このYouTube動画、静岡県かどこかの観光プロモーション動画と思うでしょ。
まさか、70代の旅好きシニアが自らロケハンして、自分でドローンを飛ばして撮影して、編集、公開した作品とは思えないでしょ。
こんなイケてる映像を撮影した超人的シニアの名は、「旅エイター」という異名をもつ下向智。
これまでの仕事柄、全国各地を歩いているうちに、その絶景を収録し公開するのをライフワークにまでアップデートしてしまったという73歳。
その距離、国内12万km超。さらに海外も6万km突破を目前に、「まだまだ旅していたい」というから、驚く。
彼はまず、「自分からコンテンツをつくる楽しみを体現しよう」ということで、300日かけて日本一周 4万5000km の旅に出る。さらに、280日間かけて日本の城・滝・名木・渚・名道などをめぐる4万kmを走り、休みを返上して日本を駆けまわる。
そしてついに行き着いたのが、そこで出会った人や風景を切り取った画像を、カレンダーに仕立てるという作業だ。
全国各地を旅歩く超人的シニア、大切にしているのは……
旅エイターこと下向智が「とくに印象的な風景」というのが、前出の「秀峰富士」と「納沙布岬」。
「『納沙布岬』。北海道根室市には、終戦後、北方四島から引き揚げた人が多く住んでいるといわれます。わたしは2016年、紅葉前線を追っかける旅で、北海道を訪れたさい、根室の寿司屋で出会った人とお母さんが、この引揚者のひとりだったのです」
「話をうかがうと、引揚者も高齢になってきているので、一日も早い返還を願っていると伝えていました。この動画『納沙布岬』は、そこで出会ったお母さんに想いを馳せて制作しました」(旅エイター)
また、動画「秀峰富士」について旅エイターは、撮影の苦労をこう振り返る。
「天気予報で確認して出かけたにもかかわらず、二度も結果は曇り。三度目の正直で、三回目に訪れてやっと撮影が完了しました」
「どうしても、カレンダーのなかの1月という最初は、おめでたいイメージを入れたいという想いがあり、あきらめずに現地に通いました」
「あきらめずに通ったかいがあり、とても美しい松林越しの富士山を撮影できました。宿の人の話では『富士山がこんなによく見えるのは、月に一回あるかないか』ということです」(旅エイター)
そんなドローンと天候と、根気よくむきあって完成させた作品のひとつに、自作カレンダー「ドローン紀行『我が郷土・我が日本』」がある(最下段の画像)。
全国行脚する仕事から、風景を切り取る時間をライフワークに
もともと旅好きで写真好きだった旅エイター、下向智は。彼は仕事で全国行脚するなかで出会った人たちに共感し、風景を切り取る時間がライフワークのひとつになり、そのころからこんな想いが募ってきた。
「子どもたちむけ教材の枠を飛び越え、シニアむけ生涯教育として、こうした経験を活かせないか。自分で撮った画像や動画を、自らの手で編集し、発表する場をつくれないか」
そんな旅エイターの発想が、シニア層を対象にした生涯学習教室「カルチャーレストラン」へと結実させる。国内だけでなく、海外へもアンテナをはりめぐらせ、世界を旅する旅エイターは、最後にこんなビジョンを教えてくれた。
「自分で撮影、編集し、作品まで仕立てていくことによろこびを感じる教室の仲間を、増やしていきたいですね」(旅エイター)
そんな旅エイターの、「仲間をもっともっと増やしていきたい!」というパッションは、自身の Facebook にリアルタイムに更新されている。
<旅エイター>
https://www.facebook.com/zhi.xiaxiang
<カルチャーレストラン>
https://www.facebook.com/culturerestaurant/