インド・ムンバイを本拠地とし、ロンドン・プリンストン・シンガポール・北京・上海・台北・東京などにグローバル展開し、人々が必要な研究情報を発見するための方法を改善するAI製品とソリューションを提供する3,000人以上の専門家集団―――カクタス・コミュニケーションズ(Cactus Communications)。

このカクタス・コミュニケーションズの主力ブランド「エディテージ」(Editage)は、英文校正・翻訳・文字起こし・出版支援サービスを通じ、2,000を超える分野で、50万人以上の研究者が学術誌に研究論文を発表する支援サービスで、その実績は200万件超え。ISO 17100認証を取得した。

また、350万稿以上の研究論文データを学習させた、学術論文に特化したAI英文校正・翻訳ツール「Paperpal」(ペーパーパル)は、学術論文の校正や慣習を踏まえ、プロの校正者の英文チェックに極めて近い、正確で文脈にあった英語表現や、出版されている論文データをもとに、使用頻度の高い文脈にあった同義語を提案してくれるツールとして、世界じゅうから支持されている。

さらに、Cactus Life Sciences、Researcher.Life、Impact Science、Cactus Labs などのブランドのもとで開発された革新的な製品とサービスを通じ、研究者・大学・出版社・学術団体・ライフサイエンス組織の課題を解決へと導き、「働きがいのある会社」に常にランクされている。

「論文におけるAI利用の変化」を発表

そんなカクタス・コミュニケーションズが東京で「論文におけるAI利用の変化」に関する調査結果を発表。

同社 湯浅誠 代表取締役、同社マーケティング部 岩田健太郎 シニアマネージャー、慶應義塾大学 医学部 早野元詞 特任講師らが登壇し、調査結果を考察した。

AIツールはもはや日常使い、キャリアにも影響

2023年8月、文部科学省科学技術・学術政策研究所が発表した「科学技術指標 2023」によると、日本は注目論文数で世界13位と前回よりも1つ順位を落としたいま、ChatGPT をはじめとする生成 AI が社会で広く利用されるようになったのと同様に、論文執筆における環境は、近年変化の最中にある。

カクタスの第1回調査(2023年7月発表)では、研究者の2人に1人は週に複数回、ないしは毎日の高頻度で AIツールを利用して論文執筆などを行っていることが判明。

同調査では、アカデミアにおける最新の AI ツール利用の実態把握と、キャリア形成や研究活動における AI ツールの貢献度を明らかにした。

その結果、研究者の 75%以上は 1年前と比べて論文執筆における AI ツール活用の頻度が増えた(とても増えた、やや増えた)こと、さらに、「AI ツールを使いこなせると、研究キャリアに有利になると思うか」という設問で 90%以上が、有利になる(とても有利になる、やや有利になる)と考えていることが明らかに。

AIツールはアカデミアにとって日常的に活用するツールであり、使いこなせるか否かがキャリアに影響しうる段階にあるという。

「論文の質が良くなる」「執筆スピードが上がる」

2回めの「研究者の AI ツール利用実態」についての調査結果が、こうだ。

1)AI ツールだけを利用して論文投稿をしたことがある人は 8.8%とまだ少ないが、投稿経験者の 4人に 3人は論文がアクセプトされた経験を持つ

2)一年前と比べて、論文執筆における AI ツール利用度は、75%の人が増えた(とても増えた、やや増えた)と回答し、この一年でも急速に AI ツールの利用が浸透した

3)92.9%の方が AI ツールを効果的に使いこなせると研究キャリアの形成において有利になる(とても有利になる、やや有利になる)と回答

4)AI ツールを利用することで、6 割以上が「論文の質が良くなる」、「論文本数が増える」、論文執筆の「スピードが上がる」、「心理的ハードルが下がる」、「研究にかかる時間が削減できる」など作業効率・生産性の面でポジティブな影響を感じている。

いっぽうで、「投稿できるジャーナルのレベルが上がるか」かを問う設問では、「そうは思わない」、「わからない」が 7 割を超え、研究内容そのものの価値への影響はそれほど大きくはないことが分かった

5)[ユーザーボイス]AI ツール活用においては、複数の AI ツールを利用する、盗用・剽窃になっていないかの確認、英文の精度を上げるなどの意図・期待などから利用されている

6)[ユーザーボイス]AI ツールの利用有無が論文執筆にもたらす影響について、「日本語にない用語を英語で言語化できたので言語のハードルを越える以上の意味がある」、「非英語圏の研究者からの論文投稿がさらに増える」、といったポジティブな声があった

またいっぽうで、「AI が書く論文が氾濫して、論文自体の価値が下がりそう」、「論文数が増大しキャッチアップの効率化に追いつけないと二極化がますます進みそう」、といった懸念を抱えるユーザーもいることが分かった

湯浅誠代表「AI ツールを使いこなすことがキャリア形成に影響」「捏造や剽窃を抑制する仕組みの検討が必要」

「今回の調査から、多くの研究者の英語論文執筆において AI ツールの活用が進み、ユーザーの「執筆スピードが上がる」「研究にかかる時間が削減する」といった作業の効率化と「論文本数が増える」「質が良くなる」といった生産性向上への貢献にポジティブな認識が広まっていることが確認できました。

また、今回の調査で「AI ツールを使いこなせると、研究キャリアで有利になる」と考える方が 9 割を超えていました。

アカデミアの領域では、業績発表手段として英文での論文出版がさかんに行われ、その結果として論文数と質が評価基準になっていますので、AI ツールのリテラシーの優劣により、歩むキャリアに差が出てくることが推察されます。

いっぽうで、AI ツールの浸透の裏にある課題や懸念も無視することはできません。

今後、AI ツールによる効率アップ、生産性向上に伴い、世界中で提出される論文本数が増大すると考えられますので、論文を査読する側のリソース確保や、データの捏造や表現の剽窃(ひょうせつ)増大への対応と抑制する仕組みが必要です。

AI ツールとプロフェッショナルによるチェック・人的サービスを提供する弊社としては、AI の発展に合わせて、よりシーンに応じた人的サービス開発に力を注いでまいります」

(カクタス・コミュニケーションズ 湯浅誠 代表取締役)

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