いまだ収束の兆しすら見あたらないロシアのウクライナ侵攻、ガザ・イスラエル紛争、イラン・イスラエル戦争、米ロサンゼルス山火事(放火)、クーデター、テロ、パンデミック……。

世界各地で紛争・テロ・犯罪が絶え間なく起きるなか、企業社員の安全確保は単なる福利厚生の枠を超え、経営上の重要課題として位置づけられ、とくに海外で勤務する駐在員に対しては、組織的かつ計画的な支援体制の構築が、企業の人的資本経営の要となってきた。

日本はどうか。

リスクマネジメントに対する認識不足と対策の遅れが課題

多くの日本企業では、現地対応が依然として「現場任せ」で、リスクマネジメントに対する認識不足と対策の遅れが課題だ。

また、駐在員個人の裁量で危機対応を迫られることで、心身の不調をきたす事例も多く、企業の人的資本が損なわれるリスクが顕在化している。

さらに 2025年を通じて、米国の政権交代や中東情勢の緊迫化など、地政学的リスクの高まりが企業活動に直接的に影響を及ぼす場面が増えてきた。

そんないま、突発的な政策変更や紛争・テロ・犯罪が起きた地からの退避勧告など、予測困難な事象に対して企業は即応性の高い危機管理体制が求められている。

インターナショナルSOSという選択肢

ロンドンとシンガポールに本社を置き、Fortune Global 500 に入る企業をはじめ、中堅企業、政府機関、教育機関、NGO団体まで、世界各国9,000以上の企業・団体に医療・安全サービスを提供するインターナショナルSOSグループは、日本市場で中小企業や大学・教育機関へもサービス展開を拡充させていくという。

10月にはインターナショナルSOS 創業者 アノー・ヴェシイエ CEO が来日し、同社 福間芳朗 リージョナルセキュリティディレクターノースアジアとともに、その優位性について説明した。

安全・医療・ロジスティクス・デジタルの専門家が 世界90か国1200か所以上で 24時間365日サポート

インターナショナルSOSグループは、組織の持続可能な事業を実現すべく、安全・医療・ロジスティクス・デジタルの専門家が、世界90か国1200か所以上で、24時間365日サポート。

従業員数は 1万3000人、セキュリティ専門家は1000人、89か所のオフィスに加え、28拠点のアシスタンスセンター、54拠点の自社運営クリニック、31拠点のセキュリティセンターを構え、年間300万件ものアシスタンス要請コール、年間1700件もの緊急退避支援(緊急搬送)に対応している。

また医療分野では4400人の医療従事者と、1300人の医師が陸海空を問わず医療サービスを提供。

遠隔地や過酷な環境下で事業を展開する石油・ガス・鉱業をはじめ、「世界の8割がクライアント」という航空会社、大使館・政府機関・国際機関・軍関連にも専門サービスを展開し、直近では東京2020 夏季オリンピック・パラリンピックや2024パリオリパラなどの安全も、インターナショナルSOSグループが支えてきた。

国境を越えて支援できる理由

「モスクワ空港爆破事件、アメリカ同時多発テロ事件、ロシアのウクライナ侵攻などが勃発したさいも、インターナショナルSOSグループは複雑化する機器現場でクライアントを支援してきた。

インターナショナルSOSグループが国境を越えて支援できるのは、地域に関する深い知見と現場対応力、支援に必要な物資や施設、各種専門家、そして信頼できる国内外パートナーたちとの連携があるからこそ」(アノー・ヴェシイエ CEO)

そんなインターナショナルSOSグループの最新事例が……。

イラン・イスラエル紛争地から40名の国外退避を支援

2025年6月13日未明、イスラエルがイランの核・ミサイル関連施設を空爆し、両国間で武力衝突が勃発。

その直後、イスラエルは民間航空機の飛行を禁止し空域を閉鎖したことを受け、600以上の企業が、現地に滞在する従業員の避難支援をインターナショナルSOSに要請した。

避難を必要としていたのは、イスラエル国内で働く輸送機器メーカーの従業員36名と、テルアビブおよびエルサレムに滞在していた母親と3人の子どもたち。

そこには単なる輸送手段ではなく、安全な国外退避を実現するための現地に精通した専門家の支援が求められていました。

インターナショナルSOSは、各分野の専門家たちによる協議の結果、40名全員が同日に出国可能なバスによる陸路移動が最善と判断し、即座に実行し40名の国外退避を支援した。

こうした事例は、インターナショナルSOS公式サイトのケーススタディに詳しく紹介されている↓↓↓
https://www.internationalsos.co.jp/

専門家とつながるデジタルプラットフォーム

インターナショナルSOSグループは、「管理者向けの情報収集・分析とアドバイス」「従業員向けのアシスタンスサービス」「従業員教育」「モニタリング・コミュニケーション・クライシスマネジメント」の4領域サービスを組み合わせる設計で、企業・組織のニーズに対応。

世界的に有名な専門家とつながるデジタルプラットフォーム「管理者向けの情報収集・分析とアドバイス」では、医療・セキュリティに関する情報収集、専門家による分析、レポート機能を一元化したプラットフォーム「クオンタム」や、ロケーションガイド、Eメールアラート、月次リスク予測レポート、退避モニターなどが含まれる。

従業員向けアシスタンスサービス

従業員向けアシスタンスサービスには、国・都市ごとの医療水準や犯罪リスク、医療、渡航、セキュリティに関する情報を、アプリ「International SOS Assistance」・会員専用サイト・メールで提供。

https://www.internationalsos.co.jp/subscriber/assistance-app

24時間365日、アシスタンスセンターを通じて海外出張者・駐在員に医療・セキュリティに関するアドバイスや緊急支援、メンタルヘルスサポートなども提供する。

従業員の位置情報を把握 モニタリング機能

また、従業員の位置情報をリアルタイムで把握し、関連する事象に集中できる環境も提供。

クオンタムで一元化されたインターフェースを通じ、渡航前やリスクにさらされる可能性がある従業員と効果的にコミュニケーションをとり、迅速・的確な対応へつなげていく。

企業の労働安全衛生・健康経営に貢献

たとえば伊藤忠商事は、ESGレポート2025 の「労働安全衛生・健康経営」「有事の健康管理体制」のなかでインターナショナルSOSのサービスを採用していることを盛り込んでいる。

「インターナショナルSOS・日本エマージェンシーアシスタンス:テロ・騒乱等の有事に備え、多言語対応の現地情勢問い合わせシステムを整備しています。また、従業員及びその家族が負傷するという万が一の事態に備え、緊急時移送サービス(航空機、同乗医師・看護師、移送先病院等の手配)も導入しています」(伊藤忠商事)

さらに直近では米ロサンゼルス山火事で家屋を失ったウォルト・ディズニー・カンパニー社員たちの安全な移動、住居サポート、食料手配などをすみやかに支援してきたのも記憶に新しい。

そんなインターナショナルSOSグループは、今後の日本市場に対し、「中小企業や大学・教育機関などへもサービスを積極展開していきたい」という。

10代20代のメンタルヘルスもサポート

「たとえば日本の大学では、交換留学や短期留学のプログラムも積極化している。いっぽうで、海外からの留学生も積極的に受け入れている。

そこで懸念されているのが、犯罪などの安全リスク・医療リスク、さらに10代20代のメンタルヘルスもサポートしていける。

さらに『留学先でのバイクタクシーやタクシーに乗っていいのか、乗るときはなにに注意すればいいか』といった小さな不安も解消へとサポートしていける。

中小企業も世界進出に向けてトップエンジニアなどを海外へ派遣させる機会も増えていることから、東京・赤坂にあるインターナショナルSOSジャパン アシスタンスセンターも拡張していきながら、中小企業や大学機関などへもサービスを拡充させていきたい」(アノー・ヴェシイエ CEO)

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