「ほとんどパラスポーツについて知らなかったから、少しわかったような気がする」
「初めてエキシビションを間近で観て、健常者のスポーツとスポーツ性に変わりがないことを実感」
「いっしょに楽しんでプレーできることがスポーツの素晴らしさ」
「今回のイベントに参加してパラスポーツに興味を持った」
「BEYOND STADIUM 2023 in むさプラ」
―――そんな声があちこちで聞けたイベントが、「BEYOND STADIUM 2023 in むさプラ」。
東京都は9月3日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で、「BEYOND STADIUM 2023 in むさプラ」を開催し、車いすバスケットボール、ボッチャなどの体験ブースや、パラリンピアンをはじめ日本で活躍するアスリートによるパラバレーボール(座位)、ブラインドサッカーのエキシビションマッチやトークイベントが行われ、来場者1000人たちがパラスポーツの魅力を体感した。
切れのあるダンスで観客を魅了
イベントの幕開けを飾るオープニングでは、じんじん先生(北村仁)、UD DANSERS JAPAN 、RIVETS POP CHEER ACADEMY、スタジオフェイスらがダンスパフォーマンスを披露。
各チームに所属する幅広いダンサーたちが、切れのあるダンスで観客を魅了し、会場には早くも一体感が。
武井壮 大林素子 渡邉美穂らが登壇
パラバレーボール(座位)のデモンストレーションでは、MC 平井理央、陸上の十種競技で日本一に輝いた実績を持つ武井壮、もと女子バレーボール日本代表 大林素子、小学校から高校まで約10年間バスケットボールをプレーしていたもと日向坂46 渡邉美穂がゲストで登壇。
煌めきジャパンの迫力プレーに観客も拍手
エキシビションを行ったのは、2024年に開催されるパリパラリンピック出場を狙う日本女子代表チーム(愛称:煌めきジャパン)。
リズムに合わせた準備運動や簡単なミニゲームを行ったあと、ゲストの3人も競技に挑戦。
バレーボール日本代表としてオリンピックにも出場経験があり、イベントなどでパラバレーボール(座位)の経験もある大林も「頭でわかっていても身体が動かない」と、本来の実力が発揮できない場面も。
日本女子代表チームが2つに分かれて行われたエキシビションでは、一進一退の攻防が繰り広げられ、会場に集まった人たちからは、得点が入ったりいいプレーがでたりすると大きな拍手と声援がわき起こった。
日本代表でキャプテンを務める西家道代選手は、エキシビションマッチ終了後、観客にこう伝えた。
「パリパラリンピックに向けて、一丸となってどこまでもきらめけるように、煌めきジャパンを応援してください」
「パリパラリンピックの切符をつかんで絆を爆発」
こうした迫力あるプレーを目の当たりにした渡邉美穂は「パラバレーを間近で見て、熱く盛り上がれる、絆を深められるスポーツだと感じました、全力で応援します」と。
武井壮は「みんなが個性を発揮していいプレーを見せてくれたので、パリパラリンピックの切符をつかんで絆を爆発させてもらいたい」とエールを送った。
「未来への挑戦にエールを」
第2部のオープニングは、第1部と同じくダンスパフォーマンスで幕開け。
その後、あばれる君、鈴木あきえを迎え、「未来への挑戦にエールを」と題したブラインドサッカーと車いすバスケットボールについてのトークイベントを開催。
ブラインドサッカーのコーナーでは、もと日本代表で、現在は埼玉T.Wings でキャプテンを務める加藤健人選手が登場。
あばれる君が加藤選手といっしょにブラインドサッカーに挑戦し、スフィーダ世田谷BFC所属のジュニア選手、安倍成一郎選手と南雲志真選手も登場し、日ごろの練習の成果を見せてくれた。
車いすバスケットボールのテクニックを披露
車いすバスケットボールのコーナーには東京都車いすバスケットボール大会で16連覇中という強さを誇るNO EXCUSEのキャプテン・香西宏昭選手が登場。
同チームアカデミー所属 尾作誠英、廣野正和とともに車いすバスケットボールのテクニックを披露。
まるで周囲が見えているかのようなプレーに拍手
その後、free bird mejirodai とスフィーダ世田谷BFCによるブラインドサッカーのエキシビションマッチを実施。
選手が音を頼りにプレーするため、試合中は静寂に包まれましたが、選手の激しいコンタクトやまるで周囲が見えているかのようなプレーの連続に、会場の熱い視線が注がれた。
エキシビションではもとサッカー日本代表で現在はJリーグのFC東京クラブコミュニケーター石川直宏が解説を務めた。
薗部優月選手がハットトリック
試合は、前半 free bird mejirodai が終始主導権を握るも、スフィーダ世田谷BFCが固い守りで得点を与えず接戦に。
後半に入ると、日本代表でも活躍している薗部優月選手がハットトリックを決めるなど、圧倒的な攻撃力を見せた free bird mejirodai が4対0で勝利を収めた。
「参加してパラスポーツに興味を持った」
解説を務めた石川コミュニケーターは「それぞれの個性を生かし合うことがいま求められていること。(互いを)認め合ってリスペクトし合って、そしてみんなが心を豊かに、笑顔になれる社会をつくっていきたいです」と。
これは、東京都が目指す『すべての人が輝くインクルーシブな街・東京』につながるもので、石川直宏コミュニケーターの言葉は多くの人に響いた。
来場者アンケートでは、こうしたプレーを目の当たりにして、こんな印象を受けたという。
「ほとんどパラスポーツについて知らなかったから、少しわかったような気がする」
「初めてエキシビションを間近で観て、健常者のスポーツとスポーツ性に変わりがないことを実感した」
「ルールの違いが多少あったりしたので、また新しいスポーツとしてみれた」
「今回のイベントに参加してパラスポーツに興味を持った」
いっしょに楽しんでプレーできることがスポーツの素晴らしさ
サブアリーナではパラバレーボール(座位)とブラインドサッカーの体験会も実施。
81人(パラバレーボール(座位)34人、ブラインドサッカー47人)が、パラアスリートの指導のもとで競技を体験。
パラバレーボール(座位)の体験では、第1部でゲスト出演したもと日向坂46 渡邉美穂がMCを務め、武井壮、大林素子は参加者といっしょにプレーを楽しんだ。
体験会の最後、一般参加者とプレーした武井は、「パラバレーボール(座位)は、見ているよりもプレーするほうが10倍楽しい。ここにいる方はそれを体験できたと思うので本当に良かったと思います。とても充実した時間でした」と。
大林は「今日初めて会った方たちと、いっしょに楽しんでプレーできることがスポーツの素晴らしさだと思います。パラバレーのチームはたくさんあるので、これからもプレーを楽しんでもらえればうれしいです」と伝えた。
「障害の有無に関係なく楽しめるスポーツがあるのもいい」
いっぽう、ブラインドサッカー体験では、エキシビションマッチを行った free bird mejirodai とスフィーダ世田谷BFCから代表選手が参加。
体験者はアイマスクをつけ、パラアスリートと同じく鈴の音と仲間の声を頼りにボールの場所を探った。
「音だけを頼りに、スピードが出せるのは本当にすごい」と、体験者ならではの実感の込もった声も。
―――どちらの体験会でも障害の有無や性別年齢を問わず、みんなでいっしょにスポーツを楽しむ姿が印象的。
来場者からは、こんな声が届いた。
「実際にやってみてたいへんさ、面白さがよくわかった」
「障害の有無に関係なく楽しめるスポーツがあるのもいい」
パラスポーツには障害の有無にかかわらず誰もがいっしょにプレーできる競技が数多くある
そして会場内には、義足カバーや弱視向けの製品(QDレーザ)など、パラスポーツに関連する展示ブースも設置。
パラスポーツすごろく体験、紙製のVR専用ゴーグル作成のワークショップ、ボッチャ体験、義足体験や車いすバスケットボール体験ができるブースなど、パラスポーツを見るだけでなく実際に体感できるコーナーも多数出展された。
また、会場入口前には、2025年世界陸上・デフリンピック関連の展示やキッチンカーなども配置され、イベントを盛り上げた。
―――パラスポーツには障害の有無にかかわらず誰もがいっしょにプレーできる競技が数多くある。
このイベントを通じて多くの人々が、スポーツを心から楽しめるパラスポーツの魅力を体感したはず。
来場者からはこんな声があがった。
「ボッチャは子どもも大人も楽しめた」
「今回体験した義足での難しさから、選手の努力が実感できた」
「テレビでしか見ていないスポーツばかりだったが、生で見ると思っていた以上に激しいと思った」