今村豊 選手が現役引退を表明し、記者会見が行われました。
今村選手は、ボートレース最高峰のレース「SG」を7回制覇したボートレーサー。
1981年のデビューから39年5か月に渡ってトップクラスで活躍されました。会見のライブ配信はアーカイブでご覧いただけます→ https://t.co/fLX7jgAnXX pic.twitter.com/0hCXJ3TZof
— 公式 DYNAMITE BOATRACE|ボートレース (@Lets_BOATRACE) October 8, 2020
「そもそもぼくがボートレースファンになったのは、ボートレース多摩川で今村選手がツケマイで彦坂選手を潰したレースをみて、『とんでもない選手がいる』と思ってから。もう三十数年です」
「ずっと今村選手を追いかけてきました。いまでもそうです。ほんとうにいちファンですけど、これまでありがとうございました。たくさん損もしました(笑)。ただそれもこれもすべて、いい思い出となっております」
芸能界きってのボートレース大好き俳優 坂上忍がそう語る選手とは、水上の格闘技 ボートレース界のレジェント―――今村豊。
1961(昭和36)年生まれ、山口県出身、59歳。20歳でボートレース界にデビューし、初戦を1着で通過し一気に注目を集める。通算1着回数は2880勝、SG優勝回数7回、通算優勝回数142回。通算獲得賞金29億4144万6172円。
そんな並外れたレコードをもつボートレース界のレジェンドが、レース人生を静かに終える。今村豊は10月8日、都内で引退会見を開き、目を潤ませながらこれまでのレース人生を振り返った。
「勝つためには手段を選ばない」はやらない、それは貫き通せた
「自分のレースは、人にぶつかっていかない。そこは最後まで崩したつもりはありません。ミスで相手とぶつかったことはあるけど、勝つために手段を選ばずにやったことはありません。それだけは貫き通せたと思います」
「いまも印象に残るレースは、東京・平和島で1987年に行われたダービーですね。笹川良一会長と橋本龍太郎運輸大臣に直接、表彰してもらったのが印象に残ってます」
「8月の下関で行われたボートレースメモリアル(SG)で引退をと考えていましたが、徳山のダイヤモンドカップで最後にしようと決めました。デビューしたレース場が徳山で、引退もデビューと同じ徳山でできたことは、ほんとうに幸せ者」
「最後の徳山は、とにかく正常にスタートして、正常にゴールすることだけを考えました。ちゃんとゴールする姿を見せたいと思っていましたから」(今村豊)
増量がきつい、最低体重制限に「限界を感じた」
引退会見に挑んだ今村選手は、引退理由について、目をうるませながらこう続けた。
「最低体重制限51kgになったときから体調管理に苦労してきました。さらにことし11月からは52kgに変更されることに限界を感じ、今期限りかなと思うようになりました」
「ボートレーサーになるきっかけは、もともと身体が小さくて体重が軽く、父から「ボートレーサーになれ」といわれたことから」
「最も減量したころは体重43kg。練習を重ねると余計に体重が落ちていくんですね。そこへ、健康上の問題で最低体重制度ができて、今度は太らないといけない」
「食べたくないのに食べる、これがものすごくつらいんです。レース後に宿舎ですぐ摂る食事が苦痛でした。自分には、減量より増量がきついとずっと思っていました」(今村豊)
駆けつけた植木通彦「ぼくよりもずっと先輩、ほんとうにすごいこと」
59歳ボートレーサー今村豊は、病との闘いも。
「40代前半にメニエール病を発症し、発作が出るとレースを欠場することになりました。その欠場が増え、関係者に迷惑をかけたとき、引退を考えたことがありました。でも、なんとかがんばって、ここまでやってこれました」
「引退後は、ゆっくりのんびり生きていきたい。なにか職に就くことは考えていませんが、なにか手伝いが必要なときに、協力できればとも思っています」
―――引退会見会場には、今村豊よりも先に引退し、現在ボートレースアンバサダーを務める植木通彦が駆けつけ、花束を贈ると、今村豊にやっと笑みがこぼれた。
「わたしにとって、ボートレースは人生そのもの。高校を出てすぐ訓練を受け、20歳でデビューし59歳まで、ボートレースに始まりボートレースに終わりました」
「これからのボートレーサーは、『ボートレースって面白いよね』ってファンに感じてもらえるレースをしてほしいですね。コロナの制限が解けたときは、ぜひレース場でリアルなレースを観てほしいと思います」(今村豊)
白井英治がわたしの夢をつないだと思う
「師匠、40年間、ほんとうにおつかれさまでした。これからは今村さんが唯一なし得なかった、賞金王になることを、最高の恩返しと思って、日々精進していきたいと思います。ぼくがそばで見守っていきます」
―――そう語るのは、同じ地元 山口支部のボートレーサー白井英治。そんな白井の思いを聞き、今村は引退会見をこう締めくくった。
「やり残したことがあったら辞めていません。いまは満足感でいっぱいです。賞金王(グランプリ)はチャンスはあったけど、これも今村豊の人生かな」
「すべてのタイトルを取ったら面白くないですしね。あとは、白井英治がわたしの代わりに賞金王を獲ってくれるというから、わたしの夢をつないだと思っています」
「全国のファンのみなさん、長い間、応援してくださり、わたしの支えとなってくれて、ここまでやることができました」
「自分は引退に悔いがないので、残念がらないでほしいと思います。みなさんほんとうにありがとうございました」
<ボートレース公式You Tube>
https://www.youtube.com/channel/UC4zGMicoES8FZwkhiXXZThg