労働省から発表した「健康日本21(第三次)」では、喫煙による健康影響のなかでも、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)の死亡率の減少を目標とし、令和6年度の禁煙週間のテーマを「たばこの健康影響を知ろう!~たばことCOPDの関係性~」に決定。
また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者数は、40歳以上の人口の8.6%、約530万人が存在すると推定され、その大多数が未診断・未治療の状態であると考えられ、全体では死亡原因の9位、男性では7位を占めている。
「慢性閉塞性肺疾患(COPD)がどんな病気か知っている人は約1割と認知度が低く、その原因が喫煙であることの認知度も高くないため、喫煙者でも知らない人が多いのが現状。
ほかの呼吸器疾患と比較しても、知られていないため、健康日本21(第三次)と COPD 認知向上のため、普及啓発活動の強化が課題だ」(がん研 若尾 副本部長)
まわりの人のためにも禁煙
そこで登壇者達によるトークセッションでは、禁煙に向けたポジティブな取り組みについて話し合い。
日本医師会 黒瀨 常任理事は、すぐに禁煙することの難しさを認めながらも 「一人で悩むのではなくて、まわりがいっしょになってチームとして禁煙に取り組んでいくのが成功の秘訣」と。
栗山は、「誰かのためにという気持ちが自分を禁煙に導いた。禁煙が“自分ごと”になるだけでなく、まわりの人のためにもなる」と伝え、これに、登壇者全員が共感し“今後、国民に伝えていくメッセージ”になると実感した。
参加する企業・団体は1万超え
スマート・ライフ・プロジェクトは、「健康寿命をのばそう」をスローガンに、国民全体が人生の最後まで元気に楽しみながら健康な毎日を送ることを目標とした国民運動。
プロジェクトに参画する企業・団体・自治体と協力・連携しながら、運動、食生活、禁煙、健診・検診の受診について、具体的なアクションの呼びかけを行い、国民自らが誘い合い、健康の輪を広げていくことで、さらなる健康寿命の延伸を推進していく。
4月30日現在で、スマート・ライフ・プロジェクトに参加する企業・団体メンバーは1万373をマーク。同プロジェクトに参加すると、さまざまな特典を得られる。その詳細は公式サイトへ。