「おきゃく」と言っても「お客様」のことではない。高知県における酒宴の文化を「おきゃく」と呼ぶ。

高知県は全国屈指の酒国であり、カツオを筆頭に魚介類も豊富。大皿に盛った皿鉢料理(さわちりょうり)を囲み、お酒を酌み交わして絆を深める文化が根付いた。飲み干すまで置けないように細工された「可杯(べくはい)」やお酒のロシアンルーレット「菊の花」といったお座敷遊びも充実している。飲めない人には辛いようにも感じられるが、「無理そうな人に盃が渡ったら、物凄く飲めるおじさんが突然やってきて(盃を)奪っていったりする」という具合に、アルコールが苦手な人に対するサポートも手厚い。

全く知らない人がさりげなく場に混ざっていたりするのも「おきゃく」の面白いところだ。「顔は知っているんだけど名前は知らない」のレベルではなく、「あの人誰やったっけ」という人も顔を出す。

そんな高知の「おきゃく」を楽しんでもらおうと、高知県が今月、新橋の「土佐清水ワールド」でメディア向けの取材会を開催した。毎月3月に開催される人気イベント「とさの『おきゃく』」を紹介し、同イベントの実行委員長・土佐かつおさんがお客文化の魅力を語った。

「土佐清水ワールド」では12月31日まで「おきゃく文化」を体験できるプランを提供中。金額は7,500円で、飲み放題付。ネット予約で受け付ける。「可杯」や「菊の花」を体験できるほか、予約卓には「おきゃく指南書」を設置する。

近年では若者を中心に酒席を敬遠する傾向が見られ、2025年度の忘年会・新年会実施率は57.8%と、コロナ禍後で最も低くなった(東京商工リサーチ)。そんな折に一風変わった酒席文化を体験してみるのも面白いかもしれない。

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