
医療人材の枯渇をどう克服していくか―――。
この課題に向けた取り組みのなかでも、全国初のモデルケースとなりそうな「病院と薬局の新たな連携モデル」が動き出した。
熊本大学(小川久雄 学長)と、総合メディカルグループ(本社:東京都千代田区 福岡県福岡市/多田荘一郎 代表取締役社長)は、地域医療の質向上と持続可能な医療提供体制の構築を目的とした包括的連携協定を締結。
病院と院内薬局との連携はこれまで実績があるなか、院外薬局と大学病院などとが全国に先駆けて連携していくという。
病院 診療所 薬局 在宅を横断し患者を支える人材育成 多職種連携へ

「日本の医療は今、制度や設備の限界ではなく、「人材のアップデート」という見えにくい構造的ボトルネックに直面しています。
高齢化の進行により、循環器疾患やがん、慢性疾患を抱えながら地域や在宅で療養する患者さんが急増するいっぽう、病院・診療所・薬局・在宅を横断して患者さんを支える人材育成や多職種連携の仕組みは、十分に追いついていません。
これまで日本の医療は「病院完結型」を前提に高度化してきましたが、今後は退院後支援や療養先の選択、在宅を含めた継続的な医療・ケアをいかに切れ目なく提供できるかが問われています。
この転換期において最大の鍵を握るのが、職種ごとの役割を再定義しながら連携する「人」の問題です。
こうした構造的課題に正面から向き合うため、熊本大学と総合メディカルグループは、地域医療の質向上と持続可能な医療提供体制の構築を目的とした包括的連携協定を締結しました」(熊本大学・総合メディカルグループ)
退院後の服薬支援や在宅療養支援を含む
病院から地域 在宅まで切れ目なく患者を支える仕組みを構築

「熊本大学が担ってきた高度医療・研究の知見と、総合メディカルグループが地域の診療所・薬局・在宅医療を通じて培ってきた現場力を掛け合わせ、理念にとどまらない実装型の地域医療モデルの構築を目指します。
本協定では、循環器疾患・がん領域を起点に、薬剤師をはじめとする医療人材の育成・リカレント教育と多職種連携を中核に、退院後の服薬支援や在宅療養支援を含む、病院から地域・在宅まで、切れ目なく患者さんを支える仕組みの検証と実装に取り組みます。
産学連携が形式化しがちないまだからこそ、「人材の変革」を起点に医療の現場をアップデートし、熊本から日本の地域医療が直面する課題に対する実践的な解決策を提示していきます」(熊本大学・総合メディカルグループ)
全国の地域医療課題解決に向けたモデルケースに

医療・介護分野に専門特化した人材サービス、医療・介護施設の企画・設計・施工などの医業支援事業、全国700店舗超の調剤薬局を展開するヘルスケア事業などを手がける総合メディカルグループは、3000名超の薬剤師を抱える医療総合サービス企業。
2025年4月に総合メディカルグループに代表取締役社長に就任した多田荘一郎氏は、熊本大学と GEヘルスケア・ジャパンが連携協定を結んだときに、GEヘルスケア・ジャパン代表を努めていた。
「院外薬剤師は患者さんとのアクセスポイントが多いことから、今回の熊本大学との連携によって、各現場で医療の質が上がると期待している、それぞれの立場や領域を超えて、研究データも加えてシームレスな薬物治療を目指したい」(多田社長)
熊本大学 小川学長は「大学病院と院内薬局との連携はおそらく全国で初めて。九州・熊本からこうした連携が実現し社会実装されると、全国の地域医療課題解決に向けたモデルケースとなり、全国展開できるはず」とも伝えた。



