日本国民を奮い立たせたパリオリンピックは、日本選手団が獲得した金メダルが18個をマークし、オリンピック海外大会で最多を更新。
日本代表選手団たちが国内を凱旋するなか、もうひとつの“県代表”が、快挙を成し遂げた。
千葉県代表 松戸BCが全国大会で全勝優勝
松戸市内の公立中学校に通う野球部員の選抜メンバーで構成する強豪 「松戸BC」(松戸ベースボールクラブ)は、昨年に続き千葉県中学生選抜野球大会(KC杯)を制覇。
千葉県代表として、8月3~6日「令和6年度 第7回全国中学生野球大会 in 岩手」に出場し、一次リーグ(Eグループ)の総当たり戦で3戦全勝、3日目の決勝トーナメントで強豪2チームを打ち破り4日目の決勝リーグにすすみ、さらに強豪2チームに競り勝ち、見事優勝。
“国内最強中学野球チーム”の称号を手にした。
なぜ松戸市の野球が強いのか
松戸市内の公立中学校に通う野球部員の選抜メンバー(全員中学3年生)で構成する「松戸BC」 が、なぜ千葉県大会を連覇するほど強豪チームへと成長したのか。
そして、松戸市出身としては初のメジャーリーガーとなった上沢直之選手(松戸市立第一中学校軟式野球部出身)をはじめ、プロ野球選手を多数排出している松戸市に根付く、どこにもない“野球教育文化”とは―――。
―――専修大学松戸高等学校を経て、松戸市内中学校の野球部顧問として松戸市立第四中学校を全国大会に導くなどのキャリアを積み、2023年から 松戸BC の監督を務める吉澤和真監督は、こう話す。
オール松戸で広報・育成・進路を一気通貫
「松戸市内の公立中学校野球部は、各校の監督・コーチなどの関係者で構成される”野球専門部”が、『広報・育成・進路』という一貫した“オール松戸ビジョン”で日々取り組んでいます。
たとえば“広報”の取り組みとしては、われわれチームが練習している場所・時間などを野球部のある高校15校などに随時伝えています。
練習時点から松戸選抜メンバーを含めたさまざまな選手たちの成長・可能性を見てもらい、大会での選手たちの活躍をチェックしてもらうことで、高校での戦力としてジャッジする機会を共有しています。
だから、軟式野球の松戸BCも他の強豪硬式野球チームと優劣や遜色のないフラットな視点で、選手たちの実力・戦力・可能性を見てくれています
育成という面でも、他市にはない取り組みを積極的に展開しています。
たとえば、松戸BCは、松戸市立松戸高校をはじめとした近隣の高校をお借りして、他市の選抜チームとの練習試合を重ねることで、生徒にとっては高校のグラウンドでプレーができ、高校野球をよりイメージしやすくなります。
いっぽう、高校にとっても地元の高校へ目が向く機会となり、高校進学への選択肢が増えるという、両者にとってもメリットの多い取り組みとなっています」(吉澤監督)
野球と教育を松戸の魅力として盛り上げて
「さらに、野球やソフトボールで活躍する小学生たちにも松戸の中学校の野球部の魅力を伝える活動もしています。
小学生たちに『(吉澤監督が勤務する)小金中学校の練習に参加してみないか?』といった声もかけながら、“中学野球の魅力”を共有する機会をつくっています。
もちろん野球だけではなく、“松戸の学校生活の楽しさ”や“松戸の魅力”も伝えています。
こうしたアクションは、松戸市内の公立中学校の先生たちの自主的な活動です。
だから、野球の試合では各学校は競合相手ですが、『野球と教育を松戸の魅力として盛り上げていこう』という共通の想いをもって、オール松戸で取り組んでいます」(吉澤監督)
―――野球を軸にした地域活性化アクションともいえる「野球の松戸モデル」が、全国優勝という快挙で、その革新性を証明したかたち。
今後の動きに、注目だ。