名古屋駅から名鉄線で20分。戦国時代には蜂須賀小六正勝、福島正則をはじめ、7人もの大名を輩出し、NHK大河ドラマ「どうする家康」ファンの聖地としても注目が集まる地―――愛知県あま市。

ここあま市に、執務執行の効率や市民サービスの向上、防災機能を拡充させた 新庁舎が5月にオープン。

このオープンを祝うかのように、あま市役所 新庁舎 1階ロビーに掲げられたのが、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章を受章した世界的な画家・松井守男(愛知県豊橋市出身)の絵画―――「書き初め」。

服部コーワホールディングの服部章平 代表取締役社長が寄贈

この松井守男「書き初め」(2008年/油彩・カンヴァス/215×500cm)を所有するのは、ここ愛知県あま市に本社を構える服部コーワホールディングの服部章平 代表取締役社長。

服部社長が、あま市の新庁舎完成を祝うとともに、今後のあま市の発展と、市役所が文化的な魅力を持つ場所となることを期待して、この新庁舎に寄贈した。

「表現力が豊かになり多様性を受け入れられるように」

コーワペッツコーポレーション、ペッツフレンズコーポレーション、スーパーキャット、アニマルロジスティクスなどのグループ企業を包括する服部コーワホールディングの服部章平 代表取締役社長は、今回の絵画寄贈にこんな想いを込めている。

「長年、お世話になっているあま市へ何かお礼をしたいと考えておりました。

そこで新庁舎完成の節目に、ささやかながら松井守男画伯の『書き初め』を日ごろの感謝の気持ちを込めて、お贈りすることにいたします。

松井画伯は、かの有名なピカソに認められた、最後の弟子であるとともに、フランスの芸術文化勲章とレジオン・ドヌール勲章(名誉勲章)を受賞した有名な画家です。

松井画伯との出会いはフランス、パリコレクションでした。

同じ愛知県出身で同世代同士がフランスパリの地でパリコレのクリエイティブな表現と時間を共有し、意気投合したのがきっかけです。

交流を深める中で、地元に恩返しがしたいという共通の思いから、絵画寄贈を計画した次第です。

本来なら、私の自宅であま市に滞在しながら、あま市の風景、人情に触れ、インスピレーションを表現していただく予定でした。

しかし、その計画を実行する矢先に先生が急逝され、先生との約束を果たすためにも、私が所有する松井先生の作品の中から『書き初め』を選びました。

松井画伯は既成概念にとらわれず、竹箒を筆として絵を描かれるなど、常に五感と直感、少年のような眼差しで世界を感じ、彼の感性を融合した作品を世に残しておられました。

急激なグローバル化が進む現代において、多様性は必要不可欠です。

芸術に触れることは教養が身に付くだけでなく、直感・想像力が磨かれ、表現力が豊かになり多様性を受け入れられるようになるという利点もあります。

松井先生のように愛知県、さらに言えば、このあま市から世界へ羽ばたくグローバル人材が輩出されることを期待しております。

松井画伯の作品が、あま市市民や後世の人たちの心の癒しの場として、さらにはいっしょに楽しむ仲間づくりのきっかけとなっていただけば幸いです」(服部コーワホールディングの服部章平 代表取締役社長)

異なる要素の融合が独特の魅力、松井守男「書き初め」

松井守男「書き初め」(2008年/油彩・カンヴァス/215×500cm)は、2008年1月2日にコルシカ島のアトリエでつくられた作品。

幅5mの大画面上に赤の大胆なストロークから迸るようにピンクや黄色などの絵具が鮮やかに散りばめられ、躍動する生命を表現するかのような絵に。

また、所々に対称的な描写があり、万華鏡を思わせるようなデザインが特徴的。

作品の色彩も鮮やかでありながら、左右に描かれた「書」のような文字や、全体的にカリグラフィーに似た筆致を通じて、西洋と東洋の調和を感じ取ることができる。

さらに、作品の左側には甲冑を纏った武士が腰掛けているかのようなイメージが見られ、全体的に透視図法のような焦点がないため、作品は無限の広がりと奥行きを持っているように感じられる。

これにより、鑑賞者は作品に浸りながら、さまざまな想像を掻き立てられる。

松井守男独自の世界観が色濃く反映された作品であり、異なる要素の融合が独特の魅力を生み出している。

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