自動運転の普及に向け、特定の場所での運転を完全に自動化する『レベル4』を許可する改正道路交通法が、4月1日から施行されたのを受け、埼玉県深谷市にキャンパスを構える埼玉工業大学と、愛知県名古屋市に本社をおくアイサンテクノロジーが、早くも動き出した。

埼玉工業大学とアイサンテクノロジーは、自動運転技術の研究・開発で、協力関係を強化すべく連携協定を締結。自動運転の社会実装の推進にむけて、Autoware ベースの自動運転車両の開発や構築、各種実証実験での協力関係を強化する。

また、経済産業省と国土交通省が2025年度までに全国40か所で自動運転の実証実験を展開する目標を掲げるなか、自動運転技術の本格的な実装が始まることを見すえ、埼玉工業大学とアイサンテクノロジーは自動運転レベル4対応にむけても連携を強化し、社会ニーズに対応した自動運転技術の開発、バス車両開発、実証実験に積極的に取り組んでいく。

画像はことし2月10日、愛・地球博記念公園(愛知県)で行われた自動運転実証実験のワンシーン。

埼玉工業大学とアイサンテクノロジーが協力関係を強化し、取り組んでいくおもな事業は、次の6点。

(1) 自動運転技術に関連した社会ニーズの掘り起こし

(2) 社会ニーズに即した自動運転技術の開発と環境整備

(3) 自動運転システム用オープンソースソフトウェア Autoware を利用した技術開発

(4) 次世代モビリティサービスとしての自動運転技術の社会実装に向けた技術検討

(5) 自動運転技術の関連産業の振興

(6) その他、自動運転に関する活動

埼玉工業大学とアイサンテクノロジーの自動運転AI技術開発の歩み

埼玉工業大学は、2017年に地元 深谷市の公道における自動運転実証実験を開始。2019年には自動運転マイクロバス、2021年には大型バスを開発し、全国各地の公道で自動運転の実証実験を重ねてきた。

2021年度には年間1万km以上の自動運転走行を実施し、さらなる自動運転AI技術のチューニング、アップデートを重ね、研究・開発を推進中。

また、アイサンテクノロジーは、2010年より自動運転分野における研究開発を開始し、これまでに国内トップレベルの水準を誇る500を超えるプロジェクトで、高精度3次元地図データを提供してきただけでなく、自動運転システム用オープンソースソフトウェア Autoware を利用した自動運転車両にて、100を超えるさまざまなフィールドで自動運転実証実験を重ね、走破し続けている。

さらに、複数台の車両を用いた遠隔型自動運転や、5G 通信を用いた自動走行といった国内初の取り組みをなど、先進的な内容にも積極的に取り組んでいる。

埼玉工業大学 内山俊一 学長「自動運転技術の社会実装に向けて研究・開発を強化」

「埼玉工業大学は、工業大学として社会の期待に応える技術に対応した教育・研究に取り組んでいます。

そのなかで、自動運転の社会的ニーズの高まりに対して、自動運転技術開発センター(センター長:渡部大志教授)を2019年に設立し、自動運転バスを中心に研究・開発を展開しています。

全国各地で実施された自動運転の実証実験に、産学官連携で多数参画してきたことにより、全国の大学の中でも、自動運転に積極的な大学という評価を得ています。

これらの実証実験の多くは、アイサンテクノロジーの協力により参加してきました。そして今回、両者は自動運転技術開発の連携協定を締結しました。

道交法改正により全国で実証実験が活発に実施されていくなか、お互いの強みを活かして、自動運転技術の社会実装に向けて、アイサンテクノロジーとともに本学の研究・開発を強化していきます」(埼玉工業大学 内山俊一 学長)

◆アイサンテクノロジー
https://aisan-mobility.com/

◆埼玉工業大学
http://saikocar.sit.ac.jp/

おすすめ記事