「薬が効かない薬剤耐性(AMR)が世界中で大きな問題になっています。

抗菌薬(抗生物質)は細菌が原因の病気を治療するために医療現場で広く使用されてきました。

一方で、抗菌薬が効きにくかったり、効かなかったりする細菌のことを薬剤耐性菌とよびます。

そして、薬剤耐性菌が広がってしまう大きな原因のひとつとして、抗菌薬の不適切な使用が挙げられます。

薬剤耐性菌が原因の感染症を発症してしまうと、抗菌薬による治療が難しくなってしまうため、重症化したり、命にかかわるリスクが高まることがあります。

日本でも、おもな2種類の薬剤耐性菌だけで年間8000人が亡くなっていると試算され、薬剤耐性菌の拡大を防ぐことが人類にとって重要な課題となっています」

―――そう教えてくれたのは、国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター AMR臨床リファレンスセンター。

10月には、薬剤耐性(AMR)認識の現状や対策、今回のメッセージ展開の詳細と狙いについて、AMR臨床リファレンスセンター 大曲貴夫 センター長、同 薬剤疫学室 小泉龍士 主任研究員、同 臨床疫学室 松永展明 室長、同 情報・教育支援室 藤友結実子 室長、同 佐々木秀悟 特任研究員らが教えてくれた。

「かぜに抗菌薬は効きません」を発信

こうした誤解を正すべく、AMR臨床リファレンスセンターは、11月「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」にあわせ、「かぜに抗菌薬は効きません」というメッセージを、TVアニメ「はたらく細胞」の描き下ろしキャラクターをメインビジュアルに、ポスター、WEBサイト、電車内広告、渋谷リアルイベントなどで伝えていく。

TVアニメ「はたらく細胞」とコラボ

AMR臨床リファレンスセンターは、TVアニメ「はたらく細胞」とコラボし「かぜに抗菌薬は効きません」を発信。

このTVアニメ「はたらく細胞」のリーフレット、クリアファイル、お薬手帳など計10万部を制作し、日本医師会・日本薬剤師会と連携し、全国のクリニック・薬局で限定無料配布。

また、日本医師会の協力を得て、全国のクリニックへ啓発ポスターを配布していく。

ポスター・リーフレットは、AMR臨床リファレンスセンター公式サイトでもダウンロードできる↓↓↓
https://amr.jihs.go.jp/materials/

WEBサイトも公開

メインビジュアルのキャラクターがオープニングアクションで登場するサイトも公開↓↓↓
https://amr.jihs.go.jp/information/campaign2025.html

サイトでは、「薬剤耐性とは」「わたしたちができること」「薬で菌を消そう 薬剤耐性ゲーム」「令和7年度のキャンペーン情報」「8年間の活動ヒストリー」「第9回 薬剤耐性(AMR)あるある川柳」「新作アニメ啓発動画」などのコンテンツが公開されてるからチェックを。

また、GDN や SmartNews にも10月20日~12月31日の間に登場するから要チェック。

渋谷でリアルイベント 11/8.9 開催

11月8・9日には、渋谷マークシティ マークイベントスクエアでリアルイベントも開催。TVアニメ「はたらく細胞」ファンも必見の内容に↓↓↓

◆展示コーナー:AMRインフォグラフィックパネル、TVアニメ「はたらく細胞」ポスターパネル展示。キャラクターのパネルスタンドのフォトコーナーも。

◆スマホで見る細菌観察;小型の顕微鏡 “ミルキン”を使って、手に付いた微生物をチェック。

◆AMR学べるゲーム:同じ細菌を当てよう神経衰弱ゲーム/抗菌薬で細菌をやっつけようパズルゲーム。

◆レクチャ―タイム:専門医が薬剤耐性をわかりやすく解説(1日2回)。

◆AMR啓発動画上映

◆アンケートに答えて啓発ツールセットをゲット

都営地下鉄や YouTube でも動画を公開

AMR臨床リファレンスセンターでは、AMRについてやさしく教えてくれる動画もいろいろ公開中。

さらに、11月10~23日の2週間、都営地下鉄 大江戸線 三田線 新宿線 浅草線のドア上デジタルサイネージでショートアニメの啓発動画(15秒)も上映するから、あわせて要チェック。

薬剤耐性(AMR)あるある川柳 募集中

AMR臨床リファレンスセンターでは、「薬剤耐性(AMR)」や「抗菌薬」をテーマにした川柳を、11月1~30日の1か月間、公式サイトで募集中↓↓↓
https://amr.jihs.go.jp/information/2025senryu.html

あらためて、薬剤耐性(AMR:AntiMicrobial Resistance)とは、感染症を引き起こす原因となる微生物に、本来であれば効果があるはずの薬が効かなくなること。

かぜには抗菌薬(抗生物質)が効く、は誤解。かぜの原因はほとんどがウイルス。

抗菌薬は細菌に作用する薬なので、かぜをひいたときにのんでも効果はない。

不必要・不適切な抗菌薬の使用は、薬剤耐性菌を増やしてしまう原因につながる―――。

そんな意外に身近な AMR の問題を、川柳にして応募してみて。

抗菌薬を正しく使う 感染対策 感染症を広げない

そして最後は、冬場に患者が増える「かぜ」について。

かぜをひくと、医療機関で抗菌薬が処方されることがあるが、実はかぜは抗菌薬では治らない病気で、いたずらに抗菌薬を飲むことは身体の中に薬剤耐性菌を生む危険がある。

国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター 佐々木秀悟医師は、「私たちにできるAMR対策」について、こう教えてくれた。

◆抗菌薬を正しく使う

-かぜに抗菌薬は効きません。医療機関でかぜと診断されたときに、抗菌薬を希望することはやめましょう。

-抗菌薬を処方されたら、医師の指示を守り、適切に飲みましょう。途中で症状が良くなっても、量や回数を減らしたりせず、最後まで飲み切りましょう。

-抗菌薬をとっておいたり、人にあげたり、もらったりするのはやめましょう。

◆感染対策

-手洗い手洗いは感染対策の基本です。外から帰ったとき、トイレの後、食事前などはしっかり手洗いをしましょう。

-せきエチケットせきやくしゃみが出るときは、マスクをして飛沫が飛ばないようにしましょう。マスクが無い時は、ハンカチや袖の内側などで鼻と口を覆いましょう。

-ワクチンワクチンで防げる病気があります。必要なワクチンを適切な時期に打ちましょう。

◆感染症を広げない

-感染症による症状 (のどの痛み、せき、鼻水、発熱など) がある時は、外出を控えてゆっくり休みましょう。

(佐々木医師)

(c) 清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

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