東京の東端に位置する人口約70万人の自治体で、近年は外国人住民も増え、全国の自治体では9番目に多く在住するなど「多様性のある区」として注目を集める区―――江戸川区。
そんな江戸川区は、2021年7月1日に「子どもたちが生きる2100年」を見据え、すべての人を“共生”の対象とした「ともに生きるまちを目指す条例」を策定。
区民一人ひとりが「共生社会」に共感し、ともに「共生社会」への行動につなげていくことを目的に、『2100年を見据えた共生社会ビジョン』『2030年を見据えたSDGsビジョン』『子どもたちの理解を深める絵本』を制作した。
いっぽうで高齢化社会が進み、2100年には区の人口、区の予算、区の職員は約3分の2にまで減少すると推測されている。
江戸川区は、「このまま何もせずに進んでいくと、いままでのような生活を送ることができなくなる」と予想し、「より良い未来、そして後生のために区民一人ひとりが「共生社会」に共感してもらいたい」との想いから2100年・2030年を見据えた2つのビジョンをわかりやすくまとめた冊子を制作。
また、子どもたちにはより興味をもってもらいやすいよう絵本も制作した。
そのビジョン2冊、絵本1冊の内容が、これ↓↓↓
長期構想である「2100年の江戸川区(共生社会ビジョン)」(画像左)の冊子は、全3章で構成。
第1章は、「協力しあうことなく2100年をむかえる江戸川区」と「ともに力をあわせて2100年をむかえる江戸川区」が対比しながら物語が進んでいく。
第2章は、区の広報誌やホームページなどさまざまな場を通じて届いた区民の意見を紹介。
第3章は、江戸川区が目指す「ともに生きるまち」の5つのキーワードを紹介している。
また、中期計画である「2030年の江戸川区(SDGsビジョン)」(画像中)の冊子は、全5章で構成され、「SDGsとは何か」から、江戸川区がめざす2030年、江戸川区が2030年までに達成するSDGsの17のゴールなどについてまとめている。
さらに、かめおかあきこ先生による絵本(画像右)は、ワラビーが営むレストランで繰り広げられる物語。
さまざまな個性をもつ動物の客との出会いを通じ、多様性を理解し、共生社会のヒントとなるストーリーに。小さな子どもたちでも楽しみながら共生社会について学べる内容にした。
斉藤猛区長「このままの行政でよいのか、将来に負担を先送りにしない」
江戸川区 斉藤猛区長は、「共生社会とSDGsの誰一人取り残さないというのは、同意語。2100年に向かう経過の中でSDGsを意識することが必要だと思っている」と伝え、こう続けた。
「2100年には区の人口、収入が減っていく未来が見えているなかで、このままの行政でよいのか、将来に負担を先送りにしないためにはどうしたらよいかをいま考えて行動に移していく必要がある」
―――江戸川区は今後、2100年を見据えた共生社会の実現に向けて、さらに取り組んでいくという。