日本国内には1000万人の障がい者がいるといわれているなか、雇用されているのはわずか57万人。1割も満たしていない。
また、民間企業の障がい者法定雇用率は現状2.3%と定められているなか、その達成割合は48.6%と、1年で定着率50%を切る現状。
―――こうした状況下で、障がい者雇用支援を主事業とするスタートラインが、新たな障がい者雇用訓練ツール「Enable360」(いねいぶるさんろくまる)をリリース。
コロナ禍での在宅雇用支援や、職業リハビリテーション、メンタルヘルスケア、特別支援教育などでの活用をめざしていく。
スタートラインは、この新たな訓練ツール「Enable360」を9月にローンチするのに先駆け、都内でその概要説明会を開催。同社 西村賢治 代表取締役と、同社 CBSヒューマンサポート研究所 小倉玄 所長が登壇した。
障がい者だけでなく多様な人たちがターゲット「Enable360」
スタートラインが新たにリリースする障がい者雇用訓練ツール「Enable360」のおもな機能は次の5つ。
◆関係フレームスキルトレーニング:関係フレームにもとづく概念形成や問題解決、視点取り等のスキルの向上につなげる。
◆ACTエクササイズ:不快な感情を受け入れ、価値に沿った行動を増やすスキルである心理的柔軟性を高める。
◆ヘルスログ:食事、睡眠、服薬などの大切な生活リズムを可視化、不調のサインをとらえ、安定した体調へ。
◆オンライン版模擬業務:多様な模擬業務でミスの傾向を把握、仕事の成果を上げる。
◆コミュニケーション:LINE連携し、本人と支援者のオンラインコミュニケーションを円滑にし、適切なフィードバックを行う。
「Enable360」の利用イメージは、障がい者の職業生活、知的障がい児・発達障がい児などの特別支援教育、仕事や勉強時の学習効率を上げるなど、障がい者だけでなく多様な人たちを想定している。
またこのサービス名称に込めた想いについて、こう伝えている。
「利用者目線でいうと、自分のまわりにはたくさんのプログラムや応援してくれる人がいて、自分の可能性を広げることができ、新しい自分へと変化することができる」
「支援者目線でいうと、さまざまな角度から利用者へのアプローチを実現し、適切な支援を可能にするという意味を込めている」(スタートライン)
コロナ禍の在宅勤務にも活用可能な「Enable360」
「Enable360」は、同社がこれまで培ってきた支援技術をベースに、複数のモジュールで構成。
応用行動分析や第三世代認知行動療法といった先進的支援技法、障がい者の働くリアルな場を支える100名を超えるサポーター、支援機関や家族などのソーシャルサポートなどを、最新ICTテクノロジーで融合し、これまでにない画期的な訓練ツールとしてリリースする。
「働く障がい者1200人を支える雇用支援10年の支援技術とノウハウがこの「Enable360」にされている」
「また、コロナ禍で拡大しつつある在宅雇用にも対応し、障がい者だけでなく多様な人々のよりよい生活を送ることをサポートする新しいシステムでもある」(スタートライン)
障がい者雇用研修サービスも7月中旬からオンラインで提供
スタートラインはまた、時間・場所を問わず研修に取り組める障がい者雇用研修サービスも、7月中旬からオンラインで提供。
ターゲットは、障がい者を雇用する企業の専属管理者・人事担当者・従業員などで、これまで同社が講師を派遣して展開していた、管理者育成ガイドライン作成や定着支援手法、SDGsと障がい者雇用、障がい者雇用関連法などをeラーニングで提供していく。
―――同社は今後、応用行動分析と認知行動療法にもとづいた支援で、障がい者雇用の場づくりから定着支援まで、ワンストップで実現させる事業を加速させるという。
◆スタートライン
https://start-line.jp/