昨年、中古車販売業界で大きな話題となった「ビッグモーター事件」。保険金の水増し請求ほか、様々な不正が明るみに出ています。この事件の影響で中古車購入の際、業者に対して懸念を抱く消費者は少なくないでしょう。

一方、中古車販売業界の市場は拡大傾向。今や中古車はインターネットで簡単に比較して購入することができます。また、新車市場は高額化しています。つまり、手に入れやすい中古車の消費者ニーズは年々高まっているのです。

「中古車を買いたいけれど不安が付きまとう」という消費者心理に寄り添ったサービスを展開しているのが、長野県松本市にある株式会社ロイヤルオートサービス(中田忠章代表取締役社長)。1987年に創業した中古車販売業者です。

業界最高水準600項目を保証

同社は2024年2月、中古車のためのサブスクリプションサービス「Royal MobilityService(ロイヤルモビリティサービス)」をスタートさせました。これは、国内で唯一実用化された車両後付けIoT機器「LINK Drive Air」を購入した中古車に取り付けてコネクテッドカー化させ、アプリで管理することを可能にしたサービスです。

特筆すべきは高品質かつ長期的な保証。車のエンジンからシャーシ、トランスミッション、エアコン、センサーなど細部にわたる部位を保証します。その数は業界最高水準の600項目。ロードサービスや専門スタッフサポートも付帯されており、24時間365日体制で全国対応しています。

更新型保証というのも安心感があります。初年度登録から15年まで更新が可能。例えばスタンダードプランは累計上限金額50万円で、保証期間は1年間で解約手続きをしない限り自動継続となります。月額利用料は3,760円。この金額に3,000円の積立金が発生しますので、合計6,760円となります。プリペイドサービス「Royal Pay」は毎月定額の積立金により、車検時などの出費をカバーする仕組みです。


このように、透明性を担保しつつアプリで管理するという利便性も兼ね備えたサブスクは、まさに中古車業界の課題に一石を投じる施策と言えるでしょう。同社は「単なる中古車販売業者ではなく“モビリティサービス創造企業”として革新的なサービスを提供していく。長野県エリアを日本一安心・安全な運転環境にすることを目指す」としています。

ベトナムに初海外支店もオープン

同社のビジョンは長野県だけではなく、グローバルに向けられています。2024年4月には初の海外支店となるSUZUKI新車ディーラー「Vietnam SUZUKI」をベトナムのホーチミン市にオープンさせました。

中田社長は「私たちはベトナム国内におけるディーラー事業は拡張を予定している。戦略の一環としてVietnam SUZUKIブランドのディーラーを国内の複数の場所に展開し、より多くの顧客にサービスを提供することを目指す」とし、「ベトナム国内に留まらず東南アジアの他国、特にカンボジア市場への進出も計画。地域特有の市場ニーズを理解し、適切な商品とサービスを提供することで、国際的な事業展開を加速させたい」と話しました。

地方で誠実な経済活動を続けてきたロイヤルオートサービスは、中古車販売業界の変革期とも取れるこのタイミングでの海外進出を図りました。安心の透明性と現代技術を融合させた包括的なモビリティサービスは、長野県や東南アジアでどのような結果を残すのでしょうか。中古車販売業界の明るい話題となる期待が持てそうです。

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