ことしは暖冬といわれ、3月に入って冷え込みがゆるんできたけど、この季節に飛び交う“あれ”が、まだまだいたるところで発生し、みんなを悩ませている。

そう、花粉。

日本国内の花粉症の有病率は、花粉症全体で42.5%、スギ花粉症で38.8%、10年間で10%以上増加しているというから、もはや2人に1人が花粉症を発症し、まさに国民病に―――。

この花粉症を、身体のなかから予防しようというトレンドが、いま注目を集めている。

花粉症の予防策として、腸内環境を整えることが効果的という話題で、最新の腸内環境の研究では、腸内細菌が産み出す代謝物質「短鎖脂肪酸」によって、腸管免疫が高まることで身体の免疫バランスが整うことがわかってきた。

今回は、花粉症予防の強い味方、短鎖脂肪酸を産み出しやすくするための“最新腸活情報”を、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN・ニビオン)ヘルス・メディカル微生物研究センター 國澤純センター長(薬学博士)が説明。ここで詳しくチェックしていこう↓↓↓

花粉症を発症は、免疫システムの暴走が原因

花粉症はアレルギー疾患の一種。

身体の免疫システムの中で働く免疫細胞にはさまざまな種類があり、それぞれに役割や外敵の撃退方法が異なる。

本来、害のないものに過剰反応し攻撃してしまう免疫システムの暴走により、アレルギー反応が起こるという。

花粉症反応は、本来体に害のない花粉に対して過剰反応して攻撃をしてしまっている状態であることを、まず知っておこう。

免疫システムの安定には、身体の免疫細胞の半数以上が集まる「腸」の細菌バランスが重要

腸にはウイルスや病原菌などの外敵から体を守るための免疫機能が集まっている。

身体の免疫細胞の半数以上が腸に集まっていて、体の中で最も大きな免疫器官といわれる。

腸が持つ免疫機能は「腸管免疫」と呼ばれ、腸管免疫の働きに影響を与えているのは、腸内に生息する腸内細菌。それらの群集により腸内フローラが形成されている。

生活習慣や加齢、服薬などが原因で腸内フローラを形成している腸内細菌のバランスが崩れてしまうと、腸管免疫が低下し体の免疫力低下につながる。

逆にこのバランスを保つことで、腸管免疫が高まり、ひいては体の免疫力を高め、免疫システムの安定につながる。

腸内フローラを形成する腸内細菌は人それぞれ、最先端の研究からみる腸内細菌の新常識

これまでは腸内細菌を「善玉菌」「悪玉菌」と分類し、「善玉菌を増やすことが腸内環境を整える」という考えが主流だった。

が、最先端の腸内環境研究では、腸内フローラは、単純に善玉菌と悪玉菌から形成されているものではなく、存在する菌の種類や数は人それぞれで異なることがわかってきた。

また、人が摂取した食品を“エサ”として腸内細菌が食べることで、腸内細菌から産み出される代謝物質が体に影響を与えていることも判明。

これまで体に悪影響を及ぼすと考えられていた「悪玉菌」でも、実は身体に良い影響を与える可能性がある代謝物質を産生していることも分かってきた。

腸内には約1,000種、数にして40兆個もの細菌が生息しているといわれる。

個人で腸内フローラが異なることを理解し、良い影響が期待できる代謝物質を産生するために各自の有する腸内細菌に最大限活躍してもらうことが重要というわけだ。

4人に1人が腸活で花粉症の症状が「改善した」と実感

2023年、腸活アプリ「ウンログ」を運営するウンログが20〜50代女性2,739名を対象に「花粉症と腸活に関する意識調査」を実施。

春に悩む身体的な不調は「花粉症」が約6割で1位、さらに4人に1人が腸活で花粉症が改善したと回答した。

花粉症対策に効果的な腸活は1位「良い菌の摂取」、2位「良い菌の”エサ”の摂取」で、乳酸菌やビフィズス菌などの摂取だけではなく、その菌の“エサ”となる成分(食物繊維やオリゴ糖など)の摂取も、花粉症対策として有効であると感じていることが明らかに。

腸内細菌の代謝物質「短鎖脂肪酸」の増やし方

最新の腸内環境研究で注目されている「短鎖脂肪酸」は、大腸内の腸内細菌が食物のなかに含まれる、腸内細菌の“エサ”となる成分を取り込み、代謝することでつくられる。

また、短鎖脂肪酸を産み出すことがわかっている細菌として、バクテロイデス、ルミノコッカス、プレボテラ、ビフィドバクテリウム、フィーカリバクテリウム、ブラウティアが日本人の腸内には多く棲んでいる傾向があることがわかっている。

これらの菌のエサとなる成分を腸に届けること、そのエサを多様な腸内細菌で代謝しあうことで、短鎖脂肪酸を効率よく増やせるというわけだ。

腸内フローラは人それぞれ違う! 腸内フローラを調べる検査はかんたん

人の腸内にはおよそ1,000種類、数にして約40兆個の腸内細菌がいるという。

その種類や割合は一人ひとり大きく違う。

たとえば、健康に影響を与えるといわれる腸内細菌の代表格であるビフィズス菌。

半分以上がビフィズス菌という人もいれば、ほぼゼロという人もいる。

そこで、効率よく「短鎖脂肪酸」を増やすためには、まずは自身の腸内フローラを調べ、どんな菌が多く棲んでいるのかを知り、その結果に合わせた食事を意識することが重要。

昨今では、腸内フローラの検査キットが以前と比べるとだいぶ安価になり、病院だけでなく、オンラインサービスや腸内フローラ検査サービスを展開する薬局等でかんたんに検査ができるのも知っておきたい。

食品成分と細菌でつくられる短鎖脂肪酸で免疫システム暴走の抑制を

免疫について考えるさいに大切なことのひとつは、「何に対する反応か」。

たとえば、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなど、病気を引き起こすものに対しては、免疫がしっかりと反応し、体内からウイルスを排除することが大切。

いっぽうで、花粉などの本来体に害のないものに対しては、免疫は過剰に反応しないように教育を受けているが、このシステムが崩れて免疫が暴走してしまうと、花粉症などのアレルギーを引き起こすリスクが高まる。

腸内細菌がつくり出す短鎖脂肪酸は、この免疫システムの暴走を抑えることが知られている。

短鎖脂肪酸をつくり出すためには、その材料となる食物繊維やオリゴ糖などの食品成分と、短鎖脂肪酸をつくることができる細菌がセットで必要になる。

このように、腸内細菌と食品をセットで考えることで、腸内環境がより良くなることが期待されているのだ。

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