長引く咳や痰、疲れやすい……。

その症状、もしかして肺NTM症かも?

―――インスメッドは、肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)の認知向上と正しい疾患理解を促進すべく勉強会を開催。

肺NTM症治療の専門医である昭和大学 横浜市北部病院呼吸器センター
講師 林誠先生、呼吸のリハビリテーションを専門とする複十字病院リハビリテーション科 科長 髻谷満先生が登壇。

肺NTM症と呼吸リハビリテーションの最新トピックスや、2023年6月に11年ぶりに改訂された「成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2023―」などの最新情報を教えてくれた。

◆肺NTM症とは?  林誠先生

◆肺NTM症に有効なリハビリテーション 髻谷満先生

肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)とは

肺NTM症は、非結核性抗酸菌(NTM)という細菌が肺に感染することにより発症する感染症で、日本では2007年から2014年の7年間において人口10万人あたりの罹患率は2.6倍増加し、現在では肺結核をしのぐ罹患者数に達している。

とくに日本は、人口比からも米国や欧州と比較して患者数が多いといわれている。

血痰、倦怠感、体重減少…やせ型の中高年女性に好発

肺NTM症のおもな症状は、咳嗽、喀痰、血痰、倦怠感、体重減少などが挙げられ、症状の強さや病気の経過は患者によってさまざま。

厚生労働省の人口動態調査(2022年)では、国内の肺NTM症による死亡者数は年間2,300人を超えるなど、とくに近年では女性の罹患者・死亡者が増えている。

また、NTMは、日常生活で身近な誰もが接することのある水回りや土壌に生息し、とくに「やせ型の中高年女性に好発する」ことが、過去の研究で明らかになってきている。

治療はまず菌の陰性化

肺NTM症の治療は、自覚症状を改善し、病気の進行や悪化を防いで、その先で重症化させないことを念頭に施していく。

治療の基本は、NTM菌を駆除する抗菌薬を服用し、NTM菌の陰性化をめざす。

薬物治療は飲み薬ではじめて、効果がみられない場合または重症度によっては、注射や吸入による治療を検討していく。

投薬はNTM菌が消えるまで継続し、菌が消えたあとも1年以上継続する必要がある。

また、再燃や再感染といって、病気が再発することも多いことから、根気よく病気と向き合うことが大切になる。

肺NTM症に有効なリハビリテーション

肺NTM症の治療には、薬物療法に加えて呼吸リハビリテーションを組み合わせることで、より良い効果が期待できる可能性がある。

この併用効果で、QOL(クオリティ・オブ・ライフ 健康や生活環境、心の安定を含めた暮らしの質)や、運動能力(持久力・下肢の筋力)が改善することが報告されている。

とくに慢性的な咳や痰の症状がある患者や、空洞病変がある患者などは、積極的に呼吸リハビリテーションを実施することが望まれる。

そこで、患者をはじめ、患者のまわりにいる人たちが、呼吸リハビリテーションについてその意義を正しく理解し、治療に向き合うことが重要になってくる。

いっぽうで課題もある

いっぽうで、肺NTM症患者における呼吸リハビリテーションの課題も、医師・理学療法士・患者と周囲の人たち、それぞれの視点からみえてくる。

医師のなかでも、自身が勤務する病院施設で呼吸リハビリテーションを提供していないという現場や、理学療法士に処方しても「できない」と返答されてしまうケースもある。

また、理学療法士は、普段の診療に対象となる疾患がいない、疾患の経験がない、疾患の認知度の低さなどの課題もある。

さらに、対象者に痰が少なく排痰指導の必要がない、排痰の指導方法がわからない、あるいは対象者がいても医師からの処方がないといった、医療を提供する側の職種間における疾患に対する認識のばらつきも指摘されている。

呼吸と体調の日誌を活用

こうした意識向上に向けて、呼吸と体調についての肺NTM症患者専用日誌を活用することも推奨している。

たとえば、痰の色・量、咳・痰、呼吸苦、血痰、体重などの変化を日誌に記録することで、増悪の兆候をつかむことが期待される。

また、体調や気持ちを記録し経過を追うことで、自身の病気を知り、治療に対する反応を理解することができる。

さらに、日々の健康管理に役立てたり、医師・看護師・理学療法士などとのコミュニケーションツールのひとつにもなると期待できる。

―――肺NTM症患者にとって、呼吸リハビリテーションは、「希望」。病気に向き合うきっかけとしても注目されている。

肺NTM症をより知っていただくために

インスメッドが2023年12月に実施した肺NTM症を含む感染症・呼吸器疾患に関するオンラインアンケートの結果では、罹患者数・死亡者数が増加しているにもかかわらず、肺NTM症の認知度は約1割(9.3%)と、結核やかぜ症候群、インフルエンザおよび新型コロナウイルス感染症などの感染症と比較して低いことが明らかになっている。

こうした実情から、インスメッドは、より多くの方に「肺NTM症」について知っていただくため、肺NTM症の疫学、治療、見直すべき生活環境などをはじめとする多くの情報をわかりやすく解説するサイト「肺NTM症講座」を公開している。↓↓↓
https://insmed-ntm.jp/

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