長野駅から西へ3km、静かな住宅街のなかにひっそりとかまえる学習塾が、人知れずいま、静かに熱い。
40~80代の男性・女性が、複数のパソコン画面にむきあいながら、もくもくと編集作業……かと思えば、YouTuberの人気動画や地元の流行りの店について雑談トーク。
ここは、長野市西尾張部。パソコン&カルチャー教室 脳健舎。夕方からは子どもたちが通う学習塾に姿を変える。
ここに通う60代男性「元気人さん」がつくった観光案内ムービー「ピンころ地蔵」がこれ↓↓↓。
大好きなゴルフを忘れちゃうほどムービー制作に夢中
この元気人さん、この教室に入るきっかけは、「パソコンを基礎から学びたい」という思いから。パソコンと同じぐらい写真撮影が好きらしく、まずは撮りためた画像を整理する目的で、画像編集にトライ。
静止画像から動画を作成できるICT教材を使ったムービー制作にはまってると。
最近では、つくったムービーを ICT教材内のクラウドストレージに保存するだけじゃなく、Youtube にアップして公開するステップも体得したらしく、大好きなゴルフを忘れちゃうほどムービー制作に夢中に。
こうしたシニアのトレンドを追いかけるように、長野市内をはじめ、近隣の市町村から幅広い世代が参加していると。
なるほど。ここ長野にも、60代からユーチューバーをめざす人がいた……って思ってたらもうひとり、ユーチューバーをめざす70代もいた。
咲き誇る桜と臥竜公園のムービーも見事!
桜前線が北上中のいま、美しい桜と臥竜公園を切り取ったムービーを制作したのは、70代男性「カトちゃん」。カトちゃんもやはり「パソコンスキルを身につけたい」という思いで教室の門をたたいたひとり。
やっぱりカメラや写真が好きで、自分で撮影した画像を DVD-ROM に記録して持ち歩き、同級会などで公開して楽しんでいた。
そこに、例のICT教材と出会って、いまはムービー制作にはまってると。
ここで、あまり耳にしない、「ICT教材」なる言葉が気になる。
日本コスモトピアのICT教材「カルチャーレストラン」を導入
この長野市にあるパソコン教室 脳健舎 では、2015年に日本コスモトピアのICT教材「カルチャーレストラン」を導入。
<カルチャーレストラン>
https://www.cosmotopia.co.jp/culture/
現在は40代から80代までのシニアたちが、このICT教材を活用したクリエイティブワークに挑戦。「子どもからシニアまで、年令や性別に関係なく、生涯学習という時間を共有している」と話すのは、この教室の割田直人オーナー。
「学習塾と資格スクールを経営しているなか、生涯学習の場として、地域の小学生からシニアまでが集う教室にしたいという思いで、『カルチャーレストラン』を導入した」
日本コスモトピア「カルチャーレストラン」は現在、50を超える講座(2000時間以上)コンテンツを公開。「シニアの学びの場・憩いの場をつくる生きがいづくり事業」のひとつで、すでに全国約200の現場で、カルチャーレストランの教材が活用されているという。
この教室に集まるシニアたちは、自分がつくった動画を「観光客や地域の人にも見てもらいたい」という思いから、ひとつのマップにし動画にアクセスするQRコードまでつけて配布。
前出の「元気人さん」がつくった観光案内ムービー「ピンころ地蔵」は地図中の(5)、「カトちゃん」の「臥竜公園」は地図中(3)という具合。
デジタルなムービー制作の紹介を、アナログな紙にプリントアウトして、シニアのコミュニケーションツールとして活かされている。
―――ICT教材がもたらす、デジタルとアナログの広がり……全国各地にアクティブシニアユーチューバーが、拡散する予感。