「治療をしながら、できるだけいままで通り仕事をしたい」
不妊治療やがん治療を続けながら、そんな想いでいる社員に、どう接すればベストか。
―――ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門で、がん・精神・神経疾患、代謝・循環器疾患などの課題に取り組むヤンセンファーマは、「治療と仕事の両立支援」を今後企業が取り組むべき課題のひとつととらえ、「対話でつくろう サステナブル・ワークスタイリング」を発足。
国際女性デーを機に、働く女性の治療と仕事の両立支援を推進すべく「治療も仕事もあきらめない 女性のためのサステナブル・ワークスタイリング」を開催。不妊治療・がん治療と仕事を両立させたい社員とどうコミュニケーションをとるべきかを対話シミュレーションを重ねながら探った。
岡原伸太郎 医師が「治療と仕事の両立支援で大事なこと」を説明
会の冒頭、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ 統括産業医の岡原伸太郎 医師が、「治療と仕事の両立支援」について2ステップでこう説明した。
【治療と仕事の両立支援 第1段階】
◆最初から諦めるをデフォルトにしないために、まずは「つながる=相談する」ことが重要。
◆この段階でマネージャーが果たすべき役割は、「普段から、職場や上司部下関係における心理的安全性や信頼関係を作ること」「自分でなくてもよいので、何かあれば家族、友人、同僚、HR、産業医、EAP機関、主治医などにつながるよう勧めること」
【治療と仕事の両立支援 第1段階】
◆両立支援の輪の中でも、仕事の要素を管理しているマネージャーの次のような4つの役割がとくに重要。
・部下のことをよく知っていて、部下とコミュニケーションを取りやすい。
・部下の仕事のことをよく知っていて、それを指示命令したり、支援することができる。
・職場のことをよく知っていて、職場による支援とその負担のバランスを考慮できる。
・社内の制度や相談先(HRや産業医)を知っていて、本人をつないだり、自ら相談ができる。
そしてヤンセンファーマ社員たちが対話シミュレーションで実践トレーニング
こうした「治療と仕事の両立支援での重要ポイント」を整理したあと、ヤンセンファーマ社員たちは対話シミュレーションで実践トレーニング。
まずは、「不妊治療と仕事を両立させたい社員」になりきる社員と、その上司になりきる社員が対話シミュレーション。
不妊治療中の社員は、月に3~4回通院する必要があることや、通院のタイミングは直前にならないと分からない、これまで何度か仕事を休み他のメンバーにも影響が出ているなどを上司に伝える。
それを聞いた上司は、「どのような配慮やサポートが必要?」「具体的にどのような働き方をしたい?」と聞き、チームでカバーできることは何かを提案する。
ここで、プライベートには自分から立ち入らず、治療のことは口外しないと約束するといったポイントも、対話シミュレーションのなかから体感していった。
さらに、「がん治療と仕事を両立させたい社員」については、「体調や体力などを具体的に聞く」「働き方をいっしょに考える」「仕事量は急には元に戻さない」「 部下の休み方についての意向や要望を聞く」といったヒントも社員たちは体感していた。
ヤンセン、多様な人材が活躍できる組織をめざし DEI を推進
こうした「対話でつくろう サステナブル・ワークスタイリング」に取り組むヤンセンファーマは、社員1人ひとりが自分らしいキャリアを築ける環境づくり、多様な人材が活躍できる組織、誰もがやりがいと成長を感じながら働ける職場をめざし、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)をさらに推進させていくという。
今回の「治療も仕事もあきらめない 女性のためのサステナブル・ワークスタイリング」は、小島慶子氏(エッセイスト、タレント、東京大学大学院情報学環客員研究員)や、桜井なおみ氏(CSRプロジェクト 代表理事)、濱田いずみ氏(ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループバイスプレジデント ガバメントアフェアーズ&ポリシー 統括責任者)なども登壇し、パネルディスカッションも行われた。