
恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」(ペアーズ)を運営するエウレカ(本社:東京都港区)は、登録者本人確認のさらなる強化から、SNS誘導対策の高度化まで、新たに全5件の包括的な安心・安全対策を施している。
12月2日以降、公的書類として原則利用できなくなる健康保険証を含む券面情報のみで行う本人確認を、12月1日に廃止。
登録者本人確認手法を「マイナンバーカードのICチップ読み取り」と「アプリ内の自撮り(セルフィ)と公的書類による認証」の2つに限定する。
そのほか「目視審査体制の強化」「不正アカウントのプロフィール写真照合機能」「SNS ID交換のメッセージブロック機能」「不正アカウントとメッセージしたアカウントに対する注意喚起」を、2025年11月から順次実装した。
Pairs ペアーズ 不正アカウント活動に対する5つの包括的な安心・安全対策
◆ 健康保険証をはじめとした券面情報のみの本人確認廃止(2025年12月1日開始)
◆ 目視審査体制の強化(2025年12月1日開始)
◆ 不正アカウントのプロフィール写真照合機能(2026年開始予定)
◆ SNS ID交換のメッセージブロック機能(2025年12月以降開始予定)
◆ 不正アカウントとメッセージしたアカウントに対する注意喚起(2025年11月開始済)
―――こうしたペアーズ「トラストアンドセーフティ」対策について、エウレカ 藤田哲平 トラストアンドセーフティ マネジャーに詳しく聞いた。
健康保険証をはじめとした券面情報のみの本人確認廃止(2025年12月1日開始)

「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」の施行規則において、2024年12月2日に新規発行が終了した健康保険証が本人確認書類から削除された。
1年間の経過措置を経て2025年12月2日以降は、健康保険証が公的書類として原則利用できなくなったことから、ペアーズではこれを用いた本人確認を終了させた。
同時に、本人確認手法として一般的に使用されてきた「公的書類の券面情報のみを撮影する本人確認」を IMS の認定事業者として初めて廃止する。
目視審査体制の強化(2025年12月1日開始)

従来から実施していた AI と人による目視審査の体制を変更し、AI と 24時間365日の目視による審査。
ペアーズは累計登録数が2500万におよぶなど、数多くの独身男女が日々登録している環境下で、不正アカウントの登録を防ぐべく、不正アカウントの行動傾向や特徴を分析して検知ルールを更新し、AIを活用することで多量の不正アカウントをスクリーニング(ふるい分け)。
これにより、本人かどうかを一人ひとり確認するオペレーターの作業負荷を軽減し、目視審査の実効性を高めていく。
そして AI と目視、テクノロジーと人のハイブリッドで、より厳格に審査する体制へ移行し、前述の券面情報のみの本人確認廃止と組み合わせることで、不正アカウントと一般ユーザー間で発生するメッセージを大幅に削減することを見込む。
不正アカウントのプロフィール写真照合機能(2026年開始予定)

不正の疑いが生じたアカウントに対して、1.プロフィール写真 2.アプリ内の自撮り(セルフィ)写真 3.公的証明書の写真をまとめて照合する本人確認を実施。
プロフィール写真も追加照合することで、本人確認の実効性を高める。
SNS ID 交換のメッセージブロック機能(2025年12月以降開始予定)
2025年3月から利用規約で SNS の ID交換禁止を明示し、ID交換と疑わしいメッセージを検知したさいにポップアップで ID交換の禁止を通知してきた。
この取り組みをさらに強化し、該当するメッセージ送信そのものをブロックしていく。
不正アカウントとメッセージしたアカウントに対する注意喚起(2025年11月開始済)
ペアーズが不正アカウントとして判定・削除したアカウントとメッセージを交換した一般ユーザーへは、詐欺被害の注意喚起、啓発コンテンツへの誘導を実施。
従来からペアーズは、不正アカウントを認知した時点で当該アカウントを削除しているなか、今後はこれに加えて当該アカウントとメッセージしていた一般ユーザー全員に注意喚起し、安全なアプリ利用に関する情報をまとめた「セーフティセンター」へ誘導していく。
周囲や警察への相談を促すとともに、詐欺手口の理解や被害に合わない方法に関するコンテンツへの誘導を強化することで、ロマンス詐欺被害の抑制につなげる。
不正アカウントを防ぐ本人確認とプラットフォームの監視体制を大幅強化
ペアーズは、ユーザーが安心・安全にサービスを利用できる環境づくりを最優先課題と位置付け、「テクノロジーによる対策」「アプリ内外の啓発活動」「外部との連携・協力」に注力する。
とくに「テクノロジーによる対策」においては、2024年にマイナンバーカードの ICチップ読み取りによるオンライン本人確認を業界に先駆けて開始。
また、アマゾン ウェブ サービス(AWS)提供の機械学習を使用し、画像認識と動画分析を自動化する「Amazon Rekognition」を活用したシステムを自社で開発。
既存サービスと比較して、顔や生体の検出精度が大幅に向上している。
さらに、アプリ内の安心・安全を保つ取り組みでは、不正アカウントの新たな傾向や特徴を分析する自動検知システムをリニューアルし、不正と疑わしいアカウントを目視で監視・排除する新たなオペレーションを開始した。
これらの取り組みにより、ペアーズでは不正アカウントから一般ユーザーに届く「いいね」の数が45%減少、また不正アカウントと一般ユーザーがメッセージを交換する数も57%減少している。
―――こうした ペアーズ の安心・安全対策への徹底には、こんな背景がある。
SNS型ロマンス詐欺や匿名・流動型犯罪グループの温床に
SNS やマッチングアプリなどを通じて、直接出会うことなくやり取りを続けることで恋愛感情や親近感を抱かせる「SNS型ロマンス詐欺」の被害が近年増加中。
具体的な詐欺の実態としては、生成 AI をはじめとした新たなテクノロジーなどを利用して SNS へ誘導し、恋愛感情や親近感を抱かせる手法が多く用いられている。
警察庁が「被害時の連絡ツール」を聞き取り調査したところ、9割以上が誘導先の SNS で関係を構築していることが判明した。
この犯罪の背景として、匿名・流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)が関与して海外に所在する拠点などから敢行されるものが増加傾向にあり、グローバルで組織的に人々をあざむいている。
SNS へ誘導しようとするアカウントの動きを未然・事後の両面で対策

「こうしたオンラインサービスを取り巻く環境の変化を踏まえてペアーズは、不正と疑わしいアカウントがメッセージすることを防止する本人確認と、言葉巧みに SNS へ誘導しようとするアカウントの動きを未然・事後の両面で対策します。
これにより、IMSの認証事業者としてトラブル防止の観点で従来から実施している『ユーザーの通報による個人間のメッセージ確認』などの、アプリ内のユーザー保護施策の実効性も同時に高めます。
そして、ユーザーが使いにくくなるようなプロセスを増やすのではなく、セキュリティとユーザビリティの両立をはかりながら、安心安全を担保できるアプリになるよう、独自の対策を続けていきます」(エウレカ 藤田哲平 トラストアンドセーフティ マネジャー)
日々巧妙化する不正アカウントの手口に対して継続的な監視と対策
こども家庭庁が2024年11月に公開した調査によると、マッチングアプリを出会いのきっかけとして結婚した人の割合は 4人に 1人以上(25.1%)と項目別で最多を占め、ペアーズも 2025年5月に 2012年のサービス開始以来の累計登録数が2500万を突破した。
「ペアーズは『誰もが、出会うべき人と出会える世界をマッチングアプリで実現する。』をビジョンに掲げ、真剣な出会いを求める数多くの独身男女が安心してアプリを利用できるように、専任のトラストアンドセーフティ チームが日々活動しています。
また、米 Match Group(マッチ・グループ)のマッチングアプリ・サービスのひとつとして、グローバルのセキュリティ基準にもとづくシステムを構築し、世界中の犯罪手法の知見をもとにした最新の対策を取り入れています。
日々巧妙化する不正アカウントの手口に対して継続的な監視と対策を実行することで、トラブルに巻き込まれる危険性を誰もが感じることなく、出会うべき人と出会うことができる環境の実現に向けて努力し続けます」(エウレカ)

