全国に先がけて2019年にAI専攻を設置し、機械工学科にIoT・スマートファクトリーに対応したロボット・スマート機械専攻をことし4月に新設したばかりの埼玉工業大学。
現在も高度なオンライン授業を続けながら、高校生とその父母を対象とした WEB OPEN CAMPUS(オンライン大学説明会)も同時に開催中。すでに3回実施してきたオンライン大学説明会も、9月19日土曜日に最終回をむかえる。
そこで、WEB OPEN CAMPUS 最終回を前に、第3回 WEB OPEN CAMPUS(8月23日開催)で行われた5学科(工学部:機械工学科/生命環境化学科/情報システム学科、人間社会学部:情報社会学科/心理学科)研究室紹介のようすをレポート。
機械工学科 高坂祐顕教授「再生可能エネルギーと水素」
機械工学科 熱エネルギー工学研究室 高坂祐顕教授は、「再生可能エネルギーと水素」をテーマに解説。
燃料電池で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使って走るトヨタ「MIRAI」(FCV:燃料電池自動車)に代表されるような、水素社会の実現にむけて研究するチーム。
おもに熱力学・伝熱工学にもとづき解析・実験モデルを構築し、数値シミュレーションと実験を重ね、水素エネルギーの有効利用をめざしている。
「学部2年生のときにエンジニアをめざした」という同研究室の大学院生は、こう話していた。
「大学院に進学し、いまは工業系企業に就職が決まりました。これまでの研究を活かしたエンジニアをめざしたい。いま思うのは、学部時代に学んできた数学・物理が、現象の理解に役立つという点」
「学部時代の思い出は、伝熱工学が思い出深い。たとえば、ポットに入れた湯がどれぐらいの時間で覚めるかといった、身近にある生活道具の仕組みも理解できた点などがおもしろかった」
高坂祐顕教授は、「埼玉工業大学は、自ら考えて自ら行動する学生が集まる場。しっかりした考えを持って挑める大学」と伝えていた。
生命環境化学科 石川正英教授「遺伝子組み換えってなあに?」
生命環境化学科 遺伝子工学研究室 石川正英教授は、「遺伝子組み換えってなあに?」をテーマに解説。発光クラゲの遺伝子を組み替えた光る大腸菌を紹介した。
同研究室では、遺伝子周辺の塩基配列を改変し、大腸菌内でタンパク質を大量に生産する方法を開発。また、好熱菌由来の安定的な酵素を、大腸菌内で大量に生産させる研究などを行っている。
このような好熱菌の酸化還元酵素遺伝子を大腸菌内で大量発現させる研究を行っているチームは、「こうした研究が、糖尿病の血糖値センサー関連の脱水酵素などにも役立っている」という。
いっぽう、「もともと計画をたてて動くことが苦手だった」という大学院生は、「研究室に入ってからは、自分で研究計画たてて実験できるようになった。計画性も向上した」と振り返る。
また石川教授は、研究室に入ってきたころを思い返し「最初は心配だったけど、大学院生になって大きく成長した。いまでは研究室の後輩もリードしてくれる存在」とも話していた。
情報システム学科 山崎隆治教授「IT × 医療」
情報システム学科 医用画像解析学研究室 山崎隆治教授は、「IT × 医療」をテーマに解説。
同研究室では、画像処理・パターン認識・コンピュータグラフィックスなどの画像工学を応用し、おもに医療分野での生体計測システム(臓器の形態・機能計測・可視化技術など)を研究、開発している。
今回は整形外科患者のリハビリに応用されている技術を紹介。「医用画像情報を適切に処理・認識・可視化し、病気などの情報を正確に計測・解析することは、精密な診断や治療方針の決定などに極めて重要」と伝え、研究・開発の意義を説明した。
研究室の学生が「自分が入力したプログラムが期待どおりに動くとうれしい」というと、山崎教授がこう付け加えた。
「学生にとっては、プログラムが動くことで満足する。でも、医療分野は単にプログラムが動くだけじゃなくて、さらに高い精度技術や迅速なデバッグ作業が求められる」
「たとえば1ミリの誤差が致命傷につながるともいわれる医療領域。慎重さを磨いて粘り強く挑めば、こうした画像工学の応用で治療戦略も変わるはず」(山崎教授)
情報社会学科 森沢幸博教授「未来の空想体験を創り出す!」
情報社会学科 情報コミュニケーション研究室 森沢幸博教授は、「未来の空想体験を創り出す!」をテーマに解説。
情報コミュニケーション研究室は、ユーザの行動や生体情報にもとづく感性評価メディア、デジタル映像を利用したMR(複合現実感)コンテンツ、3Dプリンターによるデバイスデザインなどを研究し、「人の心を豊かにする次世代コンテンツ」の創造に取り組んでいる。
森沢教授「たとえば、CG技術を核にして研究では、スマートフォン以外のより自然にコミュニケーションできるものを提案していく研究もある」と。
同研究室に入った学生の就職先については、「CGスタジオやデジタル系コンテンツ制作などの分野に就職する学生が多い」とも教えてくれた。
「ぼく自身はコンテンツ制作や映像制作の世界にいたので、音楽が大好き。プライベートではエレキギターを弾く時間がリラックスできる」
「この情報社会、いろいろ迷いがちだけど、自分の興味・関心を失わず、これはやってみたいという素直な気持ちにしたがって挑戦してほしい。そのなかで、自分の可能性をみつけてほしい」(森沢幸博教授)
また、「没入とリラックスをテーマに、感情に変化をもたらす、ゆらぎをテーマに研究している」という研究室の学生は、「埼玉工業大学は、いい環境で学生生活を送れるところが特長。埼工大恒例のフレッシュマンキャンプでは、一生の友だちとも出会えた」とも振り返っていた。
心理学科 三浦和夫教授「箱庭療法って何だろう」
心理学科 臨床心理学研究室 三浦和夫教授は、「箱庭療法って何だろう」をテーマに解説。
箱庭療法は、鉄道模型のジオラマのような箱庭に、「何を置くか」「どこに置くか」を重視して診ていく心理療法のひとつ。
臨床心理学研究室では、こうした箱庭療法のほか、風景構成法体験やボランティア体験など、学生個人の体験から卒業研究テーマを決めていく学生が多いという。
「臨床心理士やカウンセラーなどをめざす学生は、大学院をめざす」と三浦教授がいうように、大学院修士課程を修了すると、国家試験の臨床心理師の受験資格を得られる。
同研究室の学生は、「三浦先生の深層心理学は夢中になって受講した。心理学ってとても幅が広く、心理療法や基礎心理学、実験心理学と、幅広く学べる。さらに埼玉工業大学は他学科の科目も学べてスキルアップできる。」と振り返った。
――― 文系や理系といった旧態依然の学部・学科構成はなく、「テクノロジーとヒューマニティの融合と調和」をめざす埼玉工業大学。9月19日に行われる WEB OPEN CAMPUS で、さらに新しい研究分野や最新技術、学生・先生のリアルトークをチェックしてみて。
◆埼玉工業大学 公式HP
https://www.sit.ac.jp/
◆埼玉工業大学 WEB OPEN CAMPUS
次回は9月19日開催!
https://www.sit.ac.jp/entrance/experience/opencampus/
◆埼玉工業大学 自動運転サイト
https://saikocar.sit.ac.jp/
◆AI専攻にロボット工学、全学共通AI教育…2年間で志願者2倍増の埼玉工業大学 WEB OPEN CAMPUS に注目集まる
https://tetsudo-ch.com/10664114.html