なぜか全国的に雪になる大学入試センター試験の1月20日、ここ箱根の山もすっかり雪化粧。

ことし秋の復旧をめざし黙々と工事をすすめる箱根登山鉄道や、大学入試センター試験に挑む受験生たちと同じく、ここ箱根でもうひとつの静かな戦いが始まった。

箱根 小涌谷。岡田美術館で毎年1月に開かれる岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負。

その第1局が岡田美術館 開花亭で行われ、林葉直子を抜く女流棋戦歴代単独最多11連覇を狙う里見香奈女流名人と、挑戦者 谷口由紀女流三段の勝負が静かに始まった。

朝9時半、岡田美術館 小林忠館長の振り駒で第1局がスタート。先手は谷口由紀女流三段に。その振り駒から後手 里見香奈女流名人の2手、そして昼ごはん後の対局のダイジェスト映像(1分44秒)がこれ↓↓↓

序盤から相振り飛車で積極戦に

両者とも初手は角の道を開ける歩を前に出し、里見香奈女流名人がすぐさま得意の振り飛車へ。飛車を大きく左へ寄せ、谷口由紀女流三段も迎え撃つように振り飛車へ。相振り飛車に。

両者のこれまでの対戦成績は里見女流名人9勝、谷口三段1勝。10時半に午前のおやつ。両者ともに「花豆のパウンドケーキ」(葉山・和がし葉な)を。

12時の昼ごはんの時点で、消費時間は谷口三段が1時間24分、里見女流名人が41分。昼ごはんもたまたま両者ともいっしょで、開化亭の人気メニューで名物の「豆アジ天うどん(温)」だった。

14時半のおやつも、ふたりとも同じ動き。注文せず、そのまま戦いを続けた。そして―――。

88手で里見女流名人が制し第2局の舞台、島根・出雲へ

9時半から始まった岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負 第1局は、その7時間後の16時過ぎ、里見女流名人の金で谷口三段の飛車をとる88手で谷口三段が投了を告げた。

里見女流名人、前人未到の女流名人戦11連覇へむけて好スタートを切った格好。

終局直後、両者は岡田美術館杯 女流名人戦 中継ブログ(https://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2020/01/post-bb10.html)の取材に対し、こう答えていた。

――シリーズ開幕局の大きな1勝です。
里見◆いいスタートが切れたので、次につなげられるように、準備していきたいと思います。

――次は地元に戻っての一局になります。
里見◆本当に励みになっていますので、それまでに力を出し切れるような状態にしていきたいです。

――次局への抱負をお願いします。
谷口◆一週間しかないので、この状況を急いで振り返らないといけないと思います。
島根は大好きな場所ですので、そこで指せるのは楽しみですし、できる限り精一杯の準備して挑みたいと思います。

―――次回、第2局は1月26日、出雲文化伝承館 松籟亭(島根県出雲市浜町520)で行われる。

岡田美術館杯女流名人戦は1974年に創設された、最も歴史のある女流棋戦。

主催は報知新聞社、特別協賛はユニバーサルエンターテインメント。

第42期から「ユニバーサル杯女流名人戦」から「岡田美術館杯女流名人戦」に冠名を変えて行われている。

<参考データ>
岡田美術館杯 女流名人戦 中継サイト(スポーツ報知/日本将棋連盟)
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/46/joryumeijin202001190101.html

写真 文:鉄道チャンネル

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