世界最大級 旅行予約サイト Booking.com ブッキング・ドットコム は、33の国と地域にわたる29,733人の旅行者への調査結果と同社独自の知見をもとに、2026年の「旅行トレンド予測」10選を発表。

都内で開いた発表会では、Booking.com ルイス・ロドリゲス 日本代表、同 信濃伸明 東日本統括部長、中山淳雄 エンタメ社会学者、資生堂 小林太郎ヘアメイクアップアーティストらが登場し、その旅行トレンド予測について展望した。

自分の個性やユニークな魅力をそのまま輝かせたい

今年で10周年を迎えるブッキング・ドットコムの「旅行トレンド予測」は、人々がこれから世界をどのように体験したいと考えているのかに焦点を当てている。

今回の調査では、旅行者が自分の個性やユニークな魅力をそのまま輝かせたいという強い願望を持っていることが明らかに。

この 2026 旅行トレンド予測 10選をチェックする前に、 Booking.com がこの調査結果から得たひとつ合言葉と総括から。

2026年の旅は「The Era of YOU - 自分らしさ」

「旅行はこれまでも常に個人的な体験でしたが、2026年の旅は「画一的な旅」とはまったく異なるものになるでしょう。

旅行者は慣例的なスタイルを離れ、“自分らしさ”を感じられる情熱や関心により深く没頭していきます。

仲間とスリルを共有しながら絆を確かめたり、神秘的な場所へ気まぐれに立ち寄ったり、未来的なデザインのバケーションレンタルに滞在したり——。

2026年の旅は、「The Era of YOU - 自分らしさ」を体現する大胆な自己表現の舞台となるのです。

テクノロジーがその実現を後押しすることで、旅行者は自分を最も理解してくれる人とともに、かつてないほど“超個別化された旅”を体験できる時代が訪れようとしています」(Booking.com)

―――なるほど。ではここから、2026 旅行トレンド予測 10選 をみていこう。

空想物語への没入ファンタジー旅(Romantasy Retreats)

バケーションレンタルは、広々とした空間とプライバシーの確保で人気を集めてきました。

しかし、2026年には、ヒューマノイドのお手伝いが加わった、より未来的な滞在先へと進化しようとしています。

たとえば、散らかった部屋をお掃除ロボットが片付け、ロボットシェフが夕食を用意し(食器洗いまでお任せ)、スマートシステムが水回りやエネルギー、ごみの管理を静かに最適化してくれる――そんな宿泊体験を想像してみてください。

この快適さと好奇心が融合する最前線を、旅行者はすでに前向きに受け入れ始めています。

世界の旅行者の77%(日本:70%)が、お手伝いロボット機能を備えたバケーションレンタルの予約に意欲的であり、その鍵を握るのは“実用性”です。

約半数(世界:49%、日本:47%)が、「お掃除ロボットの有無が予約の決め手になる」と回答し、39%(日本:37%)が、最も期待するのはロボットシェフと回答しました。

さらに、4分の1(世界:25%、日本:12%)が、裏方でサステナビリティを管理するロボットを望んでいます。

いっぽうで、大切なのは利便性だけではありません。目新しさを感じるから(世界:28%、日本:20%)、あるいは、まるでSFの世界にいるようなバケーションレンタルに滞在すると自慢したいから(世界:19%、日本:13%)という声も多く見られます。

こうした「ロボットとの次世代ステイ」は、実用性と遊び心の境界をあいまいにし、快適さと驚きを両立させた、まったく新しいバケーションレンタル体験を生み出しているのです。

絆の真価を確かめる旅(Turbulence Test)

休暇は、もはやリフレッシュのためだけでなく、2026年には、恋人や友人、仕事仲間との絆を試す“究極の相性テスト”の場となりそうです。

多くの旅行者が、旅先で一緒に過ごす時間を通じて、関係性の強さを確かめようとしています。

実際に、世界の旅行者の3分の2以上(世界:69%、日本:44%)が、将来のパートナーや同僚、新しい友人との旅に前向きで、その目的は「相性を確かめたいから」と回答しています。

関係性を試すこの方法は、創造的でありながら、時に本音をあぶり出すものでもあります。

また、3分の2近く(世界:62%、日本:41%)の旅行者は、あえて人里離れた場所を訪れ、同行者が予測不能な状況や不快な場面でどう対処するかを見てみたいと回答しています。

さらに59%(日本:47%)は、「普段リードする人が主導権を手放し、内向的な人が代わりに導く」ような“役割逆転の旅”に興味を示しています。

同じく59%(日本:42%)は、限られた予算や言語の壁、インターネット接続の悪さなど、あえて制約のある環境での旅を望んでいます。

いっぽうで、旅のパートナーが自発的に旅を計画するかどうかを、一歩引いた立場から観察したいという人も多く(世界:71%、日本:54%)見られます。

こうした困難の中でのテストは、休暇に対する人々の意識の変化を象徴しています。

旅は単なる逃避や癒しではなく、お互いの相性や適応性、チームワークを見極めるための没入型体験へと進化しているのです。

なかでも最も実験的なのはZ世代の旅行者です。

実生活に近い状況を再現し、関係が発展するかどうかを試すために設計されたカスタマイズ旅程を体験してみたいという人は、世界で81%(日本:57%)に上っています。

キッチン棚に旅の物語を集める旅(Self-ie Souvenirs)

2026年には、自宅のキッチンの棚が旅の続きの“異国情緒を映すキャンバス”へと進化します。

旅先のおみやげを並べて、自分の好みやデザインセンス、旅行先のストーリーを表現する人が増えています。

かつて冷蔵庫に貼られていたマグネットが、いまや食料棚へと移り、旅行者は食べられるおみやげやデザイン性の高いおみやげを探すようになっています。

日常のキッチンが、世界の文化を紹介する小さなギャラリーへとなりつつあるのです。

スパイスを入れる手描きのつぼや、工芸的な装飾が施されたオリーブオイル用の缶など、デザイン性のあるキッチン用品や食料品を旅先で購入したいと回答した旅行者は、世界で3分の2以上(世界:68%、日本:58%)にのぼります。

さらに、半数以上(世界:55%、日本:44%)が、食やキッチン用品が有名な目的地を訪れたいと回答しています。

こうした変化は、見た目だけでなく、その背後にある意味も重視する傾向を示しています。

世界の旅行者の4分の1以上(世界:26%、日本:25%)が、食べられるおみやげは、料理をするたびに旅の記憶を呼び起こしてくれると回答し、25%(日本:11%)が、工芸やサステナビリティ、伝統的な手法を伝えるアイテムであることを重視しています。

さらに、独自性やスタイルを重んじる旅行者もいて、5人に1人近く(世界:17%、日本:13%)は、珍しいおみやげや限定デザインのキッチンアイテム、棚に置いてもSNS映えするパッケージなどを収集することを目的とした旅先を選んでいます。

旅の道中が目的になる発見旅(Roadtrip Reward)

昔ながらのロードトリップは2026年に新たな進化を遂げます。

家族や友人と一緒に巡る旅から、道中での偶然の出会いや新しい仲間との交流を楽しむ“共同の旅”へと姿を変えようとしているのです。

今や旅は「運転すること」そのものではなく、仲間との冒険を通じて絆を深め、忘れられないひとときを過ごす場となっています。

世界の旅行者の84%(日本:72%)が、休暇中の相乗りに前向きで、半数以上(世界:54%、日本:28%)は同じルートを旅する仲間を探すためにアプリを活用してみたいと回答しています。

その魅力は明確です。

旅行者が惹かれるロードトリップとは、気ままで柔軟な旅(世界:79%、日本:65%)、新しい人との出会いがある旅(世界:77%、日本:56%)、そして運転を分担できる旅(世界:76%、日本:60%)です。

とくに運転をしない人にとっては、相乗りや自動運転車の普及により、これまでアクセスできなかったルートにも挑戦でき、旅の自由度が一段と広がります。

この変化を牽引しているのは若い世代です。

Z世代の77%(日本:56%)が自動運転車やAIを活用してルートを決めることに前向きであるいっぽう、ベビーブーム世代では36%(日本:38%)にとどまっています。

テクノロジーの進化により、ドライブ以外の分野でも新たな可能性が広がっています。

世界の旅行者の65%(日本:45%)が、AIを使って自分の希望に合わせた景色の美しい穴場ルートを設計したいと回答しています。

テクノロジーと人とのつながりが融合することで、ロードトリップは、探検でありながらコミュニティの要素も併せ持ち、何より“自分らしい旅”へと生まれ変わろうとしているのです。

星が導く、必然の旅先(Destined-ations)

2026年には、星々は占いや星座に関する情報を伝えるだけでなく、旅先そのものを導く羅針盤となるでしょう。

月の満ち欠けや占星術といった神秘的な習慣が、旅行のタイミングや目的地の決定に影響を与え、休暇は精神的に調和し、宇宙に導かれていると感じる旅へと変わるでしょう。

世界の旅行者のほぼ半数(世界:47%、日本:32%)が、スピリチュアルな助言者が「今は適した時期ではない」と言えば、旅行計画の変更やキャンセルを検討する可能性があると回答しています。

また、43%(日本:32%)が、占いの警告をもとに旅行を見直したり、39%(日本:27%)が、もしも水星逆光中と知ったならば旅行を調整すると回答しています。

こうした宇宙に基づく軌道修正にとどまらず、多くの旅行者が、神秘的な兆候や占星術による兆候に基づいた体験を積極的に求めています。

月の満ち欠けや夏至・冬至に合わせて旅行時期を決めたり、パワースポットを訪問する休暇計画を立てるさいに、そのような神秘的な要素を考慮すると回答した旅行者は約4割(世界:39%、日本:21%)に上ります。

なかでも、Z世代(世界:53%、日本:24%)とミレニアル世代のほぼ半数(46%、日本25%)は、とくにスピリチュアルな探求に敏感であり、若い世代にとって自己発見への道は、まさに星々に導かれているのかもしれません。

美肌&ウェルネス・ビューティーテック旅(Glow-cations)

2025年は没入型リトリートの旅が注目されていましたが、2026年は、ウェルネス旅行がかつてない盛り上がりを見せるでしょう。

世界の旅行者の80%近く(日本:53%)が、自身の肌のニーズに合わせた複数の施術を受けられる“美肌に特化した休暇”の予約に前向きです。

従来のスパを単純に楽しむ旅が、AIなどテクノロジーを取り入れ、体の大部分をしめる「肌」に焦点を当てた、ハイテクかつ個別対応の旅へと進化しています。

実際、世界の約6割の旅行者(世界:59%、日本:32%)が、自分の肌のニーズに合った目的地を見つけるために、AIの活用を検討すると回答しています。

加えて、世界の旅行者の約4分の3(世界:72%、日本:55%)が、気候やアクティビティに合わせてカスタマイズされる保湿ステーションに期待を寄せ、64%(日本:51%)は、毛穴や保湿状態を分析しリアルタイムでスキンケアアドバイスをしてくれる、カメラやセンサー機能を持つスマートミラーに興味を示しています。

また、睡眠の最適化も重要な要素となり、75%(日本:57%)が、概日リズムに合わせた照明やサウンドスケープを取り入れて休養を改善する機能強化型のスイートルームに関心を持っています。

質の高い休息は、休養は肌の修復と再生に欠かせない鍵なのです。

体を温める昔ながらの温泉療法から、DNAやマイクロバイオームを解析する最先端の検査まで、美肌休暇はスキンケアに特化したウェルネス旅行の新時代を切り開いています。

その目的は単なるリフレッシュではなく、見違えるほど生まれ変わって帰ってくることなのです。こんなパーソナライズされた体験旅への関心が、これまでになく高まっています。

自然の静寂に抱かれ、趣味に没頭する旅(Hushed Hobbies)

2026年、静けさは新たな価値を帯びています。

日常の喧噪や刺激過多な社会から距離を置き、心の平穏を取り戻すために、旅行者は自然の中の静寂を求め始めています。

世界の旅行者の43%(日本:47%)が、自然をより身近に感じることに集中する休暇を取りたいと回答し、Z世代ではその割合が圧倒的な81%に達しています。

さらに4人に1人(世界:25%、日本:40%)が、休暇中は「静かな」趣味に没頭することを希望し、忍耐、黙想、ストレス解消から得る心身を回復させる旅が注目を集めるでしょう。

昆虫観察やバードウォッチングから釣りや食物採集まで、自然との一体感を深めるアクティビティに関心を示す旅行者も増加しています。

世界では過半数の旅行者(世界:57%、日本:29%)がガやチョウなど昆虫の観察に興味を持ち、73%(日本:55%)が釣りやバードウォッチングを検討、69%(日本:69%)が地元の自然や原野で自ら食材を採集することのできる体験型ホテル滞在を希望しています。

こうしたアクティビティは、旅先の環境とのつながりを深めるための手段となっています。

このような静けさの探求においても、テクノロジーはそんな旅行者たちを支える相棒としてのささやかな役割を果たしています。

たとえば、チョウや鳥をリアルタイムで識別できるアプリや、動物が通った跡、生息地、季節ごとの移動パターンを提示するAIツールなどです。

旅行者はペースを落として自然に身を委ねることで、“充電”の意味を再定義しています。

それは、より多くを求めるのではなく、むしろ“減らすこと”によって得られる明晰さと安らぎなのです。

記憶と再開する追憶の旅(PastPorts)

2026年、懐かしい思い出は過去に置いてきたものではなく、テクノロジーの力で再び訪れることができる場所へと変わります。

AIを活用したフォトマッピングや遺産を追跡するプラットフォームを通じて、旅行者は思い出の場所を正確に特定し、古い写真を未来の旅程に組み込むことで、その記憶の地を再訪できるようになるのです。

多くの人にとってこれは感情を深く揺さぶられる旅であり、大切な瞬間を思い出して他者と共有したいという思いに根ざしているのです。

世界の旅行者の3分の2(世界:66%、日本:47%)が、テクノロジーを使って思い出や写真を再現し、その場所を訪れることを検討すると回答しています。

そのうち約半数(世界:49%、日本:41%)は、「家族や親しい友人との思い出をよみがえらせたい」とし、46%(日本:40%)は「若いころの自分を思い出し、つながりや帰ってきた感覚を味わいたい」と回答しています。

さらに、3分の1以上(世界:36%、日本:30%)は、こうした旅を人生の節目と捉え、成長を振り返ったり、昔の仲間と再会したり、あるいはつらい記憶と向き合い区切りをつける機会としています。

この新しいトレンドの特徴は、人々が持つ“思い出をたどりたい”という普遍的な願いが、テクノロジーによって形になりつつある点です。

旅行者は懐かしさを追体験するだけでなく、イノベーションを活用して先祖のルーツをたどったり、物語を通して世代間の絆を深めたり、過去の写真を再現して共有することで、懐かしさと新しさが共存する旅を楽しんでいるのです。

私のささやかな節目を祝う旅(Modern Milestone Missions)

2026年に、旅行者はいつ、どうして旅行するのかというルールブックを書き換えようとしています。

結婚式、ハネムーン、記念日や出産といった従来の節目に限らず、現代の“お祝い”はより個人的で多様な形へと進化しています。

世界の旅行者の3分の2(世界:67%、日本:57%)は、旅行をするのに特別な理由はいらないと回答し、5人に1人(世界:21%、日本:3%)は、憧れの目的地に行くために伝統的な節目を待たないとしています。

この“モダン・マイルストーン・ミッション”の波は、旅行者が自分なりの方法で達成を受け入れ、自分自身を祝福する手段として旅を選んでいることを示しています。

世界の旅行者の4分の3(世界:75%、日本:55%)が、「頑張った自分へのごほうび」として旅行を予約しているほか、旅行を予約する新たな理由も注目を集めています。

たとえば、就職や昇進祝い(世界:24%、日本:13%)、思いがけない税金の還付(世界:16%、日本:15%)、別れに区切りをつけるための旅(世界:14%、日本:11%)、新しい服のお披露目旅行(世界:9%、日本:3%)などが挙げられます。

また、健康やウェルビーイングの達成も新たな動機となり、5人に1人(世界:22%、日本:10%)は断酒の成功やフィットネスの成果などを祝うために旅行しています。

“モダン・マイルストーン・ミッション”とは、自分のために旅をし、自分を祝福し、他人の目を気にせず“自分らしさを誇る”――つまり、「理由があるから旅をする」のではなく、「旅すること自体が理由になる」という、新しい時代の旅のかたちを象徴しています。

◆ Booking.com ブッキング・ドットコム
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