環境配慮(エコ)やオーガニック、フェアトレード、寄付つき、地域や伝統に根差したもの……など、人や地球にやさしい商品・サービスで、購入者が持続可能な社会づくりへの行動や団体とつながるもの―――それが、ソーシャルプロダクツ。

このソーシャルプロダクツの普及・推進させ、持続可能な社会の実現をめざす、ソーシャルプロダクツ普及推進協会(東京都中央区、会長:江口泰広)は2月16日、第9回『ソーシャルプロダクツ・アワード2022』の各賞を都内で発表した。

同アワードは「年度テーマ」「自由テーマ」の2テーマに分けて審査。

2022年の年度テーマは「東日本大震災からの復興につながる商品・サービス」、自由テーマは「生活者が「持続可能な社会」づくりに参加できる商品・サービス」。

その大賞・優秀賞・生活者審査員賞をここでチェック。また、受賞商品を一堂に集めた展示販売会を、大丸東京店(東京都千代田区)で、2月23日から3月1日まで開催。「商品性」と「社会性」の両方を兼ね備えた受賞商品の数々を、実際に見て触れて、購入してみて。

開催詳細は、この記事の最終段に。

年度テーマ大賞:SIOME(シオメ)/株式会社起点

東日本大震災・原発事故からの地域復興をめざし、福島での綿花の有機栽培とそれらを原料としたものづくりを行なっているローカルオーガニックコットンブランド。原料生産から製造はもちろんのこと、経済消費を日本国内で行うことで、持続可能な地域文化をつくることを目標としている。

https://shop.kiten.organic

審査員評価―――福島の記憶に残る生業をつくるという企業理念がプロダクトに上手く反映されている。共感を生む工夫やデザインのセンスが良く、欲しくなる商品としての工夫もある。オーガニックコットンというと「生成り・無地」が多くなりがちだが、そこにオリジナルの柄を乗せることで、他のブランドとの差別化ができる。2012年から福島で綿花の自社栽培を継続している点が評価できる。この魅力的なプロダクトのストーリー性やデザインのポイントなどの情報発信に期待している。

年度テーマ優秀賞:TEZKURI MARCHE – ART 『ジビエ鹿革ルームシューズ』手づくりキット/一般社団法人手づくりマルシェ

農林業被害を防ぐため駆除された天然の鹿革を使用。駆除された野生動物の革を無駄にせず資源として使う事で、自然と人との繋がりを感じるサステナブルなルームシューズ。

https://www.creema.jp/item/11174400/detail

審査員評価―――ルームシューズの素材にジビエ鹿革を使用している点は独自性が高く、一枚革でシューズにするデザインも素晴らしい。布製品を手作りしたことはあっても、革製品を手作りしたことがある人はあまり多くないはず、体験としても面白い。つくれる魅力を提供することで、商品の意味や価値などをより実感しやすくしている。質感が良く、色の組み合わせや風合いもお洒落で、洗練されているプロダクト。

年度テーマ生活者審査員賞:地域資源メカジキの角(吻)を利用したジーンズ/有限会社オイカワデニム

今まで廃材だった地域資源を見直し、地域資産の再認識、再加工を軸に高付加価値を持った新しい、みんなが誇りを持てるブランドをつくる。異業種や地域を巻き込むことにより、気仙沼地域の底上げと、地域雇用の促進をつくり出すプロジェクト。

http://www.zerodenim.com

審査員評価―――「メカジキの吻を活用したジーンズ」という着想がユニーク。ほかにない商品で、気仙沼のPRにもつながる。未利用資源であるメカジキの吻を超微粒子にして紡績にする独自の技術を保有。被災者の雇用、未利用資源の活用、すべてが土に還る天然素材の採用など、それぞれの活動を経て生み出されたメカジキの吻という素材が、デニムの質を上げている、すばらしい商品。

自由テーマ大賞:UpcycleLino(アップサイクルリノ)/株式会社ネキスト

服の製造過程で出た裁断くずを色別、混率別に細かく分別。分別された裁断くずを株式会社ナイガイテキスタイルにおいて反毛し、バージン綿をつなぎに紡績し糸に戻す。その糸を株式会社ヤギが、浜松で製織、和歌山で編立して生地に戻し、再び自社がその生地で服を製造する完全なサーキュラーエコノミーを完成させた。同時に、産地をつなぎ、疲弊した産業の一助になることをめざした取り組み。

https://upcyclelino.com/

審査員評価―――自社の製造工程で出てくる裁断くずをもとに糸を作ることによって廃棄をゼロにし、完全なサーキュラーエコノミーを実現させたことが素晴らしい。完全に無駄を出さない仕組みを達成し、自然エネルギーを使用するなど、自然への配慮がなされている。ユニセックス仕様のデザインは、多くの人に魅力を感じさせる。

自由テーマ優秀賞:食品ロス削減マッチングサービス「タベスケ」/株式会社G-Place

サービス対象となる自治体内の食品関連事業者が「食品ロスになりうる食品」をシステム上で安く出品し、一般ユーザーがお得に購入予約できる。結果として、一般ユーザーに対しては食品を安く提供、食品関連事業者に対しては、提供した食品による利益の発生や食品廃棄物処理費用の削減、対象自治体に対しては自治体内の食品ロスおよび廃棄物量の減少と廃棄物処理費用の削減、食品ロス関連の統計データ収集が見込まれる。また、一般ユーザーおよび食品関連事業者に関しては無料でサービスを利用することができる。

https://tabesuke.jp/

審査員評価―――コロナ禍の食品ロス問題を解決に導くサービス。消費者、自治体、事業者など関連のある人々すべてにメリットとなるシステムで、食品ロス削減に抵抗なく積極的に取り組んでもらえる。食品ロスの実態や法律などの制度についてホームページで発信しており、信頼性も高い。さらに食品ロス削減効果のデータを可視化させていて、消費者啓発や行動変革に繋げている。機能性の向上や新機能搭載に向けたバージョンアップを進めており、サービスの質向上にも期待。事業は始まったばかりのため、参加自治体や協力店の増加が重要となる。

自由テーマ生活者審査員賞:ベジソルト/えひめ活き生きファーマーズ株式会社

西日本豪雨の際に大量の野菜破棄を経験。「そんな農家さん達を救出したい!」という想いをきっかけに野菜・柑橘を活用した商品開発を開始。商品化を進めるにつれて直面した深刻な問題が食品(隠れ)ロスであった。規格外の野菜・柑橘は流通されず破棄される。そんな価値ある商材を有効に活用し、丹精込めて作った物が無駄にならず、次の商品価値となるように、事業に取り組む。

http://ikiikifarmers.com/

審査員評価―――規格外や災害に合った地域からの野菜を無条件で買い入れ、農家さん達の深刻な食品ロスの問題を解決する魅力的な商品。しっかりと野菜の香りや味がしており、品質も高い。商品化に「塩」を採用した点も独自性が感じられる。消費者の行動の変革も期待される。

大丸東京店で2/23〜3/1展示販売会を開催

また今回のソーシャルプロダクツ・アワード2022受賞作は、大丸東京店 9階 イベントスペース で 2月23日(水・祝)~3月1日(火) 10~20時、展示販売会にずらり並ぶ。

詳細は、大丸東京店ウェブサイトに順次掲載される予定。気になる人はチェックして、足を運んでみて↓↓↓
https://www.daimaru.co.jp/tokyo/

◆ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)
https://www.apsp.or.jp/socialproductsaward/

第9回『ソーシャルプロダクツ・アワード2022』審査総評

◆年度テーマ:東日本大震災からの復興につながる商品・サービス

震災から10年が経った今も、被災地(岩手県、宮城県、福島県)には復興への大きな課題と、さらに被災により生じた新たな社会課題が数多く存在している。

それらの課題を解決し、復興の加速と持続的な地域社会の実現に貢献することを目的にした商品・サービスを募集した。

今回は、ユニークなアイデアと復興への想い、地域への愛が込められたプロダクツが、被災地に根差した企業・団体からも多数エントリー。

プロダクツの幅が広がってきていることもあり、ビジネスとして成立している商品も多く、ソーシャルプロダクツの果たす役割がより一般化していることも感じられた。

背景に共感する商品を選んで使うことは、暮らしを豊かにすると思っている。今回のアワードを通して、良質なつくり手と使い手の出会いがあることを願っている。

◆自由テーマ:生活者が「持続可能な社会」づくりに参加できる商品・サービス

第1回から継続して募集している本テーマでは、「エコ(環境配慮)」「オーガニック」「フェアトレード」「地域の活力向上」など、幅広く社会課題の解決につながる商品やサービスの応募があった。

年々応募商品・サービスの取り組みレベルも上がり、応募数も増え、時代の変化を感じている。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、遠い世界のできごとが自分の身近な生活環境と密接につながっていることを感じられたのではないか。

第三者の役に立つソーシャルプロダクツは必ず自分に戻ってくる、その好循環をこれからも生み出していきたい、と改めて思いを強くした。

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