「人間の想像力は、AIにはかえられません」

「どれだけAIやロボットが進化しても、クリエイターのしごとはクリエイターにしかできません」

子どもたちは、こんなことばに耳を傾けながら、じーーーーっと液晶ペンタブレットと向き合う。

ここは日本科学未来館。IT×ものづくりの発表会「Wonder Make Fes 6」のなかのプログラム「プロクリエイターから学ぶキャラクターデザイン講座」のワンシーン。

この子どもたちむけペンタブデザイン講座を手がけたのは、ペンタブレットで圧倒的シェアを誇る、ワコム。

そして、会場に集った小学5年生から中学3年生までの子どもたちに液晶ペンタブレットでキャラクターを描いていくポイントを教えるのは、MUGENUP デジタルクリエイティブ事業部 越村華子副部長。

華子先生はまず、子どもたちにキャラクター設定のポイントについてこう伝えた。

どんなキャラなのか、なにができるのか

「これから描くキャラクターは、どんなキャラなのかを、しっかりおさえること。年齢、性別、体つき、性格などなど。次になにができるのか。そのキャラがもつ能力ですね。剣士なのか、魔法使いなのか、回復役なのか、と」

こうしたキャラクター設定の次は、いよいよ液晶ペンタブレットに自由に描いていく。仕事で Windows などに慣れている大人たちにとっては、液晶ペンタブレットの画面をみるだけで拒絶反応を示す人もいるかもしれないけど、これが意外と Adobe Photoshop などと似ていてい直感的。

「まずレイヤーという、絵を描いていくときの『紙の層』のようなものがあります」
「画面左側のツールをみてみてください。レイヤーの一番上を選択して、ツールを選びます」
「万年筆のようなアイコンのペンツールを選んで、画面上に絵を描いていきます」
「消したいときは、消しゴムツールで消します」
「ブラシサイズを大きくしたり小さくしたりもできます」
「ひとつ前の作業状態に戻ることもできます」

なんでもすぐに吸収できて、ためらわずに手を動かして、液晶ペンタブレットに慣れていく子どもたち。

そんな子どもたちをみていると、「中年にもできるかも」「やってみっか」って思ってくる。

そして描きながら、また大事なことが……。

そのキャラの役割をデザインで伝えることが重要

華子先生をはじめ MUGENUP のスタッフたちは、手を休めることなく子どもたちに伝えていく。

「大事なのは、キャラクターを想像しながら描いていくことです。想像することが大事。そのキャラクターがどんな人物なのか、どんな性格なのか、どんなクセがあるのか。どんなスタイルで戦うか、唇がきっとしまっているのか、かわいいタイプなのか」

「かわいいキャラクターならば、どんなかわいさがあるか。おしとやかなのか、元気で活発なキャラか、ゲームキャラクターの世界では、この性格をとことん考えることが必要です」

「たとえば、賢い人は辞書を片手に持っているとか、お金が好きな人は大きな財布を持っているとかでも印象を与えられますよね。男の子を描く場合でも、ひげがあるかないかで変わってくる。ひげがあるほうが上司に見えますよね。ひげのあるなしで、二人の関係性もみえてきます」

「そのキャラの役割をデザインで伝えることが重要です」

―――そんなアドバイスを受けながら、液晶ペンタブレットにどんどん描いていく子どもたち。さすがにネットネイティブ世代、今回の講座でも15人中5人がタブレット経験あり。上手・下手は個人差があるけど、経験なしの子どもたちもあっという間に絵が描けていたことに、大人たちはびっくり。

液晶ペンタブレットでキャラクターを描く……そんなクリエイティブワークは大人たちからみれば、巨大なハードルが立ちはだかるまるで「職人の世界」のように思われがちだけど、実は違った。しかも液晶ペンタブレットさえあれば、「誰でも自由にかんたんに描けるんじゃないか」と実感する。

「アニメやゲーム業界は市場規模が拡大するいっぽうで、人手不足が深刻化しているいま。こうしたセミナーを通し、子どもたちが将来クリエイターをめざし、AI時代にも負けない、クリエイティブ業界を担う人材となるきっかけとなれば」とワコム。同社は今後も、こうしたイベントを開きながら、デジタルクリエイターの育成を後押ししていくという。

ワコム
https://www.wacom.com/ja-jp

tokyochips編集部

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