ニッポン列島に大寒波が押し寄せ、各地で冬季エネルギー需要が増大する2月は、省エネルギー月間。アパレル業界では、“SDGs 対応マネキン”で脱プラスチックや二酸化炭素(CO2)削減をめざす流れがある。
アパレル・ファッション業界が注目する“SDGs 対応マネキン”のひとつが、トーマネの和紙マネキン「Waltz」(ワルツ)。
茨城県常陸大宮市の無形文化財「西ノ内和紙」を採用することで、圧倒的な軽量化を実現。従来のFRP(強化プラスチック)素材によるマネキンの重量の2割ほどというから、抱えてみると「想像以上に軽い」と衝撃を受けるほど。
軽いだけじゃない。和紙でできていることからナチュラルで、環境性、リサイクル性、地域貢献にも優れているというこのトーマネ和紙マネキン「Waltz」(ワルツ)の特長を、ここでチェックしていこう↓↓↓
脱プラ、労働環境改善、リサイクル性、無形文化財の採用で地域貢献
茨城県常陸大宮市の無形文化財「西ノ内和紙」を素材として採用するトーマネ和紙マネキン「Waltz」(ワルツ)には、次のような5つのアドバンテージがある。
◆1 ナチュラルな素材で脱プラ―――茨城県常陸大宮市にある無形文化財「西ノ内和紙」(那須楮 100%)を素材として開発。
◆2 超軽量で丈夫―――和紙を素材とすることで、重量を(同社比)80%減の軽量化に成功。
◆3 重労働・労働時間の削減、労働環境も改善―――軽量化により、輸送コスト・組み立てに関する重労働・労働時間の削減にも貢献。製造の過程で有機溶剤を使用せず、研磨の必要性もないため、粉塵の発生もない。
◆4 リサイクル性に優れている―――成形した「Waltz」は、再び和紙に戻すことができる。
◆5 無形文化財の採用で地域貢献―――「Waltz」は「西ノ内和紙」を素材として使うことで、「西ノ内和紙」の需要を生み出し、認知を拡大することで、無形文化財を後世に残すためのきっかけや、地域を盛り上げる可能性が含まれている。
有機溶剤を不使用、作業者の労働環境を改善
従来のマネキン人形の多くは、ガラス繊維とポリエステル樹脂の複合素材である FRP(強化プラスチック)製。その廃棄方法として、金属部分はマテリアルリサイクルとして、FRP部分はセメント製造時に燃料・原料として循環させている。
しかし、製造工程で有機溶剤の使用は不可欠。有機溶剤は揮発性が高く、蒸気になると作業者の呼吸を通じて体内に吸収されやすく、油脂に溶ける性質もあるため皮膚からも吸収されやすいといった性質がある。
有機溶剤を取り扱う職場で就業する作業者にとっては中毒性やシックハウス症候群などの疾病を引き起こす弊害も出てくる。
こうした労働環境を改善すべく、トーマネ和紙マネキン「Waltz」(ワルツ)の製造過程では、和紙のほかナチュラルなものを基本材料とし、有機溶剤をいっさい不使用。作業者は安全な労働環境のなかで製造できる。
マネキンから再び和紙に戻せる高リサイクル性
またトーマネ和紙マネキン「Waltz」(ワルツ)は、成形した和紙造形を再び和紙に戻すことが可能。
和紙に戻せることから、従来の FRP を素材としたマネキンの廃棄方法とは違い、可燃物として廃棄することもできる。
そんなトーマネ和紙マネキン「Waltz」(ワルツ)は、レンタルも構想中。紳士型・婦人型は月額2万円程度から、ブルドッグ型が月額1万2千円程度から、ネコ型が月額8千円程度からを想定(いずれも価格は量産ペースやロット数によって変動)している。
特許の造形技術でさまざまな形状へ横展開、無形文化財の雇用・文化継承も
トーマネでは現在、「Waltz」の製造に手漉き和紙という供給とのバランスも調整する必要があることから、受注生産を予定しています。今後は、量産体制を整えていき、「Waltz」の増産をめざしていくという。
またトーマネでは、和紙造形に着目し、この造形技術で特許を取得。「トーマネの技術と型があれば、さまざまな形の造形制作が可能なため、マネキン人形に限らず、さまざまな形の製品を開発していきたい」というから、今後の動きに注目だ。
さらにトーマネは、「将来的に「Waltz」を普及させることで、無形文化財「西ノ内和紙」の雇用・文化の継承を支援していきたい」とも伝えていた。