神戸市内の未利用の間伐材や「ネスカフェ」「キットカット」(ネスレ日本)をはじめとする使用後の紙資源を紙糸にアップサイクルするプロジェクト「TSUMUGI」と、Z世代オピニオンリーダー長谷川ミラたちといっしょに制作したアップサイクル「紙糸キャンバス」が3月12日から発売されて、いま注目を集めている。

手がけたのは、業界の垣根を超えた各社が連携し、従来のリサイクルの枠を超えた新たな取り組みを展開する一般社団法人アップサイクル。

無地とアートの2ラインナップ展開

間伐材や「ネスカフェ」「キットカット」(ネスレ日本)をはじめとする使用後の紙資源を紙糸をアップサイクルするかたちで生まれた「紙糸キャンバス」は、アップサイクル素材「TSUMUGI」でできたキャンバス。

フレームにも、神戸市内の未利用間伐材が活用されているのもポイント。

ラインナップは、自分で描くことができる無地のキャンバスと、アート作品がプリントされたキャンバスの2種類。

無地のキャンバスは、家庭やイベントなどで活用でき、「TSUMUGI」の質感を体感しながら、環境にやさしい素材に絵を描くなかで、環境の配慮した素材やその背景について考える機会に―――。

いっぽうアート作品は、一般社団法人アップサイクルの会員団体で、「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げアートを介して障がいのある人たちを就労継続支援する特定非営利活動法人インクルーシヴ・ジャパンとのコラボレーションモデル。

神戸市内にある六甲山をはじめとした山々の瑞々しい緑の森をイメージし、閃いたことや森への想いを表現している。

また、商品の売上の一部は、森林・里山保全に役立てられるという。

自治体・企業・団体が連携し、間伐材の利活用を促進

こうしたアップサイクルアイテム「紙糸キャンバス」が注目を集める理由のひとつに、間伐材の利活用課題という背景がある―――。

森林内の木々の混み具合に応じて樹木の一部を伐採し、残った木々の健全な成長を促す「間伐」(かんばつ)は、土砂災害の防止や生物多様性の保全といった森林の機能を発揮させる役割もある。

間伐材は建築材などに活用され、搬出コストや形状などの問題で山に放置された状態になっているものも数多く存在している。

森林保全には、間伐、新たな植林という持続可能なサイクルをつくることが重要で、そのためにも間伐材の利活用の促進は全国的な課題といわれている。

ネスレ日本や日清紡グループ、神戸市などでアップサイクルプロジェクト「TSUMUGI」を始動

こうした課題に向き合う一般社団法人アップサイクル参画企業のネスレ日本や日清紡グループらは、未利用間伐材の利活用に取り組む神戸市と連携し、国内初の試みとして未利用間伐材と使用後の紙資源を紙糸にアップサイクルするプロジェクト「TSUMUGI」を始動。

プロジェクト「TSUMUGI」では、SDGsの根幹である森林・里山・生物多様性保全の大切さを伝え、紙糸が間伐材の利活用手法として持続可能な森林保全に貢献することをめざし、ワークショップを開催するなど生活者とともに紙糸を使った新たな繊維製品を考案する取組みをスタート。

アイデア選定では、サステナビリティや社会問題などを発信するZ世代オピニオンリーダー 長谷川ミラも参画し、自然環境保全への想いを込めた新たな繊維製品を検討してきた。

「暮らしのなかから自然環境を守り育てていく共感を」

環境に配慮した素材でできた紙糸キャンバスが、アートを介してサステナビリティを推進

多数のアイデアから選定された「紙糸キャンバス」には、こんな想いが込められているという。

「手に取った人が間伐材をアップサイクルした紙糸という素材の背景を知り、森林・里山・生物多様性保全の重要性を考える機会となり、さらにアートや創作活動を誰もが楽しみ、キャンバスを飾ることで、暮らしのなかから自然環境を守り育てていく共感を生み出したい」

「わたしたちと地球や社会・地域コミュニティを紡ぐ象徴として」

このいま注目が集まるプロジェクト「TSUMUGI」は、使用後の紙資源や未利用な間伐材を素材として活用・アップサイクルの技術により”紙糸”という素材に生まれ変わらせる取り組み。

天然繊維ならではの柔らかさと、軽量性や吸放湿性が特徴で、まるで自然の中にいるようなやさしい肌触りを感じられる。

しっかりとした縫製で、手にとる人が長く愛用できるよう Made in Japan ならではの技術が詰めこまれている。

「TSUMUGI」という名前には、「わたしたちと地球や社会・地域コミュニティを紡ぐ象徴として手に取っていただきたい」という想いが込められている。

―――間伐材や使用済み紙資源がアップサイクルされてできあがった、クールなアイテムが彩り始めたいま、一般社団法人アップサイクルは、こう伝えている。

「紙糸キャンバスを手に取り、描き、飾っていただくことでキャンバスアートは完成します。

アートを介し紙糸に込められた想いを共有し、持続可能な未来を自由に想い描き、多くの方々と一緒にサステナビリティを推進していきたいと考えています」

気になるアップサイクル「紙糸キャンバス」の販売店や価格は、公式サイトをチェック↓↓↓
https://tsumugi-upcycle.com/

(集合画像)神戸市東京事務所 濱住康弘 担当/長谷川ミラ/一般社団法人アップサイクル瀧井和篤 事務局長

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