2011年の東日本大震災から11年目のいま、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などの大規模地震がまた発生すると想定されている。

また地震だけでなく、台風や豪雨など地球温暖化の影響による災害も毎年発生し、各地が甚大な影響を受けているなか、企業は社員・事業を守るためにどのような対策・取り組みを行っているか―――。

「識学」を使った経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する識学(東京都品川区)は、企業に勤める20歳~59歳の男女300人に「企業の防災対策に関する調査」を実施。

その結果、リモートワーク中の防災対策をしている企業が3割にとどまっていること、災害時の対応方法について、管理職では約7割が「知っている」と回答したのに対し、一般社員では半数以上が「知らない」と回答。管理職と一般社員との間で差があることがわかった。

また、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画。災害時の事業継続、事業復旧に関する計画やマニュアル)は、「定められていない」「わからない」をあわせて約5割にのぼり、企業の災害対応準備はやや不安な状況であることがわかった。

災害時の対応方法を知っている社員は意外と少ない?

今回の調査で、災害が起きた際の対応方法を知っている一般社員の割合や、自社でBCP(事業継続計画)が定められていることを認識している社員の割合は、いずれも約5割。

また、自社がリモートワーク中の防災対策をしていると回答した割合は約3割にとどまり、昨今の働き方の変化に対して、防災対策が追い付いているとは言い難い状況であることがわかった。

問題の原因は何か?

災害時の対応方法に対する社員の認知がない原因は大きく2つ考えられる。

ひとつは、そもそも会社側が災害時の対応方法を定めていないこと、もうひとつは、定めているが、社員に認識させられていないこと。

このうち、後者が原因の場合は、組織体制に問題が潜んでいるかもしれない。

その問題とは、災害時の対応方法を組織に浸透させる「責任者」がいないこと。

責任者不在で起きること

責任者を決めずに仕事を進めると、組織内であらゆる問題が生じる。

たとえば、売上目標を決めたにもかかわらず、その目標を達成することに責任を負う人がいなければ、達成される可能性は下がる。

なぜなら、目標を達成しなくても、誰も責任を取らなくていいから。

同じように、災害時の対応方法を定め、浸透させようと思っても、それを浸透させることに責任を持つ人がいなければ、浸透は難しくなる。

BCP(事業継続計画)策定で経営者が真っ先にすべきこと

災害時の対応方法を決める上で必要なBCP(事業継続計画)の策定には、専門的な知識が必要になるかもしれない。

しかし、経営者がまず真っ先にすべきことは、BCP(事業継続計画)策定に関わる社内の責任者を決定すること。

そして、その責任者に対して求める結果(例. 災害時の対応方法の社内認知度○○%以上)を明確に設定し、評価することで、災害時の対応方法が組織に浸透されないような状態を防ぐことができる。

一発で完璧なBCP(事業継続計画)は作成できない

一通りBCP(事業継続計画)を策定した後は、それを定期的に見直していく機会が必要になる。

なぜなら、すべてのリスクを想定した完璧なBCP(事業継続計画)を一発で作成することは不可能で、必ず欠点が存在するから。

定期的な訓練によってその欠点を洗い出し、都度修正をかけていくことで、より質の高いBCP(事業継続計画)に変えていく意識が必要という。

◆識学
https://corp.shikigaku.jp/

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