日本最大の企業データベースを保有するユーソナー(東京都新宿区)は7月から、日本で活動するほぼすべての法人の事業拠点を網羅・構造化した企業データベース「LBC」にもとづいた「日本企業の縮図レポート」を定期的に公表していく。

このユーソナー「日本企業の縮図レポート」の最大の特長は、官公庁や信用調査会社が保有していない各種企業の傾向データもハイブリッドして日本企業を集計・分析していく点。

定期レポートは、テーマにより半年または1年ごと 1月または7月を予定。またメディアからのリクエストをもとにした「個別カスタムレポート」も作成し、メディア掲載を終えたレポートについては同社から希望者に配布することも想定している。

7月17日には、ユーソナー新宿本社で説明会を開き、長竹克仁代表取締役社長 、桧山直樹マネージャーらが登壇し、レポートの特長などを伝えた。

ひろく社会一般の関心に応じた調査レポートへ

まずはユーソナー「日本企業の縮図レポート」のベースとなる、企業の営業やマーケティング活動を支援すべく長年蓄積・更新してきた820万拠点もの企業データベース「LBC」について。

ユーソナーが保有する LBC(Linkage Business Code)は、大手から中小、個人商店までほぼすべての事業拠点を構造データ化。

そのうえで住所や電話番号・役員・業種・従業員数・売上高・資本金といった基本情報をはじめ、企業の特徴が分かる多種多様な企業の傾向データを紐づけている。

企業の傾向データの情報ソースは日本全国の商業・法人登記簿や、有価証券報告書、新聞・官報、新設法人データ、官公庁・地方自治体の公開情報、地図情報、行政機関への開示請求、企業ホームページチェックなどさまざまな情報が含まれる。

これらをもとに、LBCは、株式会社・有限会社など400万社すべてに対し、推定売上・推定従業員数を付与し(事業所単位)、網羅率アップをめざしていまも作業を継続している。

ユーソナーは今回、こうした企業データを従来支援してきた企業の営業やマーケティング活動だけでなく、ひろく社会一般の関心に応じた調査レポートに活用できると考え、「日本企業の縮図レポート」の定期公開に踏み切った。

官公庁や信用調査会社にない独自視点情報を

「日本企業の縮図(≒日本経済)レポート」は、日本最大の企業データと、ユーソナーが保有するさまざまな企業の属性傾向データを組み合わせることで、都道府県や業種別などで企業傾向を把握できる。

計算式は、ユーソナーが保有するさまざまな企業の属性傾向データ÷法人番号を付番された分析対象の非倒産企業数×100。

同レポートは、ユーソナーが長年培ってきた企業データの収集・集計のメソッドをもとに、官公庁や信用調査会社が保有していない企業の属性傾向データも活用し、独自の視点を提供する目的で作成していく。

同社は次のような視点からのレポートを提供していくという。

◆都道府県など地域エリア軸での分析

◆日本標準産業分類や独自の産業区分を用いた、業界・業種軸での分析

◆オンライン上の行動データ(インテントデータ)を軸とした分析

◆倒産や休業・廃業などの企業の消滅軸での分析

―――こうした独自視点で抽出したデータの最新版が、次の6つのトピックスだ↓↓↓

健康経営優良法人2024 認定企業が多い都道府県ランキング

経産省の法人認定制度で、優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから評価を受けることができるようにする目的。2016年度創設。

企業の間で注目が高まっており、どの地方で認定に熱心かをみるため都道府県マップを作成したところ、山形、島根、愛知、岡山、長野が上位にランクイン。経産省サイト資料でも同じ傾向が確かめられた。

12月決算の企業が多い都道府県

東北・日本海側エリアを中心に多く分布していることがうかがえる結果に。

特許を1~5個もつ企業が多い都道府県

中部・北陸企業と東京において割合が高いことがうかがえる。

社長が女性とみられる企業が多い都道府県

首都圏・関西・九州北部など大都市を抱えるエリアで高い傾向がうかがえる。ただし抽出ロジックは同社定義で、「さらに検討を進める」という。

家族経営とみられる企業が多い都道府県

東北・日本海側で割合が高い傾向が見てとれた。

「企業消滅スコア」調査レポも開発中

ユーソナーは、同社法人データ452万社に対し、解散や倒産をした法人データはじめ、100種類以上の様々なデータ指標を加味して特徴傾向を分析し、同社オリジナルの「企業消滅スコア」を算出。

スコアの高低によりA~Hの8段階で格付けを付与(開発・実証実験中につき算出ロジックの詳細は非公表)。

そのうえで、今回は、様々な企業属性と企業消滅スコアの関係を分析。

その結果、格付けA~Bの上位ランクによく出現する企業属性、G~Hの下位ランクによく出現する企業属性が出てきた。

たとえば、「健康経営優良法人」という属性をもつ企業は、企業消滅スコアの格付けA~Bのカテゴリーに97%の確率で含まれていることがわかった。

また、「同じビル内におしゃれなカフェが入っている企業」という属性をもつ企業は、企業消滅スコアの格付けG~Hのカテゴリーに13%の確率で含まれていることがわかった。

これら一つひとつの企業属性が企業消滅スコアのなかで抜きん出て作用しているというものではなく、企業消滅スコア自体はさまざまなデータからの総合的スコア。企業消滅スコアは実証実験段階で、「今後も精度を高める検討を続けていく」という。

(出典:ユーソナー)
https://usonar.co.jp/news/20240717_704.html
https://usonar.co.jp/news/20240717_705.html

(ちなみにユーソナー本社には、uSonar、mSonar、PLANSonar を体感できる“潜水艦コーナー”もあるぞ)

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