心ゆくまで蟹を食べてみたい――

お値段を考えると簡単には叶えられない夢だ。ボーナスが入ったときに、パーっと数万円使って楽しもう……そんなときでもないと、躊躇われる夢だ。われわれ庶民にとって蟹は高級品なのだから。

だが、そんな夢を簡単にかなえてくれる店もある。その名も「かにざんまい」――蟹・食べ放題のコンセプトが支持され、愛知県を中心に6店舗展開している。SNSでは大量の蟹で「蟹丼」を作る動画などもあり、1人4,980円から堪能できるそのコスパの良さで高い評価を得ていることが分かる。

そんな「かにざんまい」がついに東京へ進出するという。JR吉祥寺駅北口から徒歩1分の好立地に、あす8月9日(金)にオープンするのだ。

蟹が「食べきれない」ことある?

幸いにしてオープン前に取材する機会に恵まれたので、早速訪れてみた。店内は和風の装いで、2階の個室席などはとても落ち着いたたたずまいだ。

メニューはMサイズまたは2Lサイズ以上の本ズワイ蟹などを楽しめる「本ズワイ蟹食べ放題コース」を筆頭に、「タラバ蟹食べ放題コース」「ズワイ蟹食べ放題コース」など計4種類が用意されていた。制限時間は100分。サイドメニューや飲み放題のコースもある。今回は「2Lサイズ以上 本ズワイ蟹食べ放題コース(8,228円)」を頼んでみた。

待つこと数分。

黙々とスモークを炊きながら、木桶が運ばれてきた。

……?

……………………??????

足の数を数えるのもばからしくなる量の蟹が木桶に乗ってやってきた。聞けば2人前らしく、1人で取材に来たのは間違いだったと確信した。いや、仮に2人で来たとしても、この量の蟹は果たして食べ切れるのだろうか……。

懸念は当たった。取材中は蟹を食べる以外ほとんど何もできなかった。最初はカニフォークを使って丁寧に身をかき出していたが、その速度では「間に合わない」ことにすぐ気が付く。外面など構っていられない。足を引きちぎり、素手で割って身にかぶりつく、それを何度繰り返しても目の前の蟹が尽きることはない。サイドメニューに「かにクリームコロッケ」や「かに釜めし」、寿司やいくら丼もある。美味そうだ。しかしこれらを頼む余裕はない。

蟹の足をもぎり、素手で割り、かぶりつき、ビールと一緒に流し込む。蟹自体の質は良いから手が止まることもない。制限時間が終わった後、バケツを見るとここ十年分くらいの消費量に匹敵する蟹の殻で埋まっていた。

たぶん人生で最もKPS(Kani Per Second)の高い瞬間だったと思う。これが「食べ放題」というのだからどうかしている。もし自分が大喰らいで、時間に十分な余裕があるなら、さらに追加注文することも出来たわけだから。

念のため、他のメニューの写真も上げておきたい。

なぜ吉祥寺に出店?狙いはファミリー層

とはいえ蟹を食べただけで終わったのでは何の取材にもならない。「かにざんまい」を運営するK-FOOD代表取締役の米吉健二さんにお話をうかがった。

最初に気になったのは「吉祥寺」を選んだ理由だ。確かに都民には知られた街だが、中央線沿線でも東京や新宿、山手線などにも目を向ければ品川や池袋など、より大きな街はいくらでもある。

吉祥寺を選んだ理由は意外なところにあった。

吉祥寺は「住みたい街ランキング」上位の常連である。「いい部屋ネット」で知られる大東建託の住みたい街ランキングでは吉祥寺は6年連続で首位をキープしている。都心への出やすさと住みやすさがちょうどいい塩梅で、不便ではなく適度に安く、居心地がいい。

「かにざんまい」はファミリー層向けの業態だ。料金設定は実際に食べられる量を思えばリーズナブルだ。一人頭数千円程度から「蟹食べ放題」の夢がかなう店で、ご家族や仲の良い友人同士でひたすら蟹と格闘する。そんな微笑ましくも楽しい時間が過ごせる店――そう考えると、巨大なビジネス街ではなく「住みたい街」に白羽の矢を立てたのにも納得がいく。

ただ、吉祥寺だけでとどまるつもりはなさそうだ。今後の出店計画は具体化していないものの、「次の一年は関東を中心に10店舗ぐらい出したい」――米吉社長はそう意気込みを語った。

直近では9月に岡崎店(愛知県)、10月に鈴鹿店(三重県)がオープン予定ということで、一気に店舗数を増やしている。東京に「かにざんまい」旋風が巻き起こる日も、そう遠くないかもしれない。

店舗情報

■店舗名:かにざんまい吉祥寺店

■住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-25-10 吉祥寺TRビル1階

■アクセス:JR吉祥寺駅北口より徒歩1分

■電話番号:0422-29-3818

■営業時間:11:00~24:00(L.O.23:30)

■定休日:不定休

■席数:82席

かにざんまい吉祥寺店サイト
https://kanizanmai.com/shops/kichijoji

記事:一橋正浩

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