「顧客ニーズを含むビックデータと AI のデータテクノロジーを活用し、横浜における観光の現況を分析し、観光需要の未来予測を行い、横浜を訪れる観光客、クライアントをおもてなす企業、それを支援する行政など、ステイクホルダーの Win-Win-Win を実現するソリューションを開発していく」

―――そう語るのは、神奈川大学 工学部 経営工学科 高野倉雅人教授。

神奈川大学は、キャンパスがある横浜の観光振興戦略プロジェクト「観光関連データを活用した横浜の現状分析・未来予測、ソリューション開発プロジェクト」に着手する。

同プロジェクトには、同大学 高野倉ゼミのほか、横浜観光コンベンション・ビューロー、Avintonジャパンが参画。

人間を中心とした視点で、データテクノロジーを活用した産官学民連携プロジェクトでイノベーションを創発し、新型コロナウイルス感染症拡大で落ち込んだ観光需要のV字回復に、Z世代視点と産官学民連携でアプローチしていく。

同プロジェクト参画者のひとりで神奈川大学 工学部 経営工学科3年 浅川駿介さんは「プログラミング言語 Python の習得を図りながら、横浜の観光データを収集、分析、可視化するデータプラットフォームの構築に取り組んでいる。第2の地元ともいえる横浜の力になりたい」と伝えた。

AI には真似できない、Z世代の視点で観光客むけメディア戦略を再構築

また、神奈川大学は、横浜観光コンベンション・ビューローの課題にアプローチする「プロモーション・プロジェクト」も手がけていく。

同大学 経営学部 国際経営学科 中見真也准教授ゼミと横浜観光コンベンション・ビューローが連携し、観光客から選ばれる街にする、滞在者に満足してもらえる街にするための「観光情報の発信の在り方」をともに考察し、新型コロナウイルス感染症との共存や ICT の革新など取り巻く環境の変化に呼応した、新しい事業の実装をめざしていく。

「中見ゼミの強みである、AI には決して真似できない、人間だからこそできる顧客起点のマーケティング戦略の立案、実行を実践し、多様な価値観をもつZ世代のゼミ生が、横浜観光コンベンション・ビューローと連携し、観光客向けメディア戦略の再構築に挑戦している」(中見真也准教授)

また中見ゼミ長で経営学部 国際経営学科2年の林歩里さんは「Z世代の視点、横浜市街で生まれ育った視点から自分たちにしかでない独自のアプローチで取り組みたい」と伝え、プロジェクトへの想いをこう語った。

「このプロジェクトで培った経験を活かし、自分たちの故郷が抱える地域課題を将来的には、観光・経営・マーケティングの視点から解決したいという強い想いがある」

神奈川大学「SDGs達成にむけたプラットフォーム事業」始動

こうした神奈川大学の産官学民連携プロジェクトは、同大学のSDGs達成にむけたプラットフォーム事業のひとつ。

この神奈川大学プラットフォーム事業は、社会連携センターを窓口に、神大パートナーシップ参画企業、自治体、外郭団体等と連携を強化し、産官学民連携プロジェクトなどを通じ、地域コミュニティが抱える環境・経済・社会的課題に取り組んでいく、新たな教育・研究活動という。

「横浜市が策定した「中期4か年計画」の3つの視点「SDGs」「地域コミュニティ起点の課題解決」「ビックデータ・オープンイノベーション」を重視し、文部科学省の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」答申に提唱されている「地域連携プラットフォーム事業」を参考にスタートした」(同大学 横澤勉 副学長)

神奈川大学プラットフォーム事業の第一弾に観光をクローズアップした理由は、「観光ど真ん中の、国際日本学部 国際文化交流学科 観光文化コースを中心に、2022年4月開設予定の建築学部、工学部、経営学部など、多様な教員・学生の参加が見込めること」と、「協創の場である『観光ラウンジ』があること」の2点とも。

同大学は今後、「第二弾のプラットフォーム構想、プラットフォーム事業の地方展開」にも手がけていくという。

神奈川大学 兼子良夫 学長は、こうしたアクションについて、「SDGsに向きあうことは、“持続可能な社会を創生する人材の育成”につながるとし、本学の理念である“教育は人を造るにあり”は、SDGsの精神に符号する創立者の思いでもある」と伝えていた。

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