「こんなの買う人いるの?」「利益出んの?」
ずぶの素人、一般人的思考のこちらは、こう思ってしまうけど、実は“その道のプロ”のニーズにガッツリ応えてて、めちゃめちゃ支持されているのが、カシオ計算機の「電卓」。
カシオ計算機といえば、世界中で愛されいまも最新モデルが続々登場するウォッチ「G-SHOCK」や、「Casiotone」などの電子楽器、「EX-word」などの電子辞書などを手がけるガジェット老舗メーカー。
このカシオ計算機が手がける商品カテゴリのなかでも、電卓カテゴリには、“知られざるカシオの別世界”がある。
それを教えてくれたのは、カシオ計算機 教育関数BU 商品戦略部 商品企画室 玉本真一さん&野村美月さん。
まず驚くのは、知る人ぞ知る“電卓の常識”。
実は、各メーカーでキー配列が違う
日本の電卓メーカーは、トップシェアのカシオ計算機を筆頭に、シャープやキヤノンが続く。
実は電卓の世界、こうした各メーカーごとにキー配列が違うという。
パソコンの日本語キーボード(JIS配列)などは、主要なキーの配列はほぼ同じなのに、電卓はメーカーなどでいろいろ違う。
カシオの電卓はだいたい、数字「0」を左下角に配置し、操作面中央に数字キーが並び、右側縦1列に「÷」「×」「-」「+」が並んでいる。
シャープは左側に数字キーを配置し、右側縦2列に÷×-+などが並ぶ。
さらにシャープとキヤノンが、右下角に「=」を置くのに対し、カシオは右下ひとつ中央寄り、数字キー「3」の下にある。カシオの右下角は「+」という具合……。
違いによる悩ましい事情
この各メーカーによってキー配列が違うといったことで、電卓ユーザーは「慣れ親しんだメーカーのキー配列を最後まで買い続ける」という。
「各メーカーの電卓をチェックせずに“人生初の電卓”を購入するケースがほとんどなので、そのメーカーのキー配列に慣れ親しんで、ずっと同じメーカーのモデルを買い続けることが多い」(カシオ開発担当者)
いっぽうで「一回、カシオ製に慣れ親しんだら、カシオの電卓をずっと愛してくれる」という。そのワケが……。
その道のプロに刺さる専門性
カシオ製の電卓には、あらゆるニーズに対応すべく、業種・業態、シーン、利き手などによって、多彩にラインナップしていることで、“その道のプロ”から高い支持を得ている。
まず大きく2つのカテゴリーがある。一般電卓と関数電卓だ。一般電卓のなかには検算タイプと日数・時間計算タイプがある本格実務電卓を始め、軽減税率電卓・W税率電卓・「グリーン購入法適合」電卓などがある。
特殊技能電卓のなかには、抗菌電卓・防水・防塵電卓・余り計算電卓・栄養サポートチーム電卓・栄養士電卓・看護師電卓・薬剤師電卓・金融電卓などがある。
さらに、ゲーム系やデザイン系と、カタログをみてるだけで目がまわるほど多彩なラインナップを誇る。
これだけでも驚くのに、もっと突き詰めた“カシオ魂な電卓”がある。
それが、人間工学電卓
業種・業態などにあわせたモデルとは一線を画すカテゴリ、それが、カシオの人間工学電卓。
カシオ人間工学電卓シリーズは、操作面を横方向に3度傾斜させた電卓で、ボディ断面上部は傾いてるけど、キーは水平をキープさせた、階段状キー配列「人間工学階段キー」を採用しているところが最大の特長。
このカシオ人間工学電卓には、登場してすぐに「電卓早打ち日本一」の重原佐千子さんや、「公認会計士YouTuber」くろいさんなどが絶賛している。
「電卓が人に合わせる」
カシオの人間工学電卓シリーズは、「人が電卓に合わせるのではなく、電卓が人に合わせる」をテーマに、人間工学的知見を活かし、ボディやキーを見直し、手へのフィット感や打ちやすさにこだわったモデル。
カシオは、電卓の使用状況やニーズに関して調査し、その結果から「右手3~5本指での使用」という条件に着目し、最適な筐体・キー設計による打ちやすさを追求。
4年半の歳月をかけて誕生
開発にあたっては、手指の動きや姿勢、キーの押し込み方向、筋活動量といった人が電卓を操作するときの状態を産業技術総合研究所とともに分析。
その過程で明らかになった「電卓を操作する際には手が外側に傾く」という特性に着目し、操作面には横方向の傾斜を設け、打ちやすさのほか電卓として違和感がないかも考慮し、9度まで検証した結果、3度という角度に行き着き、4年半の歳月をかけて誕生した。
キー表面の凹凸形状も違う
たとえば、ボディ3度傾斜、キー階段状のほかに、キーの形状にも徹底したこだわりがある。
最下列以外のキーは、キー表面がU状にシェイプされている凹型。最下列の「0」「00」「.」「=」は、逆に山形にふくらんだ凸型になっている。
さらに入力時、キーから指を離す前に次のキーを押しはじめても、次の次のキーまでしっかり認識する「3キーロールオーバー」などを採用するなど、まさにプロ仕様のこだわりが詰まった逸品といえる。
そして、待望の左手用が登場
そしてこのカシオ人間工学電卓は、さらにユーザーに寄り添い、左手打ち用もラインナップ。
このカシオ人間工学電卓を待ち望んでいた人は、経理・簿記担当者や公認会計士・税理士など。
左手用ニーズがある理由は、簿記・会計士などの世界では、電卓は左手で打って右手でペンを持って書類へ記入するというスタイルをとるから。
―――カシオは“その道のプロ”のニーズにとことん応え、いち早く商品化する。
さらにプロが高く評価するクオリティが裏打ちし、“その道のプロ”はカシオを愛し、使い続ける。
だからこそ、カシオ計算機はこう伝える。「最初に手にする電卓こそ、カシオ製を」と。