電通イージス・ネットワーク(英ロンドン)は、オックスフォード大学の研究機関 Oxford Economics と共同で、世界24か国、4万3,000人が自国について回答する形式で実施した調査と二次データにもとづく分析を行ない、「デジタル社会指標」と「デジタルニーズ充足度」を発表。

デジタル社会指標は、各国内で、社会・人々に資するデジタル経済がどの程度構築されているかを示すもの。

“人”視点で捉えた当社独自の3つの分析軸、「ダイナミズム(デジタル経済の成長度合い・活力)」「インクルージョン(デジタル成長の恩恵を受ける層の広さ、人々のデジタル活用度)」「トラスト(成長の基盤となるデジタル社会への信頼度)」を活用し「Digital Social Index(DSI)」スコアとして指標化。

また今回初となるデジタルニーズ充足度は、デジタル経済が人々のデジタルニーズを満たしているかどうかを示すもの。

電通がマズローの欲求段階説を参考に独自開発した「基本的ニーズ」「心理的ニーズ」「自己実現ニーズ」「社会課題解決ニーズ」という4つの切り口で、各国別に測定した。

日本はインクルージョンとトラストが最下位レベル

この結果、日本は「デジタル成長の恩恵を受ける層の広さ、人々のデジタル活用度」(インクルージョン)と、「成長の基盤となるデジタル社会への信頼度」(トラスト)が世界でも最下位レベルであることがわかった。

米国は「ダイナミズム」が高いいっぽいで「トラスト」は低く、これは他の西欧諸国でも見られる傾向という。

日本はデジタルニーズ充足度が最下位

また、デジタルニーズ充足度では、日本は最下位。この結果について電通はこう分析している。

◆利用しやすさ:デジタルのインフラが高品質であると考える人が少ない。(基本的ニーズ)
◆信頼性:企業・政府による個人データの取り扱いに関する信頼性が低い。(基本的ニーズ)
◆消費者行動:デジタルに対する行動を変えようとする人が少なく、デジタル製品・サービスの利用率が低くとどまっている。(心理的ニーズ)
◆スキル/教育:多くの人が自分のデジタルスキルは高くないと考えており、デジタルスキルが正しく利用され、役立っていると考える人の比率が低い。(自己実現ニーズ)
◆将来の期待:5~10年後にデジタル技術が社会にとって良い影響をもたらすと考える人の比率が低い。(社会課題解決ニーズ)

また、世界24か国では、5割未満の人々しかデジタルニーズが満たされていないという結果に。

デジタル経済が進展するなかで、人々の実際のニーズは見過ごされており、持続的経済成長への懸念が浮かび上がる結果、と電通はみている。

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