渋谷PARCO前に巨大なスマホオブジェが出現した。画面上部を見ると通話相手が「部長」であることが分かる。あなたが社長や役員ならまだしも、ほとんどの若者にとっては上司にあたる存在だ。「この電話、取りたくないな~…」と思ってしまう気持ちには共感できるのではなかろうか。

仕掛けたのはソフトバンクだ。同社は電話が苦手な若者を応援する「#電話が苦手です」プロジェクトを実施しており、2024年3月から東急東横線・田園都市線での電車ジャック広告の掲出、18日から渋谷スクランブル交差点のモニターでのオリジナルCM放映などを行っている。

渋谷PARCO前に設置されたこのイヤ過ぎる(※筆者の感想です)巨大なスマホオブジェもその一環で、2024年3月24日まで展開する。オブジェ周辺ではビラ配りを行うスタッフが着信音におののく演技なども行う。電話が苦手な若者を代弁するだけでなく、電話だけでなく様々な手法のコミュニケーションにも寄り添う。

同社が2021年に立ち上げたオンライン専用ブランド「LINEMO」の認知度向上がねらい。企業目線ではなく、メインターゲットである20代~30代にも共感してもらえるようなメッセージを発信する。ソフトバンク担当者の今井さんは、「当社は携帯電話の会社ですが、コミュニケーションはもっと多様化しても良いのでは」と語る。

筆者ももう若者とは言えない年齢だが、電話は苦手だ。会社にかかってくる電話は大半が自分宛てではないのに取らねばならないし、大きい声で話さないといけないということばかりに意識が行ってたどたどしい話し方になってしまうし、通話を終えた後で「あれ、こんなこと言ってたっけ?」と不安になる。テキストベースでメールなり業務用のチャットツールなりで連絡して欲しいと思うことも稀ではない。

ソフトバンクが2024年2月に実施した「電話とテキストコミュニケーションに関する調査」によれば、10代と20代の若者の約4割が「電話が苦手」と回答。電話よりもテキストコミュニケーションを優先したいと回答した若者は約8割に上るようだ。それなのに社会に出たらとにかく通話で用事を済まそうとする人が大半で、面倒なことこの上ない。仕事のやり取りももっとメールやチャットメインにしてもらえないか。そんなことを考えさせられた。

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