新生活が始まる4月。これからの生活・仕事・仲間・先輩・上司などいろいろなことで、特に新社会人の頭の中はいっぱい……。
そんなとき、突然届く「内定取消」の文字―――。
厚生労働省の発表によると、新型コロナウィルスなどの影響で、 2021年春に就職を予定していたものの、就職先から内定を取り消された全国の大学生・高校生は、136名もいるという。
突然、内定取り消しの連絡を受けたら、誰しも頭が真っ白になるのは当たり前。
万が一の場合、何ができるのか、どんな準備をしておけばいいのかといった心づもりをしていれば、冷静な判断ができるかもしれない。
こうした事例について、労働問題専門の相談サイト「労働問題弁護士ナビ」はこうアドバイスする。
正式な内定通知とは法的にどんなものか?
「内定通知の際には、一般的に「内定を通知する」「採用を決定した」等、内定通知や採用する意思を示す文言が記載され、代表者または採用責任者の印が押された書面が送られてきます」
「勤務地、業務内容、給与額等の労働条件の骨子が記載されていることもあります。また、同様の書面のPDFファイルがメール添付で送信されているケースもあります」(労働問題弁護士ナビ)
「内定通知」の受け取り ≠ 入社を確定
影山法律事務所の影山弁護士は、内定通知の効力について「企業から送信されたメール本文に『内定した』『採用を決定した』などのメールがある場合、そもそもメールすら無い場合に比べれば、内定が成立していると主張できる根拠になる」という。
しかし、そういったメールがあった場合でも、書面の交付がある場合と比べると、会社側に採用の意思があったのか、少し怪しくなる。
とくに、「内定通知書が後日送付されることが予定されていたような場合には、内定通知書の送付があるまでは、未だ内定は成立していないと評価される可能性が高い」(影山弁護士)とも。
また、内定通知書の送付があったとしても、内定者側に内定を承諾するか否かの選択権がある場合がある。
もし承諾する場合には承諾書を返送することになっているのであれば、『承諾書を返送して初めて内定契約が成立すると評価される』こともあり得るともいう。
「つまり、内定契約の成否は、単に交付された書面の有無・体裁・内容を見て直ちに判断できるものではなく、応募から入社までの間に当事者が予定していた一連の手続きのなかで、入社が確定したと評価できる段階に至っていたか否かで判断される」(労働問題弁護士ナビ)
正式な内定契約後で、内定を取り消された場合
影山弁護士によれば、「内定が成立した」とは、その時点で既に労働契約が成立していることを意味しており、これに対し、「内定の取り消し」は、労働契約の解約であり、解雇に類する行為にあたるという。
そして、内定取消しの理由は、過去の判例によると「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的に認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」とされている。
「たとえば、単に『社風に合わない』『印象が悪い』などは正当な理由とはならず、また『決算で赤字になったから』『採用をする余裕がない』などの理由があっても、これが採用内定の時点で、容易に予測できるような場合であれば、正当な内定取消しの理由にはあたらない」
「そのため、解雇された労働者は、『内定取消しには客観的合理的理由がなく、社会通念上相当でない』と主張して、地位確認・賃金を請求できます」
「または、内定取消しが不法行為・債務不履行にあたるものとして慰謝料などの損害賠償を請求することも可能と考えられます」(影山弁護士)
和解・解結の事例、解決金の水準
過去に扱った事例の対応例について、影山弁護士はこうアドバイス。
「内定取消しに遭った方からご依頼を受けた場合、一般的にはまず内定先の企業に対して内容証明郵便を送付して、内定取消しの撤回を求めるか、損害賠償を請求します。これに対して普通は会社側から何らかの応答がありますが、内定取消しを撤回することはまず無いのが実態」
「しかし、一定の損害賠償には応じる旨の回答がなされることはあります。その場合、依頼者の意向にもよりますが、早期解決を希望されている場合には金額の交渉をし、合意に至れば示談して解決となります」(影山弁護士)
また、解決金の水準は具体的な事案の内容で変わるという。
「例えば、内定時に提示されていた給料の6か月分弱の解決金で示談したことがあります。受任から解決金の入金まで約1か月という超スピード解決の事案でした。合意に至ることができない場合は、労働審判の申立てまたは本訴(正式裁判)の提起によって解決を図ることになります」
「本訴を提起し、内定時に提示されていた給料の約10か月分の解決金の支払いを受けることで和解した事案もあります。訴訟を提起すると決着まで1年前後を要することが多いですが、本件は相手方に合理的な内定取消し事由として主張できる要素がほぼなかったこともあり、提訴後約4か月で和解に至りました」(影山弁護士)
弁護士事務所に相談する前にできること
もし内定取消の通知を受けた場合、影山弁護士はこうアドバイスする。
「まずは会社に対して、内定取消しの理由を記載した書面を交付するよう要求してほしいと思います。早期に内定取消しの理由を明らかにさせることが、後日、もっともらしい取消理由を捏造されないために意味がありますし、会社側の回答の有無・内容は、弁護士に相談した際に、内定取消しを争って勝算がどの程度あるのか検討するうえでも有益です」
「また、『内定』が口頭で告げられただけであるような場合、取消理由の書面を求めるやりとりをメールや電話で記録(電話の場合は録音)することで、たとえ会社が書面の交付に応じなくとも、内定を告げていたことを前提としたやり取りの記録が残り、内定の告知があったことの証拠として役に立つ可能性があります」
「そのうえで、求人情報、内定通知書その他の会社から交付された書面、会社に提出した書面等の資料を揃えて(メールのやりとりはプリントアウトして) 、弁護士との面談に臨んでほしいと思います」(影山弁護士)
―――「内定取消」のように、自分の人生を揺るがしかねない事件が起きても、慌てず、先ずは「労働問題弁護士ナビ」(https://roudou-pro.com/)を活用して弁護士に相談してみて。
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