「私立小学校進学はなぜ『子どもへ贈る最高のギフト』なのか?
幼少期の過ごし方への関心が高まるいま、「私学の魅力と優位性」「私立小と公立小の違い」について、幼児教育と小学校現場のプロが語る―――。
伸芽会 教育研究所 飯田道郎所長と明星小学校 平井哲教諭が語る
文部科学省が幼児期の教育や体験活動、家庭環境がその後の成長や生活にどのような影響を与えるかを調べる長期の追跡調査を行うことが今年明らかになり、子どもたちを取り巻く環境をどのように整えるべきなのか、小学校は公立・私立どちらにするべきかなど、保護者は幼少期の過ごし方について、高い関心を持っている。
こうしたなか、幼児教育を実践する研究所として1956年創立、幼稚園受験のパイオニア 伸芽会は、「私立小学校への進学は、なぜ『子どもへ贈る最高のギフト』なのか?」というテーマで、伸芽会 教育研究所 飯田道郎所長と明星学苑 明星小学校(東京都府中市)平井哲教諭によるスペシャル対談を実施。
その模様を公式YouTubeチャンネル『SHINGA FARMちゃんねる』に公開。(1)私立小学校の進学は子どもへのギフト? (2)私立小学校は学級崩壊が起きにくい? (3)これからの幼児教育&私学教育 という3つのトピックスについて2人のキーマンが探っている。
私立小学校の進学は子どもへのギフト?
なぜ「私立小学校の進学は子どもへのギフト」なのか。
◆飯田所長:私学の入試に携わってきましたが、これまで私学受験というと富裕層のご家庭の取り組みのように見えていました。
しかし、少子化の進行やお母様がたがキャリアを活かすという意味でも共働き世帯が増加して教育費も捻出できる状況になり、一般家庭であっても私学受験、私学にお子様を通わせられる状況になっていると確信しています。
中高の私学入試に比べて小学校の入試についてはあまり情報が伝わっていないのも事実です。
◆平井先生:私立小学校と公立小学校、その違いはその子が置かれる環境そのものです。ここでいうギフトというのは、私にとっては「環境」なんですね。
実は子どもたちや先生方一人一人を個人で見ると、公立も私立もあまり変わりません。しかし集団として私立小学校の子どもたちをみると、授業のようすが公立小学校のそれとまったく違うんですね。
友だち同士が助け合いながらすすめていく。自己有用感を持った子どもたちが多いと感じます。「自分は認められている」「自分はここにいていいんだ」という感覚を、私立小学校の子どもたちは持っています。
こうした環境の集団のなかにいることで、「クラスに貢献しよう」と思う感覚が芽生えていると思います。
これは小学校に入ってくる段階で、すでにこのような素地を持っていると感じているんですが、私のイメージだと幼児教育というのはみんなが机に座ってずっと勉強している者だったんです。
しかし以前、伸芽会の先生にお話を聞いたときに「一番大切にしているのは体験を通して学ぶこと」とおっしゃっていて、小学校に入る前から体験を通して学んでいくということが身についていらっしゃるんだなと感じました。
◆飯田所長:私立小学校には入試を経て入学したお子さんたちなので、目的意識などが統合しやすいという特長もありますよね。
クラスに貢献したいなと思える環境、社会の一員になっていく準備が、私立小学校のなかで始まっているということですね。
私たち伸芽会は、受験で出る問題に対しての対策を詰め込むのではなく、発達段階を理解した上で体験を通して小学校入学後の学びにつながるようなベースづくりをしっかりすべきだろうという考えのもと指導を行っています。
(2)私立小学校は学級崩壊が起きにくい?
◆飯田所長:私たち幼児教室では、まず子どもたちが自立度を高めるための体験を積んでいただき、興味の幅をいろいろと広めていくようなカリキュラムをこつこつと重ねていきます。
その私立小学校の学びの方針をしっかり把握すると、「子どもたちにこういう力があればいい」という、学校が目指していらっしゃるものがみえてくる。
そうすると入学試験で問われるものもみえてくる。そんな試験をクリアして入学する子どもたちの集団になりますから、自ずと学びの意識が高く、学級崩壊は起きないのではないかと思います。
◆平井先生:幼児教育を受けてきている子どもたちは、集団を形成するなかで、自分がどういう役割を果たせばいいのか、友だちに対してどう関わっていけばいいかというのを、(幼児教育で)学んできている。そこがかなり大きいと思うんですね。
小学校からではなく、幼児教育で学ぶ姿勢ができているという点で、私立小学校では学級崩壊が起きにくいと思います。
私学の魅力はなんといっても集団としての学ぶ環境が用意されているということを再認識しました。まさにこれこそが、子どもへのギフトです。
(3)これからの幼児教育&私学教育
◆平井先生:私立小学校はもっと独自性をアピールしていくべきだと思います。学習指導要領の内容をやるということはどちらも同じです。
私立学校は学習指導要領の中で軽重をつけながら重点をもって指導することができます。
例えば私立小学校では1年生から英語教育を行っているところがありますが、学習指導要領の中に1年生の英語教育というものは無いんです。
これは文部科学省が推奨していることではないかもしれませんが、保護者の方は賛同していただけるところかもしれませんし、ある程度網羅していれば学習指導要領を超えて指導しても全然いいというところかと思いますので、そこはしっかりアピールしていくべきところかと思います。
また私立小学校は、教員も変わることなく、ずっとその子の成長を観ていけます。だから大きい意味で6年間、さらにいえば中学校・高校と12年間で観ていけるというのが私学の魅力ですね。
◆飯田所長:私学は、小学校の先、中学校や高校もあるから、仮に小学校で苦手だった分野や追いつけなかったものがあれば、そこを必ず中学校などで補える、フォローできる。
どうやったら学園全体でフォロー・サポートしていこうかということを、しっかり考えていらっしゃる。
そこが私学のアドバンテージであり、公立との違うところですよね。
だからこそ、その私学のブレない教育の根底・方針といったものを、ぜひ保護者の方もお調べになっていただきたいと思います。
私学のすばらしさに保護者の方がお気づきいただければ幸いです。