空間の変化は、人の思考の柔軟性にどうつながるのか。

「企業の競争力」を高め「持続的な成長」を実現するために、いまどんな変革が要るか―――。

―――そんな問いに、アートという活動といっしょに走りながら、解決・シナジーへむけて走り出したのが、日本能率協会(https://www.jma.or.jp/)。

創造的な感性が芽生える環境を醸成

日本能率協会(JMA)は、JMA東京本部(東京都港区芝公園3-1-22)に、アーティストたちが描く作品を有機的にレイアウトし、『創造的な感性が芽生える環境』をトライアウトする。

内覧会には、2025年3月3日に開催された経営層向けシンポジウム「アートが切り拓く経営の未来」のダイジェスト動画が流れるなか、多くの招待客が訪れ、「アート思考」を刺激する研修室などを体感し、トークセッションで6名のアーティストが、社内に出現させたアートに込めた想いを語った。

「アート思考」をより刺激する場に

今回の日本能率協会(JMA)東京本部アート導入は、「仕事をする」「学ぶ」場所から、新しい感性が芽生え、心地よいインスピレーションが生まれるクリエイティブな場所へと変化させることをコンセプトに、JMA 宮内謙 理事が代表を務める K ART & DESIGN のアートディレクター 土屋純が監修。

画家や写真家など複数のアーティストの協力により、オフィス2階のロビーや1階の研修センターを刷新。

オフィス近くにそびえる東京タワーをモチーフに、普段から身近にある風景をアーティストの目を通して芸術に昇華させた作品によって、研修に訪ねた人たちの「アート思考」をより刺激する場所となることをめざしている。

なぜ JMA は空間を変えるか

日本能率協会 経営・人材革新センター 富浦渉センター長は、今回のビジネス空間へのアート導入について、こんな想いを込める。

「現代のビジネス環境で重要とされる「サイエンス(分析)」「クラフト(技術・技能)」「アート(直感)」の3つの要素をバランスよく取り入れ、研修室という「学ぶ」場所から『創造的な感性が芽生える環境』へ進歩することで、「創造的思考」を促進していくためです」(富浦渉センター長)

空間の変化は、人の思考の柔軟性にどうつながるか

「刺激的で豊かな空間は心地よいインスピレーションを提供し、アートとビジネスを結びつける懸け橋になると考えています。現代アートの持つ豊かな表現力が、新たな発想につながっていくと確信しています」(富浦渉センター長)

アートを取り入れた先にあるJMAがめざすもの

「アートを取り入れることで、企業はイノベーションの加速、ブランド強化、社内文化の醸成、社会的使命の達成、そして顧客体験の向上という多岐にわたる成果を期待できます。

これらの要素は「企業の競争力」を高め「持続的な成長」を実現するための基盤となります。

JMA は、アートの持つ力を最大限に引き出し、革新と価値創造の道を歩んでいきたいと考えています」(富浦渉センター長)

―――そんな想いが込められた日本能率協会(JMA)東京本部アート空間。各アーティストは、こんな想いを込めて描いている↓↓↓

しんどう あすか
東京藝術大学修士課程在学中/写真家

日常の中の小さなときめきを写真で切り取り作品にしている。“作品を通してそれぞれの日常をポップに楽しめるきっかけすること“を信条としている。

「東京オフィスから歩いていける風景を撮影しました。私自身、高校時代は近くで過ごしていたこともあり、懐かしい時間でした。メインの写真は東京タワーを真下から見上げたような構図で、普段見ることの少ない見方だと思います。作品を通して、街を歩くのが楽しいと感じたり、普段見ている風景の新たな視点の発見となったりする時間になれば、うれしいです」

笠原 仁
東京藝術大学大学院修了/金属の熱間加工「鍛造」の技術を用いたアート

金属の熱間加工「鍛造」に魅力を感じ、鍛造の技術を用いてアート作品から日用品まで様々な制作を行う。

「JMAの前身のロゴをモチーフに制作しました。日本刀の製作過程のように、ステンレスを熱し、加工する「鍛造」と呼ばれる技法で、制作したオブジェです。磨き方などを変えることで、見方の違いによって、影や奥行きが生まれ、さまざまな表情が生まれます。金属の持つ硬さや独特の光沢といった素材としての強みを感じてほしいと思います」

飯尾 あすか
東京都在住/イラストレーター

動植物をモチーフにしたモノトーンの作品を中心に、展示や壁画から、雑誌・書籍、webメディア、広告のイラストまで、多岐にわたるメディアで制作。

「「人」対「人」の事業をしている日本能率協会をイメージしながら、制作しました。作品の1つは水のなかに浮かぶ人の周りに波紋が広がる様子を表現していますが、抽象的な描き方をしています。セミナールームにあり、セミナーを受ける方々が見るからこそ、ふとした瞬間に作品を見て、少しの時間でも、「何を描いた作品だろう」と思考を巡らせるきっかけになればうれしいと考えています」

5wood
多摩美術大学卒業/イラストレーション・アニメーション

イラストレーションとアニメーションを活動領域に持ちアニメーションや映像を元にしたアート活動を開始。クライアントワークではドローイングを主軸としたMV、広告映像などに参加。

「作品の1つはアムステルダムを訪れた際に触れた一場面やテニスの大会からイメージを広げ、時間軸の異なる2つの場面を1つのキャンバスに表現することで、「アニメーション」のような感覚を抱くことができる実験的な作品にしています。日常で取り残された瞬間や間を表現しており、インスピレーションを広げるきっかけになればうれしいです」

三平 悠太
武蔵野美術大学卒業/イラストレーション・グラフィックデザイナー

企業広告や書籍、アパレル、コスメ、音楽アーティストとのコラボレーションなど多岐にわたるアートワークを提供。企業や店舗等のブランディングも多数手がける。

「私が生きていく中で、「素敵だな」と心が動く瞬間や風景を人生の記録として制作しています。作品の1つは、日本能率協会のロゴの青を基調に、人同士が絡み合い、個性が関係しあいながら調和し、新たなことを生み出すプロセスを表現しています。断定的に描いていないため、作品を見る人の視点によって、見え方は変わってくると思っています。その「余白」を活かしながら、思考につながってほしいと考えています」

渡辺 明日香
多摩美術大学卒業/グラフィックデザイナー

流れるような筆致やダイナミックな構図、色彩のリズムを生かした表現が特徴。FUJIROCK FESTIVALのデザインや、企業・公共スペースでの壁画制作を手がける。

「人づくりを事業としてきた日本能率協会の沿革を参考にしながら、インスピレーションを広げていき、人と人が重なり、交差して新たな価値が生まれる瞬間や生まれる過程を表現した作品です。ただ、「何を描いたか」ということは、人それぞれで考え方や見え方が異なって良いと思います。その答えは人それぞれで、研修などを受ける前と受けた後で異なる可能性もあります。研修の時や休憩の時、一瞬でも、長い時間でも向き合うことができる作品になればうれしいです」

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