ことし4月から、工学部 情報システム学科に自動運転専攻、機械工学科に IT応用機械専攻/AIロボティクス専攻、生命環境化学科にバイオサイエンス専攻/環境・クリーンエネルギー専攻が新たに始動する、埼玉工業大学。

AI・ロボティクスや、バイオ・環境まわりのプロフェショナル人材育成を加速させる埼玉工業大学では、社会の“現場”と直結する実学もいろいろ動いている。

たとえば、ことし4月に自動運転専攻が走り出す埼玉工業大学 工学部 情報システム学科の学生たちは、ミクニライフ&オート(埼玉県加須市)の自動車工場内で製作中の営業運転むけ自動運転バスに、工場メカニックたちといっしょに自動運転システムを実装している。

埼玉工業大学 自動運転AIスクールバスの実績を営業車へ 社会実装が加速

埼玉工業大学はこれまで、トヨタプリウス、日野リエッセII(小型路線バスタイプ)、日野レインボーII(一般路線バスタイプ)といったサイズや用途の異なるベース車に、同大学が開発する後付け自動運転システムを搭載して、全国各地のさまざまな条件下でのテスト走行を積み重ねてきた。

そして、いよいよ大学がある地元・深谷市を走ると想われる、いすゞエルガミオ(一般路線バスタイプ)新車をベースとし、埼工大の自動運転AIシステムをこのバスに実装させる作業がすすんでいる。

この、いすゞエルガミオの自動化改造は、ミクニライフ&オートのプロメカニックに加え、埼玉工業大学 自動運転AIバス開発を率いる 工学部 情報システム学科 渡部大志 教授 副学長(研究・国際交流担当)自動運転技術開発センター長、そして埼工大の学生たちが参画し、ひとつひとつていねいに自動化させている。

この日も、渡部教授と学生たちが自動運転AIのプログラム更新や、(光検出 測距)、CPU・GPU(画像処理装置)、カメラ、マッピングなど各機器の冗長性確保・調整・チェックに追われていた。

しかも、この新型自動運転バスのベースとなった、埼玉工業大学保有スクールバス(日野レインボーII)よりも、「相当進化している」と渡部教授はいう。

冗長性・安全性・危険回避性能・運動性能をできる限り高めて

画像↑ミクニライフ&オートで製作中のいすゞエルガミオベース自動運転バスと 埼工大 渡部教授と学生
画像↓新宿・幕張・奈良などでテスト走行を重ねてきた埼玉工業大学保有自動運転スクールバス

「特定自動運転の認可に向けて製作中の、いすゞエルガミオベース新型自動運転バスは冗長性・安全性・危険回避性能・運動性能をできる限り高めている。

たとえばセンサー類は自動運転スクールバス(日野レインボーIIベース)の倍以上、GNSS(全地球航法衛星システム)は3倍、ブレーキは1重系から7重系へと進化させている」(渡部教授)

トレンド・業界などと直結した学びを展開

世の中のトレンドと直結するチャンスが多くある埼玉工業大学は、実は就職率ランキングも上位に食い込む。

2023年有名企業400社実就職率ランキング」(https://univ-online.com/article/career/23918/)では、埼玉工業大学は 86位 にランクイン。

メーカーやロボティクス業界をはじめ、エンタメ業界、メディア関連といった各方面からのプロフェッショナルたちが教授陣を組み、トレンド・業界などと直結した学びを展開しているのも、アドバンテージだ。

全国の路線バス事業者をはじめ、人材不足やバス路線の衰退に悩む地方自治体も注目

ここであらためて、埼玉工業大学 自動運転技術の独自性をチェック。

埼玉工業大学が手がける自動運転AIバスは、既存の路線バス車両に自動運転AIシステムを後付け(搭載・改造)することで、自動化を実現させる点で、「自動運転バスの新車を導入するよりも現実的」と、全国の路線バス事業者をはじめ、人材不足やバス路線の衰退に悩む地方自治体が注目している。

また、埼玉県先端産業創造プロジェクトのスマートモビリティ実証補助に 2年連続、また令和 3年度埼玉県デジタル技術活用製品開発費補助などに採択されている埼玉工業大学の自動運転AIバスは、“社会実装している教材”としてもその存在感を高めている。

動く教材、地域貢献モビリティ、ワクワクさせる技術、新たなソリューション

そして埼玉工業大学の自動運転AIバスは、大学教育のなかでの“動く教材”として、地元に自動運転バスを社会実装させる“地域貢献モビリティ”として、地元の子どもたちを“ワクワクさせる技術”として、そして地方の公共交通を維持する“新たなソリューション”として、と、さまざまな顔を持つ。

埼玉工業大学は、この自動運転技術を全方位で公開し、自動車関連企業をはじめ、モビリティサービス事業者、路線バス事業者、地方自治体、観光事業者、大学・学校などを対象に、見学会・試乗会などを積極的に受け入れている。

「自動運転AIシステムや、実際にオートで走行する自動運転AIバスの試乗・体験機会を増やすことで、新たなアイデアの創出や、連携によるシナジー、パートナーシップなどが生み出されると思っています。

今後も、幅広い業種・業態の人たちに、この自動運転AIバスの貢献度、活躍できる場、無限の可能性を体感してほしいとも思っています」(渡部大志 教授)

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