遺伝子の変異が原因で、身体のいたるところに2~3日持続する腫れやむくみを繰り返し、10~20歳代に発症することが多いといわれている病気―――遺伝性血管性浮腫(HAE)。

血液中の C1インヒビター低下とその機能が低下することで引き起こす疾患で、皮膚(手足、顔面、生殖器など)が腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ているものの、強いかゆみをともなわないのが特徴。

とくにのどが腫れる場合は呼吸困難におちいり、生命の危険をきたす可能性があるといわれ、いっぽうでお腹(胃や腸)が腫れると腸閉塞と同様に嘔吐したり、強い痛みを感じることがある。

こうした深刻な遺伝性血管性浮腫(HAE)と診断されず、症状に苦しむ患者を救うべく、一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)がことし2月、設立された。適切な早期診断と診断率向上をめざし5月16日の遺伝性血管性浮腫(HAE)疾患啓発デーに本格稼働した。

日本の有病率は5万人に1人

希少疾患は約7000種類存在するといわれ、日本で希少疾患は「対象患者数が本邦において5万人未満であること」と定義されている。

その希少性ゆえに、希少疾患の疾患認知率は一般的に低く、また診断が極めて難しいなどの理由で、多くの希少疾患患者が適切な診断がなされず、何年も苦しんでいるのが現状。

希少疾患のひとつ、遺伝性血管性浮腫(HAE)でも同様の課題を抱えている。日本の有病率は5万人に1人といわれ、国内で診断・治療中の患者が430名程度で、推定される国内患者数の20%に留まっている。

また、初発~診断までの平均期間(日本:13.8年、欧米:10年未満)は、欧米と比べると大きなギャップがある。

今回設立された遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)は、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者を救うべく、HAE患者と向き合っている医療従事者・学会・患者団体・製薬企業などが協働し、それぞれの専門性や創造性を通じ、国内での適切な早期診断と診断率向上をめざしていく。

さらに、遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)は、テクノロジーを積極的に活用した取り組みの展開へむけて、IT企業の参画も拡充させていく構え。

3つのワーキンググループを始動、早期発見・診断率向上へ

遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)は、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者を救うために、3つのワーキンググループを立ち上げ、活動を推進していく。

◆医療データAI分析ワーキンググループ

電子カルテやレセプト、健診データ等をもとに、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者を特定するための診断支援人工知能(AI)を構築し、そのAIを活用して日常診療での見落とし回避などの仕組みを構築・推進。

◆非専門医診断支援ワーキンググループ

HAE非専門医に対する知見提供に加え、HAE専門医コミュニティを構築し、テクノロジーを活用して非専門医が専門医に診断相談をする仕組みを形成・推進。

◆未診断患者向け疾患啓発ワーキンググループ

未診断患者様が中心となって互いにコミュニケーションする仕組みの構築、ならびに当該仕組みを介した疾患啓発情報や自己診断支援ツールを提供。

5年後に「診断率70%達成」をめざす

遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)は今後、5年後に「診断率70%達成」をめざす。

この「診断率70%」は、武田薬品の「日本における希少疾患の課題」にて、HAEの欧米における診断率に鑑み、目標に設定した数字。

画像・動画は武田薬品工業「腫れ・腹痛ナビ ― HAE(遺伝性血管性浮腫)の情報サイト ―」より引用。

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