製品開発・シミュレーション、ハイパフォーマンスコンピューティング（HPC）、AIデータイアナリティクスの3分野でソフトウェアやクラウドソリューションを展開するアルテアエンジニアリング（Altair）が、新たに金融・医療分野への参入を加速する。
アルテアエンジニアリングが、いまなぜ金融・医療分野へ積極参入するか―――7月25日、同社 加園栄一 取締役社長（写真右）がビジョンを語った。
地銀再編でのデータ集約、地方医療の課題などにソリューションを展開
米国ミシガン州トロイで1985年に設立し、現在エンジニア・科学者などスペシャリストを3,000人以上を抱え、86拠点25か国に展開するアルテアエンジニアリング（Altair）は、これまで自動車の衝突安全性能評価、航空機の設計、アンテナ設計・配置 ネットワーク性能評価、5G無線ネットシミュレーションなどのシミュレーション事業やHPC事業に注力してきた。
この2つの事業領域で培った技術ノウハウ、たとえば可視化・自動化・カスタマイズ・シミュレーション・最適化・クラウドサービスなどを横展開させ、いま国内市場でもニーズがある金融・医療分野に応用展開させていく考え。
アルテアは今後、地銀再編でのデータ集約、既存ビジネスからの脱却、保険業界テクノロジーによる新商品の開発（保険業界）、地方医療の課題、医療人材の不足、健康ニーズ、パーソナルなデータ管理などに積極的に関わっていくという。
こうした金融・医療分野に積極参入するときに、アルテアの大きな強みになっているのが……。
買収した米国 Datawatch社と英国 World Programming社の技術
アルテアは2018年10月に米国 Datawatch社を、2021年12月に英国 World Programming社を買収。アルテアエンジニアリングは、この2社が持つ強いソリューションを、国内の金融・医療の分野に活かしていく。
たとえば、Datawatch社がもつ「Monarch」のセルフサービスデータ準備やデータ変換効率化・自動処理など、「Knowledge Studio」のコーディングなしで高度な機械学習アルゴリズム生成、「Panopticon」のリアルタイム・時系列データ視覚分析プラットフォームなどが強みに。
また、World Programming社がもつ「Analytics Workbench」のSAS言語とPython・R・SQLをすべて使用した開発環境、「SLC」のSAS言語によるさまざまなマクロ構文をサポートするコンパイラー、「SmartWorks Hub」のモデル管理・運用をシンプルなインターフェースで実施できる点などが強みになっている。
海外では先行してAIデータイアナリティクスの導入で実績
海外では、作業効率化をはじめ、データ活用・リスク管理・リアルタイム大規模データの可視化などで、実績を積んできたアルテア。
たとえば、TD Bank や M＆T Bankでは、データ活用・リスク管理を展開。機械学習による債権回収効率向上、不正リスク・信用リスク低減に貢献した。
また、Flex Trade や Imagine Software では、リアルタイム大規模データ可視化を展開。証券取引管理ソフトウェアの構築と取引データの可視化や、数百万件にも上る取引、数千の口座・数十万ものデータを可視化し、注文管理システムによる取引データの可視化（ヒストリカルデータとリアルタイムデータの比較）なども手がけてきた。
金融・医療分野に向けて、まずはスモールサクセスから
アルテアエンジニアリングは今後、これまでのシミュレーション・HPCで培った技術ノウハウや、米国 Datawatch社と英国 World Programming社の技術、海外での実績などを活かし、金融・医療分野に積極展開する構え。
メディア説明会に同席した東洋大学 国際学部 グローバル・イノベーション学科 野崎浩成 教授（画像右）は、シンガポール DBS銀行の成長を例にあげ、「スモールサクセスからはじめることがカギ」と説いた。
アルテアエンジニアリングも、金融・医療分野に向けて、まずはスモールサクセスから手がけていくという。同社 加園栄一 取締役社長は「長期的にみれば、伴奏型ソリューションが望ましく、プログラミングを必要としないローコード型システム化も達成できる」と伝え、こう続けた。
「AIスペシャリストなどを雇用せず、またそうした取り組みをコンサルタントなどに丸投げすることなく、またソフトウェア販売だけではなく、トレーニング、コンサルティング、自動化の提案など、いっしょにサービスを創造し、幅広いユーザーに使ってもらいたい。まずは200〜500万円ほどの規模からスモールスタートしていければ」（加園栄一 取締役社長）
◆Altair アルテアエンジニアリング
https://www.altairjp.co.jp/
