SHOCHU 焼酎 と AWAMORI 泡盛 を世界へ―――。

本格焼酎と泡盛の新しい魅力を世界に発信する日本酒造組合中央会から、最新トレンドが届いたのでここでチェックしていこう。

世界のバーシーンのために開発された海外輸出限定品、40度以上のプレミアムな本格焼酎が続々登場

海外市場をターゲットにしたカクテル向きに開発されたプレミアムな焼酎が続々登場。

いずれも原材料のフレーバーが強く感じられる酒質を狙い、世界の蒸留酒に並ぶアルコール度数は40度以上。海外の蒸留酒市場への参入をめざす力作たち。

本格焼酎は、世界の蒸留酒の中でも珍しい、食事といっしょに楽しむ食中酒。スタンダードなアルコール度数は20~30度で、一回蒸留した40度以上ある原酒に割り水と呼ばれる仕込み水を加え、度数を調整して仕上げている。

対して、ジンやウオッカなど世界の蒸留酒のスタンダードは35~45度。食前酒や食後酒、カクテルのベースとして、強いフレーバーと飲みごたえのあるハイアルコールが一般的。

新たなジャンルとなったアルコール度数が40度以上の本格焼酎は、2022年度のTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)焼酎部門で、24点の最高金賞受賞のうち14点が40度以上の本格焼酎が受賞されるなど、すでにプレミアムな焼酎の実力は認められている。

今後世界のバーテンダーの目に留まり、輸出を牽引する一手になることが期待されている。

画像は左から 麦焼酎 iichiko 彩天、芋焼酎 DAIYAME 40、米焼酎 MUJEN。

◆麦焼酎 iichiko 彩天 大分・三和酒類
アメリカのトップバーテンダーと共同で開発。麦焼酎のよさを最大限に引き出したカクテルベースになるお酒として、アルコール度数は43度に設定。原酒に近い度数設定で、焼酎本来の麹による深く豊かな味わいと複雑な旨味を引き出した。
https://www.sanwa-shurui.co.jp/brand/9-107.html

◆芋焼酎 DAIYAME40 鹿児島・濵田酒造
独自の技術「香熟製法」によりライチのような香りを引き出し、40度に設計した芋焼酎。「香熟芋」を用いて黒麹で仕込み、発酵熟成させたもろみを40℃~50℃の低温で1回減圧蒸留することで、柑橘系の香りや発酵由来のフルーティな香りがありながら、原料由来の魅力を引き出したナチュラルな味わいに仕上げている。
https://www.hamadasyuzou.co.jp/global/jp/daiyame40/

◆米焼酎 MUJEN 熊本・繊月酒造
女優で起業家のソンドラ・ベーカー氏と、全米に店舗を持つ老舗ステーキハウスのオーナー一族のブルース・ボッツィ氏が、ロサンゼルス・ハリウッドにてMUJENSPIRITS社を立ち上げ、繊月酒造と共同でアメリカ市場に訴求できる球磨焼酎を開発。3タイプあるうちの42度は10年以上熟成した樫樽貯蔵酒。
https://mujen.com/

新たな官能評価QDA法で、世界の蒸留酒と競合できる酒質をめざした新世代泡盛「尚」

泡盛にも、世界のバーで飲まれるスピリッツとなるべく開発された新泡盛「尚」がある。

目標としたのは、米麹100%のスピリッツとして求められる品質。

このとき泡盛の設計図を書き換えるために採用されたのが、定量的記述分析法と呼ばれる官能評価〝QDA法〟。

海外では、食品の商品開発に用いられる一般的な官能評価の手法のなか、日本ではまだ導入事例は少なく、酒業界においては初の試みだった。

この手法は、泡盛はこうあるべきという因習的な評価ではなく、トレーニングを受けた人たちの泡盛の味覚や嗅覚の感度を数値化、人の感覚を科学的なデータとして取り扱い、評価する手法。

このQDA法のトレーニングを受けるために集められたのは、沖縄の酒造会社の製造技術などを担う20人。

100時間かけて官能評価のトレーニングを行い、感覚の視覚化ができるようになったところで、世界のプレミアムホワイトスピリッツを競合と捉えた泡盛の新たな酒質を設計。

1回蒸留が常識とされてきた泡盛を3回蒸留させ、スピリッツらしい強さと華やかな香りをめざした。

その結果、これまでの泡盛とは大きく違う、米麹のやさしい甘味と華やかな香りを引き出すことに成功。

そうして2019年に生まれたのが、12社が共同開発した40度の新泡盛「尚」。

そのプロセスを追っていくと、日本で最も古くて新しい蒸留酒のユニークさが、わかる。

世界のトップバーテンダー、九州の酒蔵を駆け巡る

昨年、海外のトップバーテンダー7名を招聘したツアーが再開し、世界の蒸留酒市場を目指したバー向けの商品が開発されるなど、輸出促進に向けた動きが活況に。

本格焼酎と泡盛は、世界で親しまれる"SHOCHU&AWAMORI"へと踏み出したばかり。

バーテンダーの活躍をきっかけに、本格焼酎と泡盛の魅力を知る人が増えることが期待されている。

今回の蔵元招聘ツアーでは、日本酒造組合中央会が、海外における本格焼酎と泡盛の認知度を高め、プロモーションにつなげるために、世界のトップバーテンダー7名を招聘。

再開した5回目となるツアーは、2022年10月29日から1週間かけて、福岡から大分、熊本、鹿児島の8か所の酒蔵を巡り、交流を深めた。

熊本・球磨の六調子酒造の池邉社長の話を熱心に聞きながら米焼酎の仕込みを見学。

六調子酒造で樽熟成酒を体験する世界で最も先進的なバーの1つ“Death&Co”のアレックス氏。

大分・三和酒類 いいちこ日田蒸留所ではテイスティングを体験。

蒸留について熱心に質問しているのは、ニューヨークで活躍する“Bar Goto”のゴトウ・ケンタ氏。

大分・クンチョウ酒造では、伝統的な粕取焼酎を日本酒の仕込みから蒸留までの流れを追って見学。タンクから立ち上がるもろみの香りに興味津々。

メンバーの中心的存在、ベーコンバーボンの開発者として知られ、アメリカのカクテル業界トップクラスにいるドン・リー氏。

鹿児島・神酒造では、ニューヨークの有名バー“Dead&Rabbit”ヘッドバーテンダーのディーン氏がもろみを混ぜる仕込みを体験。

展示している古い蒸留器を説明する神酒造の神社長。どこの蔵でも酒蔵ごとに違う蒸留器の質問が多かったという。

U.S.ミクソロジストたちがSHOCHUカクテルの可能性を語る

アメリカで活躍する5人のミクソロジストを招聘したのは、合同焼酎プロジェクトを立ち上げた鹿児島・宮崎・大分・熊本の4県。

ツアー終了後の11月12日に、東京で日本のバーテンダーを対象とした報告会を開催。

「SHOCHU EXPERIENCE」と題して、現地を視察した5人が海外市場における本格焼酎の可能性と魅力について語り合い、その後それぞれ考案したクリエイティブなSHOCHUカクテルを披露。日本のバーテンダーから質問が飛び交う熱いセッションに。

5人がカクテルに使った本格焼酎。右から、大分の麦焼酎“iichiko彩天”、熊本の米焼酎“白岳吟醸しろ”、鹿児島の芋焼酎“薩摩白波蔵出し原酒”、奄美の黒糖焼酎“じょうご”、宮崎の芋焼酎“平八郎”。

フレーバーとバランスの技に定評をもつ“Half Step”のクリス氏が披露したのは、奄美でうけた南国のイメージから、和のピニャコラーダを創作。黒糖焼酎“じょうご”、黒糖、抹茶、ココナッツクリーム、レモン、アプリコットリキュール、アンゴスチュラビターズでつくる“Amami Island Colada”を披露。

セッションの会場は東京虎ノ門の“Gold Bar at EDITION”。

東京を中心に、大阪、北九州、台湾からトップバーテンダーたちが参加。

日本人バーテンダーたちの熱い視線が注がれる熱狂のカウンター。

数々の賞を受賞している“Patent Pending”のニコラ氏。

―――1月末に財務省貿易統計より発表された焼酎の輸出実績によると、2022年度も最高額の更新をみせ、総額21億7200万円。

昨年比124.4%で、2012年度の総額17億3100万円から着実に増加を続けている。

本格焼酎と泡盛の輸出ランキングは、中国に続いてアメリカ、韓国。いずれも堅調な伸びを見せている。

そして世界のソムリエが日本酒のブランド力を高めたように、本格焼酎と泡盛の伝道師として期待されるのが、専門的な知識をもったバーテンダー。

昨年、海外のトップバーテンダーを招聘したツアーが再開し、世界の蒸留酒市場を目指したバー向けの商品が開発されるなど、輸出促進に向けた動きが活況になってきた。

本格焼酎と泡盛は、世界で親しまれる"SHOCHU&AWAMORI"へと踏み出したばかり。

バーテンダーの活躍をきっかけに、本格焼酎と泡盛の魅力を知る人が増えることが期待されている。

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