
「最初の矯正歯科医院選びが治療の室質を左右します。
あふれる情報のなかから、正確な知識と信頼できる基準をもとに判断することが、後悔しない矯正歯科治療への第一歩になります」
―――そう訴えるのは、矯正歯科の専門開業医が所属する国内最大の団体、公益社団法人日本臨床矯正歯科医会。
日本臨床矯正歯科医会が公表した最新調査結果(全国10~70代 男女800人対象 矯正歯科治療に関する意識調査)では、矯正歯科治療へのイメージと現実のギャップや、誤った認識が形成される要因やトラブル実例が明らかに。
矯正歯科の診療・治療を受けたいと思っている人やその家族は、この結果、要チェック↓↓↓
矯正歯科治療 情報源半数以上がSNS 安くてすぐできると想思いがち
まずは調査結果をまとめると、リアルな5つの衝撃的事実が明らかに……。
◆若年層の矯正歯科治療を検討するおもな動機は、約半数が「コンプレックスの解消」など審美目的であり、情報源の約54%がSNSだった。
◆歯科医院選びの注目ポイントとして、若年層の約5割前後が「費用の安さ」を重視していた。
◆アライナー(以後マウスピースと記載)矯正は全年代で最も人気が高く、10代では79%と高かった。
◆若年層の多くは、矯正歯科治療を比較的「安価」で「短期間」でできるものと想思っている。
◆歯科医師免許があれば診療科名を「矯正歯科」と標榜(看板・掲示)できる事実を知らない人は約8割もいた。
―――こうした調査結果を受け、日本臨床矯正歯科医会は、矯正歯科の診療・治療を受けたいと思っている人やその家族たちに、こう伝えている↓↓↓
安価 短期間を強調する広告には注意 認定資格をもつ信頼できる矯正歯科医がいる歯科医院へ

◆SNS上で出回っている広告や真偽のわからない情報が見られる多数存在するため、情報を十分理解しないまま決めることはせず、信頼できる矯正歯科医院の説明や複数の情報源をもとに検討しましょう。
◆マウスピース矯正には適応範囲に限りがあります。「安い・早い」だけで選ばず、専門の矯正歯科専門医の診断を受けたうえで、自分に適した治療法を選択しましょう。
◆費用は一般的に70万以上、期間は平均で2~3年程度必要とされます。安価・短期間を強調する広告には注意が必要です。
◆安易に歯科医院を選ぶと、標準的な治療よりも症状がより深刻になってしまったり、治療期間のが延長したり、やさらには費用が膨らむ場合がもあるので、注意が必要です。
◆歯科医院の公式サイトで、歯科医師の経歴・専門資格、費用や治療期間の記載があるかを確認し、さらに認定資格が公的機関に認定された本物なものか確認することをおすすめします。
(日本臨床矯正歯科医会)
「バズっている=よい医院」という短絡的な判断にリスクあり

◆若年層の矯正歯科治療を検討するおもな動機は、約半数が「コンプレックスの解消」など審美目的であり、情報源の約54%がSNSだった。
―――この調査結果について、日本臨床矯正歯科医会はこうアドバイス↓↓↓
「SNSでは費用の安さや期間の短さなどをキャッチコピーにし、治療内容を説明されていない広告的情報やインフルエンサーの体験談や、見た目のよい症例写真など、治療過程や個人差について省かれていた断片的で中立性に欠ける情報が混在しています。
広告と客観的情報の区別がつきにくくなり、「バズっている=よい医院」という短絡的な判断に陥るリスクがあります。
SNSの情報をかんたん簡単に信じず、信頼できる歯科医院の説明や複数の情報源をもとに検討しましょう」(日本臨床矯正歯科医会)
矯正歯科治療に関する専門的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を

◆歯科医院選びの注目ポイントとして、若年層の約5割前後が「費用の安さ」を重視していた。
◆アライナー(マウスピース)矯正は全年代で最も人気が高く、10代では79%と高かった。
―――この調査結果について、日本臨床矯正歯科医会はこうアドバイス↓↓↓
「若年層を中心にアライナー(マウスピース)矯正の人気が高い傾向ですが、マウスピース矯正には適応範囲と限界があります。
“手軽で安い”という印象が先行していますが、症例に応じた正確な診断と治療計画が不可欠であり、安易な自己判断や広告情報には注意が必要です。
また矯正歯科治療には様々な方法や装置がありますが、それぞれメリットとデメリットがあります。
料金や簡便さだけで治療方法を選ぶのは非常に危険ですので、矯正歯科治療に関する専門的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断のもとで治療方法を選ぶことを推奨します」(日本臨床矯正歯科医会)
治療を検討する際には費用の内訳と治療内容の確認が重要

◆若年層の多くは、矯正歯科治療を比較的「安価」で「短期間」でできるものと想っている。
―――この調査結果について、日本臨床矯正歯科医会はこうアドバイス↓↓↓
「実際の治療費用の相場はマルチブラケット(ワイヤー矯正・表側)70~120万円、ワイヤー矯正(裏側)100~180万円、マウスピース矯正が90~120万円(※全て調整料込)とどの治療も30万円未満で完了するケースはほとんどありません。
格安でうたう広告には調整料や追加装置が別料金など隠されている部分があり、「安さ」だけで選ぶと危険です。治療を検討する際には費用の内訳と治療内容の確認が重要です。
また、期間は患者さんの症状によるので決まった期間はありません個人差がありますが、1年以内で終わることはほぼありません。
全体的な治療では、実際は平均2~3年かかります。また、症状につきましてよっては3年以上かかる場合もあり、3ヶ月で終了するなど短期間をキャッチコピーにした広告には要注意です」(日本臨床矯正歯科医会)
日本矯正歯科学会認定医に相談を 認定資格が信頼できる本物なものか確認も
◆歯科医師免許があれば診療科名を「矯正歯科」と標榜(看板・掲示)できる事実を知らない人は約8割もいた。
―――この調査結果について、日本臨床矯正歯科医会はこうアドバイス↓↓↓
「実は、歯科医師免許を持っていれば「歯科」「小児歯科」「口腔外科」「矯正歯科」の4つ診療科名を自由に標榜(看板・掲示)できることから、歯科医師のが受けた専門的教育や研修の経歴は標榜では判断ができません。
矯正歯科の専門性をあらわす認定資格の1つである「日本矯正歯科学会認定医」が2,830人で、その約10倍の27,000医院が「矯正歯科」を“標榜”(看板・掲示)しています。
したがって、矯正歯科医院選びの際には、医院の公式サイトで歯科医師の経歴・専門の認定資格、費用や治療期間の記載があるかを確認し、さらに認定資格が信頼できる本物なものか確認することをおすすめします」(日本臨床矯正歯科医会)
日本臨床矯正歯科医会 矯正歯科医院選びを失敗しないポイント

1)情報収集の第一として、検討している歯科医院のホームページをチェックし、まずは歯科医師の経歴、「日本矯正歯科学会」の「認定医」「臨床医」(旧専門医、旧臨床指導医)もしくは「日本歯科専門医機構認定」の「矯正歯科専門医」であるかどうか、その認定資格が本物かを確認し、歯科医師の経歴、治療方針、費用・期間の記載なども確認しましょう。
さらに歯科医師が「日本矯正歯科学会」「日本歯科専門医機構」のホームページに掲載された名簿にも掲載されているかをチェックして、その認定資格が信頼できるか確認することもお勧めします。
◆日本矯正歯科学会
https://www.jos.gr.jp/
◆日本歯科専門医機構
https://www.jdsb.or.jp/
または技術力がある矯正歯科の専門開業医が所属する当会ホームページから候補医院をお探しください。
2)そして、候補の医院を選択したあとは実際に足を運び、以下の「6つのチェックポイント」を確認することが大切です。
来院時に確認するべき6つのチェックポイント
◆セファログラム(頭部X線規格写真)を検査をしている
◆精密検査を実施し、それを分析・診断したうえで治療をしている
◆治療計画、治療費用について詳細に説明している
◆長い期間を要する治療中の転医、その際の治療費までを説明している
◆常勤の矯正歯科医がいる
◆専門知識がある衛生士、スタッフがいる
3)ワイヤー矯正以外の特定の装置(例えばマウスピース矯正)しか扱っていない(もしくは特定装置ばかり推してくる勧めてくる)歯科医院は注意が必要です。
歯科医院選びの段階で判断を誤ってしまう可能性あり 正しい情報と確かな基準をもとに選ぶことが大切
―――そして日本臨床矯正歯科医会は、この調査結果を受け、「信頼できる矯正歯科医院を見つけて」と強調する。
「この調査を通して明らかになったのは、矯正歯科治療を検討する多くの人が費用・期間・治療方法についての「意識」と「実際の状況」との間にあるギャップがあり、歯科医院選びの段階で判断を誤ってしまう可能性があるということです。
矯正歯科治療では、“最初の矯正歯科医院選び”がその後の治療結果に大きく影響します。
SNSや広告など情報があふれる中で、正しい情報と確かな基準をもとに、選ぶことが大切です。
日本臨床矯正歯科医会が示したチェックポイントを参考に、ぜひ信頼できる矯正歯科医院を見つけてください」(日本臨床矯正歯科医会)
日本臨床矯正歯科医会所属のオルソドンティスト(Orthodontist)に相談を
矯正歯科治療の専門家集団、公益社団法人日本臨床矯正歯科医会は、矯正歯科の専門開業医が所属する国内最大の団体。
歯科にも矯正歯科治療を専門に行うところもあれば、歯周病治療やインプラント治療を中心に手がけるところがある。
そのなかでオルソドンティスト(Orthodontist)は、矯正歯科治療に特化した歯科医のことをいう。
オルソドンティストになるには、歯科大学または大学歯学部に6年間通い、臨床研修を修了して国家試験に合格した後、大学付属病院の矯正歯科や臨床研修機関指定施設で歯科矯正学の理論と臨床に関する専門的な指導を受け、自己研鑽を積まねばならない。
―――こうした情報は、公益社団法人日本臨床矯正歯科医会 土屋朋未 会長、同会 東北支部 曽矢猛美 会員、同会 篠倉千恵 広報理事が「若年層が抱く矯正歯科治療のイメージと現実~矯正歯科医の視点から~」(11/6 @東京 大手町サンケイプラザ)で教えてくれた。

