大学の研究現場と、小中学校がオンラインで結ばれて、子どもたちが先進技術を共有する時代へ―――。
吉川市教育委員会、埼玉工業大学、NTT東日本の3者は、学術情報ネットワーク(SINET)を活用した遠隔授業を産官学連携で実証実験。
吉川市立旭小学校と埼玉工業大学を SINETで接続し、埼工大の准教授3人が、旭小学校3〜6年生の子どもたちにプログラミングやものづくりなどの専門知識を教えた。
学術情報ネットワーク(SINET)は、日本全国の大学、研究機関などの学術情報基盤として国立情報学研究所(NII)が構築・運用する情報通信ネットワーク。大学、研究機関等に対し、先進的なネットワークを提供し、多くの海外研究ネットワークと相互接続している。
今回の遠隔授業は、1時限目が埼玉工業大学 機械工学科 安藤大樹 准教授による「コンピュータープログラミング」、2時限目が同大 基礎教育センター 松田智裕 准教授による「マイクロビットで遊んでみよう」、3時限目が同大 機械工学科 河田直樹 准教授による「アイデアを形にする:ものづくりの体験学習」。1時限にひとりの講師が授業することから、講師たちはマスクを外して授業した。
「児童生徒1人1台コンピュータ」の実現や、STEM教育の高度化をめざして
NTT東日本は、GIGA(Global and Innovation Gateway for All.)スクール構想のさらなる推進にむけて、文部科学省の調査研究事業である新時代の学びでの先端技術導入実証研究事業(多様な通信環境に関する実証)で、さまざまな通信環境の検討を全社的に実施。
そのひとつとして、初等中等教育段階の学校が SINET に接続するための各種要件や SINET 利活用メリットを整理・推進している。
また吉川市は、ひとり1台端末の ICT環境整備を今年度中に完了。吉川市教育委員会が目指す「子どもたちが夢や未来にチャレンジできる学校づくり」にとって重要な ICT環境が整備され、GIGA スクール構想の実現へ加速させている。
いっぽう、「テクノロジーとヒューマニティの融合と調和」を理念に掲げる埼玉工業大学は、教育連携の一環として STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育研究にも積極的に取り組み、エンジニアや実務家など、社会の中核となって社会に貢献できる人材養成をめざす。
また、遠隔授業コンテンツを次々と作成し、プログラミングやものづくりの専門知識をさらに広く地域・社会に発信していく構え。