3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」。20歳以上の約7人に1人が患者といわれる「慢性腎臓病(CKD)」を知ろう、予防しよう―――。
そんなメッセージと、かんたんな尿検査キットで腎臓の具合をチェックできる、NPO法人日本腎臓病協会と協和キリン株式会社共催の界腎臓デー啓発イベント ~知ろう、ふせごう、慢性腎臓病~ が東京・大手町で開催された。
実際に、30分ほどのレクチャーと尿検査で得られた結果と、今後の生活習慣改善へのヒントは、大きいと実感した。
まずは慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とは
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎障害や腎機能の低下が持続する疾患のこと。
日本では1,480万人の患者がいるといわれています。
これは20歳以上の約7人に1人という計算になり、とくに高齢者では有病率が高いとされている。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、メタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気で、腎臓は身体を正常な状態に保つ重要な役割を担っていることから、慢性腎臓病(CKD)によって腎臓の機能が低下し、さまざまなリスクがある。
日本腎臓病協会・協和キリン「DIAMOND Project」活動で学ぶ
協和キリンは、日本腎臓病協会と、2019年5月に腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定を締結し、「DIAMOND Project」活動として、疾患啓発活動を中心に各地で積極的に展開。
今年は、3月14日 世界腎臓デー当日に、大手町仲通り OFCグランキューブ側(東京都千代田区大手町)で、一般の人を対象としたイベントを開催。
会場では、日本腎臓病協会の医師らによる疾患に関するミニセミナーのほか、尿検査などの健康診断コーナーなどで参加者は「腎臓をケアする大切さ」「気になったらまずは医師に相談」「生活習慣改善と予防・治療」などについて学んだ。
初期には自覚症状ほとんどない慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(CKD)は、初期にはほとんど自覚症状がないことから、発症に気が付かないうちに、病気が進行してしまうことが多く、患者を増加させている原因でもある。
CKDは、早期では治療で回復する。しかし腎臓は一度あるレベルまで悪くなってしまうと、自然に治ることはない。
放っておくと、どんどん進行し、腎不全や脳卒中・心筋梗塞を引き起こすリスクへとつながり、治療・寛解には透析療法や腎臓移植などしかないという事態にも陥る。
メタボは慢性腎臓病(CKD)にもなりやすい
生活習慣病として、近年何かと話題になっているメタボリックシンドローム。
実は、メタボリックシンドロームは慢性腎臓病(CKD)の危険因子でもある。
メタボリックシンドロームの症状である 糖尿病、高血圧症、脂質異常症は、腎臓の働きを低下させる要因で、つまりメタボリックシンドロームの人は慢性腎臓病(CKD)にもなりやすいといわれている。
慢性腎臓病(CKD)治療―生活習慣の改善
喫煙、アルコール、運動不足、不規則な生活やストレスは、CKDの発症や進行にとっても大敵。
日本腎臓病協会・協和キリンは、その治療について、こう伝えている。
◆喫煙:CKDの発症・進行に関与していると考えられます。喫煙は心血管病などさまざまな病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です。
◆飲酒:適度の飲酒は危険因子とはなりません。過度な飲酒は、CKDや末期腎不全の危険因子となりうるので注意が必要です。
◆運動不足:糖尿病や高血圧の発症を抑えたり、適正な体重を維持するためにも運動することが重要です。自分の体力や体調に合わせて、適度な運動を定期的に行いましょう。
◆不規則な生活:無理な残業など過労を避け、睡眠を十分にとりましょう。
(知ろう。ふせごう。慢性腎臓病ーCKDー:https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/index.html)
慢性腎臓病(CKD)治療―食事療法
CKD の患者さんが毎日の食事で注意すべきことは、病気の進行度や性別、年齢、生活状況によって異なります。
かかりつけの病院に相談して医師や栄養士のアドバイスを受け、進行度にあった食事を心がけましょう。
ステージG1~G2では他の生活習慣病(高血圧症・糖尿病・脂質異常症)に対する注意と共通している一方で、ステージG3〜G5では腎臓の機能が低下してきているので、腎臓をいたわるための食事として 、「たんぱく質の制限」 「塩分の制限」、「十分なエネルギーの補給」、「カリウムの制限」、「リン・水分の制限」が必要です。
協和キリンの「知ろう。ふせごう。慢性腎臓病(CKD)」では『CKD患者さんのための料理レシピ集』として、肉料理、魚料理、ご飯料理、野菜料理、デザートのカテゴリで多彩な料理を、減塩や低カリウムのポイントとともに紹介しています↓↓↓
https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/recipes/index.html
(知ろう。ふせごう。慢性腎臓病ーCKDー)
慢性腎臓病(CKD)治療―薬物治療
慢性腎臓病(CKD)の治療では、薬を使って腎臓の機能を補うことで、進行を遅らせたり、腎臓の機能が低下することで起きる症状を改善したりします(協和キリン)。
◆降圧薬:CKDを伴う高血圧には、腎臓を保護する作用がある降圧薬を使います。
◆利尿薬:尿の量を増やして、体内の余分な水分や塩分(ナトリウム)の排出を促すことで、血圧を下げたり、むくみをとります。
◆経口吸着炭素製剤:腎臓の機能が低下すると、血液中の老廃物が尿へ十分に排出されず体内にたまってしまい、尿毒症になります。腸の中で、尿毒症の原因となる毒素を吸着し、体内に吸収させることなく、便とともに排泄させる薬を使います。
◆腎性貧血治療薬:CKDでは貧血が発症します。血液(赤血球)は骨髄の中にある細胞が、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン)の刺激を受けてつくられますが、腎臓の働きが悪くなるとこのホルモンが出てこなくなってしまうため、血液が十分につくられず貧血になります。貧血は、エリスロポエチンの分泌不足を補う注射薬や、体内のエリスロポエチン産生を促す内服薬による治療により改善します。貧血を治療することによって、腎臓の働きが悪くなるのをおさえることができるといわれており、また貧血は心不全を悪化させる原因にもなります。
◆カリウム吸着薬:腎臓の機能が低下すると体内のカリウムが排出されず体内にたまってしまいます。カリウムは体にとって不可欠のものですが、体内にたくさんありすぎると手足のしびれや不整脈などの原因になります。そのため、腸の中でカリウムとくっつきカリウムを体外へ排出する薬を使います。
◆リン吸着薬:腎臓の機能が低下し、体内からリンを排出できなくなると高リン血症になり、骨がもろくなったり、心臓や血管に悪影響を及ぼします。そのため、食べ物の中のリンを腸の中で吸着して、体に吸収させることなく体外へ便とともに排泄する薬を使って体内のリンを減らします。
◆活性型ビタミンD製剤:骨の発育には複数の臓器が関わっていますが、その中でも腎臓は、カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDを作っており、腎臓の働きが低下すると、活性型ビタミンDが低下し、カルシウムが吸収されなくなって骨が弱くなるなどの症状が出てくるおそれがあります。そのため、薬で活性化したビタミンDを補い、骨がもろくなるのを防ぎます。
まずは尿検査でチェック
今回のイベントでまず体感したのは、「とにかくかんたんな尿検査キットですぐに自分自身の腎臓の状態をチェックを」だ。
慢性腎臓病になると腎不全(透析)のみならず、心筋梗塞、脳卒中などの発症や死亡の危険性が高くなる。
そこで、慢性腎臓病を早期に見つけることが重要。
慢性腎臓病の診断には、尿検査(蛋白尿や血尿など)と血清クレアチニン値の両者が必要。
多くの場合、慢性腎臓病では自覚症状は透析の直前まで出にくいため、早期発見には検診での尿検査が欠かせない。
「早期発見のためには、尿検査が重要である」
それを痛感したイベントだった。こうした腎臓に関する最新情報は、の特設サイトで紹介されいているから、気になる人はチェックしてみて↓↓↓
https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/index.html