国内製薬大手エーザイと米国バイオ医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」が、アメリカ食品医薬品局から承認を受けたのが6月7日。
アルツハイマー病患者の脳内に蓄積し発症を引き起こすとみられるアミロイドβ(ベータ)が、このアデュカヌマブを投与することで減少することが臨床試験で確認されたという。
そこから2週間後、こんどは島津製作所は、少量の血液からアミロイドβが測定できる世界初の医療機器「血中アミロイドペプチド測定システム」を発売した。
―――いまこのアミロイドという物質を研究するエキスパートが注目を集めている。麻布大学 獣医学部 獣医学科 上家潤一教授や相原尚之講師もそんなひとり。
上家教授や相原講師はことし、「アミロイド線維を作る」と題した研究プロジェクトに参画する学生を募集。しかも、学科や学年を問わず、「病気のメカニズムに興味がある学生」を募っている。それが……。
麻布大学、学部生でも研究に没入できる「出る杭プロジェクト」
麻布大学は、全国大学で文部科学省から唯一採択された「動物共生科学ジェネラリスト育成プログラム」を展開。学部生1年生から「本物の研究」にチャレンジできる場として注目を集めている。
たとえば、麻布大学「動物共生科学ジェネラリスト育成プログラム」内では、学部在籍中に大学院の授業が履修できる。
この制度を使うと、大学院修士課程を1年早く終了するチャンスが得られ、1年分の学費が節約できる。
また理系大学院修了者は、学部修了者と比較して生涯年収で約4000万円上回ることが、内閣府の調査研究で明らかになり、大きな金銭的メリットもある。
2021年度は全学部に拡大、28の研究プロジェクトが立ち上がる
獣医学部 獣医学科・動物応用科学科と生命・環境科学部 臨床検査技術学科・食品生命科学科・環境科学科の2学部5学科と、大学院(獣医学研究科と環境保健学研究科) で構成する麻布大学は、昨年まで動物応用科学科と食品生命科学科を中心に行ってきたこの実践的ジェネラリスト育成研究プログラムを、今年度から規模を全学部に拡大。
動物共生科学ジェネラリスト育成プログラムとして、動物・食品・環境の各分野で研究プロジェクトが走り出した。2021年度は、28の研究プロジェクトが立ち上がり、7・8月に説明会などを経て研究が本格的に動き出す。
麻布大の育成プログラム、2023年度には高校生の参加もめざす
麻布大学は、こうした動物共生科学ジェネラリスト育成プログラムをさらに拡大させ、2023年度(予定)から高校生が大学の先生から直接の指導を受けながら研究にチャレンジできる場「いのちと共生のプログラム」を立ち上げていく計画。
大学の授業も受講でき、高校生時代に受けた大学の授業は、入学後に大学の単位として認定され、大学でのさらなる自由な活動時間を増やすことにつなげていくという。
◆麻布大学 出る杭プロジェクト
https://www.azabuderukui.info/
◆研究好き女子に聞く! 国内初、「1年次後期から研究員」な麻布大学の実践的ジェネラリスト育成研究プログラムのインパクト
https://tetsudo-ch.com/9951678.html
◆1年次後期から研究に参画できるプログラム、麻布大学 動物応用科学科が国内初導入
https://tetsudo-ch.com/9952173.html