「リクルートスーツに身を包んで没個性に見える」
そう語るのは、アナウンサーの古舘伊知郎。

令和の就活事情にガツンと物申す、古舘節さく裂のインタビューが公開された。

新しい未来のテレビ「ABEMA」にて10月から放送中の新卒採用番組「キャリアドラフト」。そこでは、全国各地から予選を勝ち抜いた12名の学生が毎月参加し、2分間のプレゼンと面接官による質疑応答をくぐりぬけ、100社以上の企業からオファーを勝ち取るドラフト型採用の様子を放送している。

その番組ファシリテーターを務めている古舘伊知郎が、アナウンサー、そして大学教授という立場で就活を見てきたからこそ思う、今と昔の就活の違いや就活の悪しき習慣、学生から聞こえてくる就活のリアルな課題点などについて赤裸々に語った。

「リクルートスーツに身を包んで企業に行っているのが没個性に見えちゃう」

――「ドラフト型採用×TV番組」というコンセプトについてどう思いますか?

汲々としてます、学生は。2年の段階から動かなきゃ。3年でもう本格的。みんなが同じように、自分の個性を出そう。自分はこういう人間で、3分間で自分をプレゼンできるスキルを磨く。そういうところに汲々としてるうちにリクルートスーツに身を包んで、インターンシップも含めて企業に行っているのが没個性に見えちゃうんですよね。

だから“自分らしさみたいなもの”を出しながらも、実際は企業と雇用される側の学生がマッチングされていないような気がしてて。だからこそ、この番組のこの企画を発案した人はすごいことを考えてくれたなと、今の日本のニーズに合ってるなと僕は思ってます。だから非常にやりがいがあるし、司会をやらせてもらって刺激があります。

「今まで一世を風靡してきた企業が良いとも言えない」

――今と昔の就活の違いや、今の就活の悪しき習慣だと思うことは?

昔は悪く言えば、手抜き。良く言えば、のほほんと、やや自由に自分のやりたいことをやってダメだったら就職浪人しようかなとか。まぁこんなとこでいいかなとか。結構今よりは緊張感が無かった気がするんですよ、昔の方が。

昔は金融系の銀行に入ろうとするとか損保に入ろうとするとか、ジャンルとかこういう企業が有利だよね、初任給がいいからっていう風に、自分が何をしたいかとか何が望まれてるかとか、自分のスキルがここにあるから自分はこういう営業職の方でやっていきたいんだというよりは、こういう企業とか、こういうブランドに入ると終身雇用で給料も良いし、福利厚生も良いし、(という考え方をする)そんな時代があったんですよ。

もうまったく古いわけですよね。そんな銀行がいいとか言えなくなっちゃったし。こんなマイナス金利の時代にですよ。やっぱり今まで一世を風靡してきた企業が良いとも言えないし。だからあらゆるものが様変わりしてるこの転換期に、就職の在り様も変わっていってるっていうのもまざまざと見えて。

今の学生は、こういう大きいところに入っておけば無難だから金融の銀行系が良いとか全然無くて、「私はITやりたい」って絞り込んでる。ITのこういうアプリを作りたいって人もいれば、ジャンルなんか問わないって人もいる。自分が学生時代にインターンシップやバイトで鍛えて、学校の活動での経験を活かせる営業職。ジャンルは問いませんっていう学生がいっぱいくる。むしろ昔よりまともじゃないかって。

就活生にアドバイス「自我を捨てなさい」

――大学教授としても勤務されている中で、学生から聞こえてくる就活のリアルな課題点はありますか?

自分なんか探せてるわけないんですよ。それなのに個性を要求されるんですよ。3分間で自分を出せっていったって、じゃあいくつになったら自分を探せるんですかって。それは人生の旅路ですからね。22歳ぐらいの段階で自分をフィックスするっていうことは不可能なのに、それが要求されてる。僕はそこが辛いと。

学生にいつも講義の中で言わせてもらうのが、僕は原始釈迦仏教のファンなので、自分が欲望まみれで煩悩まみれなので、2500年前に80歳まで生きた釈迦を偲ぶ推し活をずっとやってるんですよ。釈迦が色んなことを悟って語ってますけど、その要諦にある1つとして、自分というのはフェイクだって言ってるんですよね。

自分の存在というのは、自分の頭の中で自分というものを立ち上げて社会的な動物として人間は生きているから、自分の設定っていうのは必要なのもわかるけど、実は必要悪で、本当のことをいうと自分っていう設定はないんだ、フェイクなんだ、虚妄なんだ、幻想と虚構なんだって。だから自我を捨てなさいと。自我があるから欲望がとめどなく出てきて、それを繰り返し、自分で自分の奴隷になっていくんだって。

それを聞いた学生は「えー!」って。就職戦線に向けて頑張ってるのに、初年度なんて「なんてこと言うんだ」って言われました。自分がいないなんて。「一緒に自分を軽減する努力をしていこう」って言われても困ったもんだって言われたんですけど、誠心誠意喋ってると分かってくれてくる人がいるんですよ。

就職戦線の個性、個性、個性、自分、自分、自分という戦い方に疑いをかけた方が良いといつも思っています。面接官だって自分の個性を分からないで、「はい、あなたの個性を3分間でどうぞ」もおかしいでしょ。

――就活生や、将来を悩む人たちにエールをお願いします

自分を生きてみるとか、それからバーンと自分を突き放して、悩んでる自分、就活で悩んでる自分とか、いったい自分のスキルはどこにあるんだ、個性はどこにあるんだってぐじゅぐじゅ悩んでる自分をパーンと突き放して、もう一人に自分が心の幽体離脱をして見てみる。

「大したことないよな、別に」っていう俯瞰の目を持っておくっていうことは、就職の場合でもすごく大事だと思う。自分なんか設定されていません。

仕事で働いて揉まれて揉まれて人の世界の中で揉まれていく中で、つまり渋谷のスクランブル交差点の中でうわぁーって人との行き来の中でふっと何か自分めいたものが立ち上がる。それが個性めいたたいまつ、かがり火になっていくと思うんで、急に見つけようと思わないでください。暗中模索で結構で、手探りで結構で。

私は今こんな風な活動していて、こんな風な思いで生きているだけなんですけど、それを見初めてくれる企業さんはいますか?っていう結構楽なスタンスでこういう番組を通じてシミュレーションをやったほうが僕は楽にいけると思う。楽しんで就活をやっていくくらいの気持ちの方が僕は有利だと思ってますんで、ちょっとこの番組覗いてみませんか?

◆ABEMA「キャリアドラフト」

放送日時:毎週金曜日21時〜
番組URL:https://abema.tv/video/title/221-252
見逃し配信URL:https://www.youtube.com/@careerdraft/featured
公式ホームページ:https://career-draft.com/

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